新型コロナウイルスは、アメリカやヨーロッパにまで拡散しはじめています。いよいよパンデミック(世界的大流行)の様相を呈して来たと言っていいでしょう。世界的な株価の暴落もむべなるかなと思います。

IOCの委員からは東京オリンピックの延期論まで出ていますが、安倍政権の場当たり的な彌縫策の背景に、開催まで半年に迫ったオリンピックに対する焦燥があるのはあきらかでしょう。政府の対応は、気温が上がればウイルスの感染力が弱まるので、それまでの時間稼ぎの色合いも濃いように思います。しかし、言うまでもなく、春になり気温が上がるのは日本とその周辺だけです。地球の反対側は、天候が逆なのです。

仮にトランプが言うように、「魔法のように」ウイルスが消えてなくなったとしても、感染源のアジアに対する風評は残るでしょうし、なにより観光地としてのイメージの低下は避けられないでしょう。ネトウヨや産経新聞や夕刊フジやフジテレビ(フジ・サンケイグループですが)のように、「日本は、中国や韓国と違うんだ」といくら言っても、世界から見れば、日本も中国も韓国も同じ穴のムジナなのです。アジア(あるいはアジア人)とひとくくりに見られるだけです。

これで安倍政権が掲げる「観光立国」も砂上の楼閣で終わるでしょう。アメリカと(見えない)戦争をしている中国と傍観者の日本の違いはあるにせよ、中国の毅然たる対応と右往左往するばかりの日本の差は、誰が見ても歴然としています。日本のメディアや国民は、そうは思いたくないのでかたくなに否定するでしょうが、これで中国の習近平の独裁体制はより強固なものになり、新型コロナウイルスをきっかけに、これからますますアジアの盟主としての地位を固めていくに違いありません。

一方、多極化でご主人様を失う日本は、中国の周辺国として、かつての「東夷」の国のような扱いに甘んじなければならないかもしれません。ネトウヨの中国人ヘイトも、単に負け犬の遠吠えにすぎないのです。

中国の習近平の指導者然とした強いリーダーシップには、一党独裁国家の”強み”が出ているように思います。それに対して、アメリカのトランプや日本の総理大臣の能天気な「バカっぽさ」には、民主主義国家の弱点が出ているような気がしてなりません。選挙で指導者を選ぶ民主主義国家の国民は、なにより聡明さと見識が求められるのですが、残念ながらそれは絵に描いた餅にすぎません。「バカっぽい」国民が選んだのは、同じように「バカっぽい」指導者だったのです。

新型コロナウイルスの報道で、私たちがあらためて目にしたのは、武漢の近代的な都市の風景であり、中国の病院の最新の設備でした。たしかに貧富の差はあるのかもしれませんが(それは日本だって同じです)、あれだけの人口を抱えながらめざましい経済発展を遂げた国力は、やはり認めざるを得ないでしょう。既に名目GDPでは、日本は中国にぬかれています。中国は、ネトウヨやフジ・サンケイグループやデーブ・スペクターの会社のスペクター・コミュニケーションズが言うような「野蛮で遅れた国」なんかではないのです。

それは中国だけではありません。OECD(経済協力開発機構)の発表によれば、2018年の1人当たりGDPでは、日本はとうとう韓国にもぬかれたのだそうです。2012年、経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」が、日本の1人当たりGDPが2030年までに韓国に抜かれ、「先進国から転落しかねない」という長期予測を発表したのですが、2030年どころか2018年にあっさりぬかれてしまったのです。テレビ東京の頭のハゲた株屋のおっさんのように、アベノミクスの上げ底の株価に浮かれている間に、ハイスピードで日本は先進国から転落していたのです。これほど「バカっぽい」話はありません。

21世紀の世界にとって、今回の新型コロナウイルスが、単に公衆衛生上の問題にとどまらず、多極化に伴う世界分割の軍事的経済的な意味においても、大きなメルクマールになるのは間違いないでしょう。「風邪と同じでたいしたことない」という、国民に思考停止を強いるような反動主義者のデマゴーグに、ゆめゆめ騙されてはならないのです。
2020.02.29 Sat l 社会・メディア l top ▲