カルロス・ゴーンの逮捕が、ルノーと日産の経営統合を阻止するための国策捜査であり、国策捜査を誘引したクーデターであることが徐々に明らかになっています。

ただ、グローバル資本主義においては、日本の大企業が外国資本に呑み込まれるのはいくらでもあり得るでしょう。日産だってグローバル資本主義のお陰で復活したのです。グローバル資本主義に拝跪するということは、「日本を、取り戻す」ことではなく「日本を売る」ことなのです。裁量労働制の導入も外国人労働者に門戸を開放するのも、グローバル資本主義のためなのです。「助けてもらったのに、恩を仇で返すのか」というルノーの地元の声は当然です。

日本のメディアは、例によって例の如く検察からのリークを垂れ流し、重箱の底をつつくようにカルロス・ゴーンの“悪業”を暴き立ていますが、でも、彼らは昨日までグローバル資本主義の使徒とも言えるカルロス・ゴーンをカリスマ経営者としてヒーロー扱いしていたのです。日産の役員たちに勝るとも劣らない見事な手の平返しと言えるでしょう。こういった寄らば大樹の陰の節操のなさも、日本社会の特質です。

フランス在住の永田公彦氏は、ダイヤモンドオンラインで、ゴーン逮捕について、日本特有の集団的な手のひら返しだと書いていました。

DIAMOND online
ゴーン氏逮捕でフランス社会から見える、日本の「集団手のひら返し」

永田氏が書いているように、サラリーマンの社会でも、ある日突然梯子を外されることはめずらしくありません。永田氏によれば、手の平返しは権威主義を重んじ集団的な和を尊ぶ「アジアやアフリカ諸国に多い」そうですが、たしかに、中国や韓国などでも手の平返しの話はよく聞きます。大統領経験者に対する韓国世論の手の平返しなどは、その最たるものでしょう。

東京地検特捜部の(国策捜査であるがゆえの)荒っぽい手法については、元検事で弁護士の郷原信郎氏が、下記のインタビューで、法律の専門家の立場から疑問を投げかけていますが、しかし、日本のメディアの報道にこういった視点は皆無です。ただ、「検察は正義」の幻想を痴呆的に振りまくばかりです。

VIDEO NEWS(ビデオニュース・ドットコム)
不可解なゴーン逮捕と無理筋の司法取引説

一方で、ゴーン逮捕の“副産物”として、日本が人権後進国であることが世界に知られたのは、誠に慶賀すべきことと言えるでしょう。

朝日のパリ特派員が、フランスのメディアの反応を伝えていました。

朝日新聞デジタル
ゴーン容疑者いる拘置所「地獄だ」 仏メディアが同情?

記事によれば、フィガロ紙は、「『検察の取り調べの際に弁護士も付き添えない。外部との面会は1日15分に制限され、しかも看守が付き添い、看守がわかる言葉(日本語)で話さなければならない』と指摘し、『ゴーン容疑者の悲嘆ぶりが想像できるというものだ』と報じている」そうです。

また、いわゆる日本式「人質司法」についても、つぎのように書いていました。

 フランスでは容疑者が拘束された際、捜査当局による聴取の際に弁護士が同席でき、拘束期間もテロ容疑をのぞき最長4日間(96時間)と定められている。このため、ゴーン容疑者の環境がとりわけ厳しく映ったようだ。


これでは、ニッポン凄い!どころか、日本ヤバい!になりかねないでしょう。

ちなみに、東京地検特捜部と密通して、ゴーン逮捕を事前にスクープしたのが、他ならぬ朝日新聞でした。だから、上記の記事も、どこか斜に構えたような感じになっているのでしょう。
2018.11.24 Sat l 社会・メディア l top ▲