今回のパリの連続テロについて、ブレイディみかこ氏がブログのなかで紹介していたデイリー・メール紙の記事を孫引きします。デイリー・メールというのは、「右翼煽り記事とゴシップ記事に強い」新聞だそうですから、日本で言えば産経新聞のようなものでしょう。書いたのは、「コテコテの右派ピーター・ヒッチェンズ」氏です。

私たちが生きるもうひとつの文明世界もまた、「テロの脅威」に引きずられ、全体主義化し自閉していく”運命”にあるのです。「世界内戦」の時代は、そういった社会の力学が容赦なく猛威をふるう時代でもあるのです。その意味では、安部晋三はこの時代の格好のトリックスターと言えるでしょう。

それにしても、こういった記事が右派の論客から出ているというのは驚きです。

Yahoo!ニュース(個人)
ブレイディみかこ
パリ同時多発テロ:レトリックと復讐。その反復の泥沼
※ブレイディみかこ氏抄訳

もう空虚な大騒ぎはやめてくれないか。これは追悼の時であり、見せ掛けだけのポーズや印象操作はいらない。(中略)過去40年ぐらい、僕たちの大半は、政治家やその他の人々が、断固としてテロと戦い、犯人を探し出し、2度とこのようなことが発生することは許さないと誓う姿をうんざりするほど見て来た。次には大仰な名称の委員会の緊急会議が開かれ、取り締まり、監視の強化、数十億ポンドをスパイ活動と諜報に投入し、その上で対テロ戦争などを行って自らの兵士たちを大勢殺しながら、それでも我々は安全を感じることができない。相手の言語を理解できる人間はこちら側にはほとんどいないのに、向こうはこちらの言語を喋ることができ、自由に我々の世界を移動でき、しかも、先に我々を殺すことができれば自分は喜んで殺されたい(または自殺したい)という敵を目の前にして、自己を防衛するのは至難の業なのだ。
(中略)
フランスと共に喪に服すべきこの時期に、いったいどれほどの愚かなことがフランスについて語られているだろう?胸を膨らませたマッチョな姿勢でフランスを馬鹿にしたり、フランス軍は勝てないなどとネットに書き込まれているのはなぜだ?(中略) こういうテーブルを叩いて叫び、威嚇し、威張るようなことが人命が失われた残虐行為の後に必ず起こる。(中略)我々が数千年かけて築いてきた、何ものにも代えがたい「自由と公正」は、この早急で感情的な手段によって粉砕される。グアンタナモでの無裁判の違法拘禁と拷問を見てほしい。そして秘密の刑務所に秘密の輸送機が飛んでダークなことが行われている「囚人特例引き渡し」も。こんなことをしている我々が「自由と公正」を基盤にしていると言えるのか?そして今度は、あの疑わしくも危険なドローン使用などという方法で、手っ取り早く敵を処刑し始めた。モハメド・エムワジ(ジハーディ・ジョン)の死を可哀そうなどと思う人はほとんどいないだろうが、我々はなんという前例を作っているんだ?敵はまだそれを持っていないが、そのうち使い始めるだろう。

出典:The Mail On Sunday: "Really want to beat terror? Then calm down and THINK" by Peter Hitchens



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2015.11.17 Tue l 社会・時事 l top ▲