先日、朝日新聞の「学びを語る」というシリーズ企画に、「ネットの万能感 『世間を知っている』と自信過剰に」という情報教育アドバイザー・遠藤美季氏のインタービュー記事が出ていました。

朝日新聞デジタル
(学びを語る)ネットの万能感 「世間を知っている」と自信過剰に 遠藤美季さん

「2012~13年の厚生労働省研究班の調査によると、ネット依存の傾向がある中高生は全国に推計約52万人いる」そうです。

しかし、これは中高生に限った話ではないのです。中高生と一緒に、2ちゃんねるやニコ動に常駐している、いい年したニートやフリーターのなんと多いことか。

今やフリーターの第一世代は50代に入ったのです。彼らの特徴は、「世間話」ができないことです。彼らには「世間」がないのです。「世間」や「社会」に対して基本的な経験や知識が欠けているからです。

そのためによけい、ネットで得た知識によって、誰よりも世の中を知っていると思い込み、2ちゃんねるやニコ動で攻撃的な書き込みをすることで、他人を支配したつもりになり、「万能感」に酔い痴れ、自分が大きくなったつもりになるのです。そこにあるのは、ネット特有の夜郎自大な性向です。ヤフコメも同じですが、それではますます社会と乖離し適応できなくなるのは当然でしょう。

一方でネットには、社会に適応できないことが自由だと勘違いさせる、そんな自己を合理化する”屁理屈”も用意されているのです。特にネットの黎明期には、その手の言説があふれていました。たとえば梅田望夫氏なども、『ウェブ進化論』で、リアル社会に適応できなくても、ネットで充分特化した生き方ができるなどとさかんに喧伝していました。もちろん、現実がそんな都合のいいものではないことは言うまでもありません。

それに、彼らの唯一の情報源であるネットにしても、多分に人工的に工作されたものでしかないのです。まして、ネットに”自由な言論”があるとかネットこそ真実なんて思っている人間は、あまりにも能天気だと言わざるを得ません。

『紙の爆弾』(鹿砦社)12月号に掲載されていた「世論を動かすアメリカの情報操作 『サイオプス』の正体」という匿名座談会に、つぎのような発言がありました。サイオプスというのは、サイコロジカル・オペレーションの略で、アメリカ国務省が指揮するアメリカ陸軍の「心理作戦」のことです。作戦を担う特殊部隊は、1万人規模の組織だとか。

X(引用者註:軍事ジャーナリスト) 九月に日本最大手のポータルサイト「Yahoo!」が、嫌韓を煽るからと「サーチナ」との契約を解除した。ところが、嫌韓や嫌中を煽っていたのはサーチナじゃなくて「レコード・チャイナ」(レコチャイ)で、こっちが国務省資本のサイオプス部隊といわれているんだ。だいたいサーチナはソフトバンクの孫正義が所有している。むしろ、レコチャイの情報工作を円滑にするために、潰すように圧力をかけられたとしか思えないんだよ。
Y(引用者註:週刊誌記者) 実際、中国共産党の批判を辿っていくと、だいたいネタ元はカナダのネットニュースサイト「エポックタイムズ」、日本語名の「大紀元」なんだよ。もともとは文化大革命に亡命した華僑という触れ込みだが、経営しているのはアメリカ国務省。法輪功の信者を死刑にして臓器売買をしているとか、共産党の腐敗や賄賂といった情報は、ここから発信されている。とはいえ中国政府に批判的な大紀元のニュース発では信憑性が薄くなる。そこでレコチャイが情報の受け手となって情報のロンダリングをしてきた。


レコチャイは、嫌中のニュースを2ちゃんねるのスレッドに立て、ヘイトな書き込みを煽り、系列のまとめサイトがその書き込みを掲載して拡散するのだそうです。また、中国の掲示板でも中国のユーザーを挑発して、「反日」的な書き込みを煽り、それを記事にして日本で配信するのだとか。Yahoo!の国際ニュースのアクセスランキングで上位を占めているのは、そんな煽り記事ばかりです。

そんなアメリカの情報工作のお先棒を担いでいるのが、自民党のネットサポーターズクラブ(J-NSC)です。約1万人いると言われる会員たちが、従属思想を「愛国」と言い換え、日々嫌中嫌韓の書き込みをして、安倍政権に批判的な書き込みや記事を「反日」として炎上させるべく工作しているのです。

それが、ネットでなんでも知っているつもりになり、「万能感」に酔い痴れている者たちが拠り所とする情報の実態なのです。
2015.11.23 Mon l ネット・メディア l top ▲