今日の昼間、引越し先の下見に行って渋谷に戻る電車の中でのことでした。

ドアの横に立っていた私は、乗ってきたおばあさんからいきなり質問されました。

「これは二子玉川に行くんですかね?」

私は一瞬戸惑い、ドアの上にある路線図に目をやりました。しかし、そこに”二子玉川”の駅名はありませんでした。

「えーと、東横線に二子玉川はないので、たしか自由ヶ丘で乗り換えなければならないんじゃないかと思いますが‥‥」
「エッ、そうなんですか?」
「多分‥‥」

と、そのときです。後ろの方で「二子玉川は自由ヶ丘で乗り換えですよ」と女性の声がしました。振り返ると、学生らしき若い女性がニコニコしながら立っていました。

「そうですよね。自由ヶ丘で大井町線に乗り換えですよね?」と私が言うと、「そうです」と首を縦に振っていました。

そして、次の田園調布の駅で彼女が降車しようとすると、何を思ったかおばあさんも一緒に降りようとするのです。

私は、「違いますよ! 自由ヶ丘は次ですよ!」とおばあさんに呼びかけました。すると、既にホームに降りていた彼女も「違いますよ」と言いながら、おばあさんの手を取って電車の中に誘導したのでした。

おばあさんは「いつからこうなってしまったんでしょうね」「すっかり変わってしまって」とさかんに私に話しかけていました。

「自由ヶ丘は次ですか?」
「そうです。自由ヶ丘で降りたら東急大井町線に乗り換えるんですよ」
と私。
「いくつ目の駅ですか?」
「えーと、たしか1つ目だったような‥‥」

そんな会話をしているうちに、自由ヶ丘の駅に到着しました。

「ここですよ」
「あっ、どうもありがとうございました」
と言っておばあさんが降りようとしたときです。やはり20代前半くらいの若い女性が私に向かって、「私もニコタマ(二子玉川のこと)に行きますので」と言ったのです。

そして、「私も二子玉川に行きますので大丈夫ですよ」と言っておばあさんの手を取ったのでした。

私は思わず「お願いします」と言いましたが、なんだかすごくうれしい気持になりました。

ちなみに、車内は結構混んでいて、側には若い男性や中高年のサラリーマン達もいたのですが、みんな知らんぶりでした。
2006.10.30 Mon l 日常・その他 l top ▲