平昌オリンピックをめぐる日本国内の報道には、なにがなんでもオリンピックを貶めようとする底意地の悪さが垣間見えて仕方ありません。国内では相変わらず、「ニッポン凄い」の自演乙が盛んですが、「凄い」国のわりには、”スポーツの祭典”を偽善的にでも祝い楽しむ余裕さえないのです。

とりわけひどいのが、南北対話に対してです。そもそも韓国が北の「ほほ笑み外交」に乗ったのは、なんとしてでも戦争を回避したいという切実な事情があるからでしょう。戦争になれば、韓国は国家存亡の危機に直面するのです。もちろん、日本も他人事ではないはずです。ところが、日本はアメリカに追随し、北と挑発合戦を繰り広げるトランプ政権の口真似をするだけなのです。これでは、産経新聞のねつ造記事と同じで、いじましいばかりの(骨の髄まで沁み込んだ)”属国根性”と言うほかないでしょう。

田中宇氏は、平昌オリンピックの南北対話について、つぎのように書いていました。

田中宇の国際ニュース解説
北朝鮮の核保有を許容する南北対話

(略)今回の北の五輪参加をめぐる南北対話の再開や米韓軍事演習の延期が、ロシアのプーチン提案、中国のダブル凍結和平案、韓国の文在寅の対北融和策という、露中韓の三位一体の北核問題の解決策のシナリオに北朝鮮が乗ってきたものであるとわかる。(略)

 だが、米日のマスコミなどでは、露中韓のシナリオがまともに報じられず、ほとんど論じられず、けなされる対象として存在している。米日では、北が核兵器を全廃することが「北核問題の解決」であると考えられている。北に核廃絶を求めず、北の核保有を黙認している露中韓のシナリオは、北核問題の解決策ではないと、特に(中韓嫌悪の)日本で思われている。(略)


韓国が北の「ほほ笑み外交」に翻弄されているように見えるのも、現実的な(非米的な)戦争回避のシナリオがあるからなのでしょう。

 露中韓のシナリオは、北に核やミサイルの廃絶でなく開発凍結を求めているが、それすら北に凍結宣言を出せと求めるものでなく、北が不言実行で静かに開発を凍結し続けてくれればそれで良い。目指しているのは東アジア的な「あうんの呼吸」「(北の)メンツ重視」の方式だ。露中韓は、北が核兵器を持ったままでも、周辺諸国との緊張関係が緩和されれば、それで事態が安定すると考えているようだ。

 
戦争ありきのような日本のメディアの報道だけを見ていると「あり得ない」と思うかも知れませんが、オリンピックの南北対話をきっかけに緊張緩和へ進む可能性もなきにしもあらずでしょう。いづれにしても、オリンピック明けの米韓軍事演習や文在寅大統領の訪朝に対して、露中韓と日米の間で激しい駆け引きがおこなわれるに違いありません。

もとよりトランプ政権の“圧力外交”には、軍事ビジネスの側面があることも忘れてはならないのです。朝鮮半島や東シナ海の緊張が高まれば高まるほど、国策でもある軍需産業が繁栄する寸法です。なかでも日本に対しては、武器が言い値で売れるので、これほど美味しい商売はないのです。

今の日本は、中国や北朝鮮の影に怯えるばかりです。それは、もはや「病的」と言ってもいいほどです。しかも、中国も北朝鮮も、かつての植民地です。だから、よけい神経症的に怯えるのかもしれません。

東アジアにおいて、政治的にも経済的にも日本の存在感が低下しているのは、誰が見ても明らかで、そういった“日沈む国”の卑屈な精神が、「ニッポン凄い」の自演乙(虚勢)につながっているのは間違いないでしょう。もちろん、卑屈な精神は、『永続敗戦論』が喝破したような“対米従属「愛国」主義”という歪んだナショナリズムを支える心性でもあります。そして、そこに露わになっているのが、「愛国」と「売国」が逆さまになった戦後という時代の背理なのです。


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