前の記事で書いたように、22日、IOCは東京オリンピックについて、延期も含めて4週間以内に結論を出すと表明したのですが、それから僅か2日後の24日、安倍首相とIOCのバッハ会長が電話会談をして、日本側から「1年程度の延期」が提案され、バッハ会長もその場で同意。IOCの理事会も即日、延期を承認して、あれよあれよという間に「1年程度の延長」が決定したのでした。これにはたまげました。

じゃあ、4週間以内に結論を出すという22日の声明はなんだったのかと思わざるを得ません。延長の提案は、中止の決定を怖れた日本政府が先手を打ったと言われていますが、IOCの権限はそんなにいい加減なものだったのかと言いたくなります。

「1年程度の延期」という提案も、安倍首相の任期が関係しているという見方があります。安倍首相の自民党総裁の任期は来年の9月までですから、それまでにオリンピックを開催して、総理大臣として歴史に名を残したいという個人的な野望が強くはたらいていると言われているのです。さすが野党の立憲民主党までがひれ伏す独裁者だけあります。

オリンピックの「1年程度の延長」が決定したら、さっそく外務省は、国民に向けて、全世界を対象にした不要不急の渡航の自粛を呼びかけました。また、小池東京都知事も歩調を合わせるように、「感染爆発の重大局面」に差し掛かったとして、今週末は不要不急の外出を自粛するよう都民に要請したのでした。オリンピックまでの時間的な猶予ができたので、昨日までと打って変って“事態の重大さ”を前面に出してきた感じです。

オリンピックの延期が決まった途端に、東京都の感染者数が跳ね上がったのは、どう見ても不自然です。また、「緊急会見」と言いながら、フリップを用意していたのも、あまりにも準備が良すぎる気がします。

7月の都知事選では、自民党は小池知事の対抗馬の擁立を「断念」したそうですが、自民党の決定とこの連携プレーは関係があるのではないかと、穿った見方をしたくなります。

おそらく早晩、安倍首相によって「緊急事態宣言」が出されるのは間違いないでしょう。急に跳ね上がった感染者数は、その布石なのでしょう。対抗馬の「断念」は、お膳立ての見返りなのではないか。その結果、自民党の改憲案を先取りする待望の“戒厳令ごっこ”が”帝都”で行われることになるのです。安倍首相にとって、これ以上のお膳立てはないでしょう。

震災もそうでしたが、何かことが起きると、国家は私たちの前に立ち現れ、そして、「国難」を口実に、国家に従属する日常をわたしたちに強制します。「緊急事態」条項というのは、その暴力的な要請にほかなりません。何度も言いますが、特措法改正に賛成した立憲民主党は、もはや「リベラル」を名乗る資格もありません。

ここに至っても、安倍内閣の支持率は40%台後半でそんなに落ちていません。一方、立憲民主党は、野党第一党と言っても10%を割り一桁の支持率しかありません。立憲民主党は、今後、益々集票組織の連合への依存度が増し、連合の“右派労働運動の論理”にがんじがらめに縛られるようになるのは必然です。連合は、立憲民主党が旧民社党のような存在になってほしいと思っているはずです。そのための「労働戦線の右翼的再編」だったのですから。

しかし、新型コロナウイルスは、世界の感染状況を見てもわかるとおり、もはや国家のコントロールが効かないほどモンスターと化しています。日本だって、国民の半分以上が感染する事態が訪れるかもしれません。そうなれば、“戒厳令ごっこ”も、オリンピックも、感染者数の隠ぺい工作も、すべてふっ飛んでしまうでしょう。

もちろん、私たち自身も、いつ感染してもおかしくないのです。「風邪と同じでたいしたことない」「検査なんかしても仕方ない」と言っていた古市憲寿や橋下徹や堀江貴文や安倍マンセーのネトウヨたちだって、いつ感染するかもしれないのです。もしそうなったら朝日新聞の編集委員のように、「痛快」と言いたくなるかもしれません。

その前に、インバウンド頼りだった日本経済の脆弱さが露わになり、経済的に破産する人が続出するでしょう。いつ(何年経ったら)終息するかわかりませんが、仮に終息しても、暫くの間、外国人観光客が戻って来ることはないでしょう。観光地で商売している人に聞けばわかりますが、日本人の消費なんてたかが知れているのです。いくら現金を配り、高速料金を無料にしても、国内消費だけでは国の経済はまわらないのです。既に1人当たりのGDPでは、日本は韓国にぬかれていますが、日本経済の凋落はさらにスピードを増すに違いありません。

その一方で、東証の株価が26年ぶりの上げ幅を記録するなど、株式市場は異常な状態になっています。麻生財務大臣は、国会の答弁で「我々は、野党とではなくマーケットと仕事をしているんだ」と啖呵を切っていましたが、そのマーケットは実体経済を離れたマネーゲームの賭場になっており、日銀のETFによる爆買いは火事場泥棒の投資家たちの恰好の餌食になっているのです。麻生財務大臣はマンガが愛読書だそうですが、文字通りマンガみたい話です。

テレビでは感染の専門家が、全体の感染者の中で、「感染経路不明」の感染者が半数を超えると「感染爆発」に至る「危険な状態」になると解説していましたが、しかし、実際は「危険な状態」はとっくに訪れているのではないか。(何度も言いますが)ただ意図的にPCR検査をサボタージュしているので、「危険な状態」が顕在化していないだけで、今後検査を受ける人が増えれば、「感染爆発」の実態があきらかになってくるでしょう。しかし、「感染爆発の重大な局面」に差し掛かっていると言いながら、公立学校の休校措置は解除されるのです。やっていることがどう見てもチグハグです。

全ては子どもじみた「バカっぽい」政府を持ったツケと言えるでしょう。私たちは、そのツケを払わされているのです。でも、それでも地球は回るではないですが、それでも衆愚は衆愚でありつづけるのでしょう。彼らは、”動員の思想”でいいように煽られ、まるで狂った蟻のように、せっせせっせと買いだめに走るだけなのでした。
2020.03.26 Thu l 社会・メディア l top ▲