最近、「日本の異常」ということを考えないわけにはいきません。と言うと、ネットだったら(このブログもネットだけど)「だったら日本から出て行け」「反日」と罵言を浴びせられるのがオチでしょう。

誰もその異常を疑おうとしないのです。言うなれば、異常が日常化しているのです。オリンピック開催にこだわるがゆえにアクセルを吹かしつづけた挙句、アクセルが戻らなくなり暴走車のようになっているCOVID-19対策などはその最たるものですが、日本の異常はそれだけではありません(オリンピックなんてできるわけがないと誰も言わないのも異常ですが)。

ひとつは、眞子さんの結婚に対してです。小室さん母子に対するバッシングも異常ですが、眞子さんが結婚の意思に変わりがないと表明し、続けて父親の秋篠宮が条件付きながらも「結婚を認める」と発言したことに対して、いっせいに巻き起こった眞子さん本人や秋篠宮家に対するバッシングも、もはや常軌を逸していると言っても過言ではないでしょう。

元衆院議長の伊吹文明も、「小室さんは週刊誌にいろいろ書かれる前に、やはり皇嗣殿下がおっしゃっているようなご説明を国民にしっかりとされて、そして国民の祝福の上に、ご結婚にならないといけないんじゃないか」などと、まるで小室さんに説明責任があるかのような発言をしたそうです。

私などは、その前に「安倍さんは過去の国会答弁について国民に対する説明責任がある」と言うべきではないかと思いますが、伊吹文明にとっては、安倍よりも小室さんの説明責任の方が優先度が高いのでしょう。

また、伊吹文明は、秋篠宮が「結婚を認める」理由としてあげた「憲法に明記された婚姻の自由を尊重すべき」という発言に対しても、「皇族方は、(中略)法律的には日本国民ではあられない」ので、皇族は日本国憲法が認める「婚姻の自由」や「幸福追求の権利」が保障されるわけではないという旨の発言もしているそうです。これは、生活を保障するからカゴのなかの鳥でいろと言っているようなものでしょう。

「婚姻の自由」や「幸福追求の権利」が、日本国憲法が認めているから成立するような、そんなチンケな権利ではないことは子どもでもわかる話でしょう。人権ということばの意味も理解してないのではないか。こういう人物が国権の最高機関の長を務め、政権党の重鎮と遇されているのですから、政権党のなかから民主主義や歴史を否定する言動が出てくるのもむべなるかなと思います。

これでは、眞子さんや佳子さんが封建的な日本を離れて海外で結婚生活を送ろうと考えても仕方ないでしょう。もう彼女たちの人生に、天皇制がそぐわなくなっているのは事実なのです。むしろ、皇族であるが故に、人権も認められない、幸福を追求する権利もない人生に疑問を抱かない方がおかしいのです。

封建的と言えば、もうひとつ、「日本の異常」を痛感する出来事がありました。

それは、群馬県の草津町で、女性の町議会議員が村八分のようなリコールで失職した件です。町長室で町長から性被害を受けたと告発した女性議員に対して、「嘘を言って議会の品位を汚した」として町議会議長を中心にリコール運動が行われ、住民投票の結果、賛成2542票、反対208票という92%の圧倒的多数でリコールが成立、裁判で真相があきらかになる前に女性議員が町議会から追放されることになったのでした。

草津町議会を傍聴した北原みのり氏は、その異常さについて、次のように書いていました。

 休憩を挟んで議場に戻ろうとしていた男性議員たちが「傍聴席のヤツラ! 今日はやりにくい」と大声で言っているのが聞こえた。「ヤツラ」と言うんだな……と驚いたが、普段から傍聴している人によると、「今日は議場がいつもより穏やか」とのことだった。いつもは新井議員への嘲笑や暴言、叱責が激しいといい、この日は傍聴席の女性が圧になっていたのは確かのようだ。

 一方、傍聴席は殺気だっていた。70代くらいの男性たちが前列に座る私たちの背後から、「こっちにだって選ぶ権利あるんだよ」「誰があんな女と」「犬だってしねぇよ」と声を浴びせたり、「(性被害が)本当なら(時間的に)町長はニワトリだ」と盛り上がったりもしていた。ニワトリの意味は、すぐ射精するとのことらしい。コケッコッコーと言っては笑っていた。セクハラを背中からずっと浴び続けた思いになる。

AERAdot.
殺気だつ草津町傍聴席「犬だってしねぇよ」 セクハラを背中で浴び続けた気分になった


また、草津町を取材したハーバー・ビジネス・オンラインも、次のように書いていました。

(略)この住民投票の一番の問題は、どこかの一般町民がリコールをしようと言い出したのではなく、なんと、草津町議会の議長が中心となってやっている点です。だから、公共施設にまでリコールに賛成を呼び掛けるポスターが貼られているのです。ここには「住民投票の公平性」という概念は一切ありません。これはもう民主主義でもありゃしないのです。

 今回の新井祥子議員のリコール住民投票は、明らかに「町ぐるみ」で仕掛けられています。これはとても深刻で重大な問題です。本来、自治体というのは住民投票の公平性を担保しなければなりません。賛成するか反対するかはあくまで「住民の意思」で決められるものであって、町がどちらかを推奨するということがあってはならないのです。ところが、草津町では公民館や児童室といった公共施設の駐車場にポスターが貼ってあって、新井祥子議員のリコールに賛成するように促していました。

ハーバー・ビジネス・オンライン
群馬県草津町の「町議リコール」住民投票がはらむ、性被害の事実以前の大きな問題


リコール(解職賛成)を呼びかけるポスターは、観光客が訪れるバスターミナルにも貼られており、「こんなにイカれた話はありません」と書いていましたが、草津町は町あげてリコールに狂奔していたのです。文字通り”異常な町”と化していたのです。町内に9ケ所ある共同浴場にも、あの有名な湯畑の近くにも、ポスターは貼られていたそうです。なんだか横溝正史の小説に出てくる村のようです。

草津町というのは、温泉を資源にビジネスをしている人が多く暮らしているため、町長や議員を敵に回すことは、イコール、この地で商売ができなくなってしまうということであり、非常に閉鎖的な町です。議員になる人も、ホテルや旅館の二代目や三代目だったりして、そもそも町長に逆らうような人はいません。
(同上)


草津温泉を訪れる女性客を笑顔で迎える「ホテルや旅館の二代目や三代目」の主人たちが、一方で、議会ではミソジニー(女性蔑視)の権化のような顔を見せていることを観光客は知る必要があるでしょう。

この異常に対して、職員組合はどうしているのかと思ったら、草津町には職員組合はないのでした。「公共施設にポスター」「町ぐるみのリコール運動」の理由がわかった気がしました。

しかも、北原みのり氏は、Twitterに次のような驚くべき光景をツイートしていました。中澤議員というのは、議会で唯一女性議員のリコールに反対したために、懲罰動議をかけられた議員です。

北原みのり草津町
https://twitter.com/minorikitahara/status

村八分に加担する日本共産党。日本共産党の日常活動はとうとうこのレベルまで来たのかと思いました。自由と人権を守る党が聞いて呆れますが、そこにはいみじくも左の全体主義の体質が露呈していると言っていいでしょう。「日本の異常」には右も左もないのです。
2020.12.09 Wed l 社会・メディア l top ▲