アラタナ24hというサイトに、辻正浩氏という「SEOコンサルタント」の方のインタービュー記事が載っていましたが、これからの検索の方向性を知る上で、大変参考になりました。

アラタナ24h
辻正浩氏が明かすSEOの考え方【1】今後のGoogle、SEOの方向性
辻正浩氏が明かすSEOの考え方【2】SEOは今後も必要な技術なのか?

モバイルフレンドリー以後のGoogle の検索は、私たちの目には「混乱」のようにしか映りません。常にめまぐるしく順位が変動しており、しかも、それはモバイルフレンドリー、つまり、モバイル向けにサイトを適応しているかどうかというような簡単な話ではなく、従来のSEOの常識では測れない”奇々怪々”なものです。現在、パンダアップデートが更新中ですので、バンダアップデートの影響のように言う人が多いのですが、この小刻みな変動が始まったのは、モバイルフレンドリーが始まってからなのです。モバイルフレンドリーのアップデートに乗じて、アルゴリズムに別の要素が加わったのは間違いないのです。

具体的には、Google が言うオーソリティサイト、いわゆる企業などのブランドサイトがモバイルフレンドリーの対応如何に関係なく優遇されているのが特徴です。そして、その多くはGoogle のアドワーズユーザーと重なっているのです。

今や個人がネット通販をはじめても、楽天などショッピングモールにでも出店しない限り、ほとんど成功は見込めません。昔のようなチャンスはないのです。なぜなら検索で上位に表示することがほぼ不可能だからです。既にネットは、ウェブ2.0の頃のような理想とはほど遠い状況にあり、ロングテールなんていうことばも、いつの間にか死語になってしまいました。ネットはますます秩序化・権威化・リアル社会化してるのです。

Google の検索における最近の動きとして、辻氏は、”ローカル系”、”モバイル系”、”エージェント型検索”の三つをあげていました。

”ローカル系”というのは、「検索する場所によって検索結果が変わることです」。つまり、横浜と大分では検索結果が異なり、それぞれの地元のリアル店舗や会社などのサイトが優先して表示されるようになっているのです。

それでなくても検索で表示されたサイトの間に、Google やYahoo!が自社のサービスコンテンツを挿入させていますので、トップページの「10件表示」も、実際は8~9件しか表示されていません。ローカル検索でその地域のサイトが優先して表示されると、トップページの表示枠はますます少なくなるのです。とりわけワリを食うのは、地域に限定されない無店舗の通販サイトです。辻氏もつぎのように言ってました。

ECサイトを運営している場合では、多くの場合マイナスです。いままでは上位に全国対応のインターネット通販サイトが表示されていたキーワードで、各地域に限定されたリアルの店舗が表示される状況もいくつか確認できています。


つぎの”モバイル系”で、辻氏が今後「怖いと思っている」のは、App Indexingの影響だと言ってました。

App Indexingのなかで特に大きな影響をもたらすと言われるのは、検索結果にアプリが表示されるようになることです。Googleも、アプリのあるなしが今後検索順位に影響を与えるようになると明言しているのです。

スマホ対応にしても、アプリの格納にしても、Google は「ユーザーに快適な検索体験を与える」ためと言ってます。しかし、それはGoogle の考える「ユーザー目線」にすぎません。本来「快適」であるかどうかを判断するのはユーザーでしょう。

同じスマホで見るにしても、情報量が少ないスマホ用のサイトや画面のズームインやズームアウトができないレスポンシブデザインなどより、PCサイトのほうが「快適」な場合だってあるでしょう。ユーザーの好みやサイトの性格によって違うはずなのです。

それに、辻氏も言っているように、スマホ対応やアプリの格納が必要のないサイトだってあります。まして、個人の通販サイトなどがアプリを作成するには技術的にも資金的にも大きな負担です。でも、アプリを作らないと検索順位では不利になるのです。逆に言えば、それが可能な企業サイトが有利だということです。

極めつけは、”エージェント型検索”です。「横浜 おすすめ」と音声検索すると、横浜の観光名所が表示されるテレビCMがありましたが(あっ、あのCMはGoogle ではなく、ジャパネットたかただったか?)、あれをさらに進化させたのが”エージェント型検索”です。辻氏は、つぎのような具体例をあげていました。

例えば誰かと電話していて、「明後日の19時から飲みに行こうよ!じゃあお店探しとくね!」となって電話を切った途端、画面に「あなたは◯◯さんとは最近A店とB店に行って満足だったようです。この店に近い場所であなたと●●さんの好みにも合ったC店はどうですか?」と出てくるようなものが”エージェント型検索”です。エージェント、代理人が勝手に調べて、検索する前に検索結果を教えてくれるわけですね。


これを便利と考えるか、おせっかいと考えるか、あるいは怖いと考えるか、人それぞれでしょう。

この”エージェント型検索”こそ究極の検索と言えるのかもしれません。つまり、検索なのか広告なのか見分けがつかないからです。今の検索結果が表示されるページが、昔と違ってゴチャゴチャしているのも、検索で表示されたサイトと広告サイトの見分けがつけにくいようにしているからですが、”エージェント型検索”では、検索そのものが広告と一体化(未分化)できるのです。このように検索技術は、ネット上に氾濫する膨大な情報を整理するという当初の目的から逸脱して、今や広告のための”手段”と化しているのです。

”ローカル系”も”モバイル系”も”エージェント型検索”も、すべては広告の効率と価値をあげるためです。PC検索とモバイル検索を別にするのも、今はまだそうなっていませんが、PC向けとモバイル向けに別の広告を出すようにしたいからでしょう。

App Indexingでアプリを検索の対象にするのも、ゆくゆくはアプリに広告を表示するためと言われています。資本主義は、地理的な拡大(収奪する周縁)が限界に達したとき、仮想空間というあらたな”周縁”を作りだし延命を図ったのですが(それが今のグローバルな金融資本主義ですが)、Google もそうやってあらたな広告の空間を作り出しているのです。そのためにGoogle は、「ユーザーに快適な検索体験を与える」ため、ユーザービリティのため、と称してみずからのルールを押し付けているのです。それがGoogle がarrogantと言われるゆえんです。

Google の売上げ660億ドル(約7兆8千億円)の90%はアドセンスやアドワーズの広告収入です。検索は事実上、そのためのプラットフォームになっているのです。しかも、Google は検索だけでなく、モバイルにおいてはOSまで独占しつつあります。

検索の公共性を考えれば、(現実にはGoogle とBingの二つの選択肢しかないのですが)Google の圧倒的なシェアを解消することが肝要でしょう。でないと検索はますます歪んだものにならざるをえないでしょう。Google であれどこであれ、営利企業である限りあくなき利益を追求するのは当然で、検索と広告が一体化するのはある意味では自然の流れなのです。だからこそ、ユーザーにとってなにが「快適な検索体験」なのか、それを主体的に選択できるような環境(公平な競争)が必要なのだと思います。
2015.08.04 Tue l ネット・メディア l top ▲