2018年11月伊勢山皇大神宮2


夕方から散歩に出かけました。桜木町と野毛の間の丘の上に、伊勢山皇大神宮という神社があるのですが、まだ一度も行ったことがないので行ってみようと思いました。

自宅から新横浜まで歩いて、新横浜から市営地下鉄に乗り、横浜駅のひとつ先の高島町駅で降りました。高島町駅からは、スマホのナビを頼りに国道16号線を桜木町駅方面に進み、途中から右手にある紅葉坂(もみじざか)を上りました。かなり急な坂ですが、坂の上は伊勢山という横浜で有名な高級住宅地です。ここでも成り上がったら坂の上に住むという横浜人の法則がはたらいているのでした。

既にあたりは暗くなりましたが、坂の上に県立青少年センターという公共施設があったので、入口の警備員の人に、伊勢山皇大神宮の場所を訊きました。

「あの脇道を入れば、裏参道があるよ」と言われ、言われたとおり脇道を入ると、薄闇に参道の階段が現れました。

境内は人の姿もなく、ひっそりと静まり返り、夕闇の中にくっきりと浮かび上がった本殿が一層荘厳に見えました。本殿の前では、仕事を終えた巫女さんが拝礼していました。

帰りは表の参道を降りて、野毛の方へ坂を下りました。そして、野毛をぬけ、伊勢佐木町の有隣堂で本を買い、さらに関内・汽車道・赤レンガ倉庫から臨港パークを歩き、大観覧車のあるコスモワールドの脇をとおって、横浜駅まで歩きました。

途中、汽車道の反対側にある北仲では、再開発に伴ってタワーマンションや高層ホテル、それに32階建ての横浜市庁舎の建設が進んでいました。なんだか途端に現実に引き戻された気がしました。

3兆円を超す借金(市債発行残高)。全国的にトップクラスの高給。地上32階の豪奢な市庁舎。公務員の給与が高いのではない、民間の給与が低すぎるのだと嘯く組合。「自治体労働者への攻撃を許すな」と主張する左翼セクト。そこにあるのは、醜悪としか言いようのない、平岡正明が言う「中音量主義」をまるで嘲笑っているかのような光景です。

万歩計を持っていませんでしたが、1万歩を優に超したのは間違いないでしょう。


2018年11月伊勢山皇大神宮3

2018年11月汽車道2

2018年11月北仲

2018年11月臨港パーク

2018.11.17 Sat l 横浜 l top ▲
日本が売られる


向こう5年間で34万人の外国人労働者を受け入れる出入国管理法(入管法)改正案が衆院本会議で審議入りしましたが、議論の叩き台になるはずの法務省のデータに改ざんが見つかり、審議がストップしたままです。

移民は認めないと公言する日本政府ですが、2015年のOECD外国人移住ランキングでは世界第4位の”移民大国”になっているのです。

以下が、2015年のトップ10です。

1.ドイツ(約201万6千人)
2.米国(約105万1千人)
3.英国(約47万9千人)
4.日本(約39万1千人)
5.韓国(約37万3千人)
6.スペイン(約29万1千人)
7.カナダ(約27万2千人)
8.フランス(約25万3千人)
9.イタリア(約25万人)
10.オーストラリア(約22万4千人)

労働力不足と言っても、要するに、政府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で謳われているように、「介護」「建設」「農業」「宿泊」「造船」など、いわゆる3Kの仕事で、低賃金の若年労働力が不足しているという話なのです。

先日、日立製作所が山口県下松市の笠戸事業所で働くフィリピン人技能実習生40人に解雇を通告した問題で、実習期間の残り2年間分の基本給と生活費として月に2万円を支払うことで実習生と和解したというニュースがありましたが、基本給は14万円だそうです。

別のニュースでは、実習先から失踪して東京の飲食店で働いていた元実習生の話が出ていましたが、彼が得ていた給与は月に20万~25万円だったそうです。

これでは、失踪したくなるのは当然という気がしますが、しかし、20~25万円の給与も(福利厚生がほとんどないことを考えれば)最低レベルの賃金です。技能実習生の給与は、文字通り“最低以下”なのです。

どうして“現代の奴隷制度”とヤユされるような“最低以下”の給与しか貰えないのかと言えば、前に書いたとおり(『ルポ ニッポン絶望工場』)、監理機関や監理団体など官僚の天下り機関による(「会費」や「管理費」などの名目の)ピンハネがあるからです。実習生ひとりにつき10万円近くのピンハネが行われているという話さえあります。

ところが、まだ始まったばかりとは言え、入管法改正をめぐる国会審議や、あるいはメディアの報道においても、このピンハネの問題がいっこうに出て来ないのです。何か不都合でもあるのか、不思議でなりません。

一方で、ホントに人出不足なのかという疑問もあります。仕事がきつくて賃金が安いので敬遠されているだけではないのか。

堤未果氏は、WEBRONZAで、「現在日本には一年以上、職についていない長期失業者が約50万人いる」と書いていました。

WEBRONZA
人間にまで値札 外国人労働者拡大の危うさ

堤氏が書いているように「人材がいないのではない」のです。労働条件が劣悪なので、なり手がいないだけなのです。

 景気を良くするためだ、などと言って金融緩和をしても、永住まで可能な外国人を数十万人規模で受け入れれば、価格競争によって賃金は地盤沈下を起こし、日本人の失業者や単純労働者は、今後入ってくる移民との間で仕事を奪い合うことを余儀なくされるだろう。


外国人労働者の流入が、日本のアンダークラスの賃金を押し下げる要因になるというのは、これまでも指摘されていました。

堤氏は、新著『日本が売られる』(幻冬舎新書)の中でも、次のように書いていました。

 一橋経済研究所の試算でも、単純労働に外国人が100万人入れば、国内の賃金は24%下落するという数字が出ているのだ。
 こうした政府の方針によって、「人・モノ・サービス」はますます自由に国境を越えて売買され、2019年のTPP発効までに、日本に参入してくる外資や投資家が「世界一ビジネスしやすい環境」が着々と作り上げられてゆく。


ネオリベラリズムに拝跪して(国を売り渡して)、何が愛国だ、何が「日本を、取り戻す」だと言いたいですが、一方で、プロレタリアートに国境はないという左翼のインターナショナリズムが、現代に奴隷制度をよみがえらせたネオリベと同床異夢を見ているという救いがたい現実があることも、忘れてはならないでしょう。


関連記事:
『ルポ ニッポン絶望工場』
上野千鶴子氏の発言
2018.11.17 Sat l 社会・メディア l top ▲
渋谷のハロウィンのバカ騒ぎに対して、「狂騒」「暴徒化」などという言葉を使っているメディアさえありました。なんだか殊更問題化しているフシもなきにしもあらずです。渋谷区の長谷部健区長も、先週末に発生した一部参加者の乱痴気騒ぎに対して、「到底許せるものではない」と「緊急コメント」を発表。そして、ハロウィンから一夜明けた今日、長谷部区長は、来年以降ハロウィンの有料化も検討すると発言したそうです。ハロウィン有料化とは、まるでお笑いギャグのような話です。

私などは、渋谷の騒動と言えば、1971年の“渋谷暴動”を思い浮かべますが、あれに比べればハロウィンの騒ぎなんて子供の遊びみたいなものでしょう。それに、もともと都市=ストリートというのは、常に秩序をはみ出す行動を伴うものです。そういった“無秩序”を志向する性格があるからこそ、私達は、都市=ストリートに解放感を覚えるのです。都市=ストリートに対して、非日常の幻想を抱くことができるのです。

毛利嘉孝氏は、『ストリートの思想』(NHKブックス)の中で、イギリスにはじまって90年代に世界に広がった「ストリートを取り返せ」(RTS)運動について、次のように書いていました。

「ストリートを取り返せ」(原文では「リクレイム・ザ・ストリーツ」のルビ)のスローガンが意味するところは、やはり現在ストリートで切り詰められている「公共性」を、ダンスや音楽など身振りによって取り戻そうということだろう。ダンスや音楽は、「言うこと聞くよな奴らじゃない」連中が、同じように「言うこと聞くよな奴らじゃない」官僚制度や警察的な管理に対抗する手段だったのである。


テレビには、ハロウィンの若者達は迷惑だと主張する地元商店会の人達が出ていましたが、私は以前、渋谷に日参していましたので、その中には当時顔見知りだった人物もいました。

私は、それを観て、渋谷は地元商店会のものではないだろうと思いました。渋谷に集まってくる若者達だって、区民でなくても立派な渋谷の“住人”です。渋谷の街は、東急資本や地元商店会だけが作ってきたわけではないのです。私は、当時、路上で脱法ハーブやシルバアクセを売る外国人や地回りのやくざなどとも顔見知りでしたが、彼らだって渋谷の街を作ってきたのです。

もっとも、地元商店会にしても建前と本音があるのです。彼らも、商売の上では渋谷に集まる若者達を無視することはできないのです。ドンキはじめ一部の商店が若者達に瓶に入った酒を売っていたとして批判を浴びていますが、イベント会場の周辺の店がイベントにやってくる若者相手に店頭で食べ物を売ったりするのと同じように、ハロウィンの若者達を当て込みソロバンを弾いていた店も多いはずです。

メディアの前で迷惑顔をしている老人達の中には、普段ストリート系の若者相手に商売をしている店の関係者もいました。若者達の性のモラルの低下を嘆く教師や警察官や市議会議員などが、一方で中学生や高校生の少女を買春していたという事件が後を絶ちませんが、あれと同じでしょう。

センター街には、昔からチーマーやコギャルが跋扈していましたが、しかし、跋扈していたのは彼ら(彼女ら)だけではなかったのです。コギャル目当ての大人達も跋扈していたのです。チーマーやコギャル達は、そんな建前と本音のバカバカしさをよく知っていたのです。

それはメディアも然りです。メディアだって渋谷に建前と本音があることぐらいわかっているはずです。メディアは、地元の商店会と一緒になって建前を振りかざしながら、一方では若者達を煽っているのです。「厳戒態勢の渋谷から中継」なんてその最たるものでしょう。今日の早朝の番組でも、各局がハロウィンから一夜明けた渋谷から中継していましたが、私にはバカ騒ぎの名残を惜しんでいるようにしか見えませんでした。

ともあれ、再開発の真っ只中にある渋谷が、やがて完全に東急に支配された(東急の色に染まった)街になるのは間違いないでしょう。そうなればストリートも消滅して、バカ騒ぎをする若者達も、そんな若者達に眉をひそめる地元の商店会も、街から排除される運命にあるのは目に見えています。そして、ハロウィンも、川崎などと同じように(あの東京レインボープライドのパレードと同じように)、管理され秩序されたものにとって代わることでしょう。その意味では、渋谷の無秩序なハロウィンも、スカンクの最後っ屁のようなものと言えるのかもしれません。


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2018.11.01 Thu l 東京 l top ▲