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昨日、NHKスペシャル(再放送)の「松田聖子、女性の時代の物語」を観ました。

私のまわりでも、特に仕事を持っている30代40代の女性で彼女のファンというのはホントに多いのです。

ちなみに、私も若かりし頃買った「Pineapple」というアルバムを今も大事に持っています。

もっとも、番組のタイトルに関しては、今更「女性の時代」もないだろうと思いました。また、番組中、彼女にインタビューしていた脚本家の大石静さんが、「世間に大見得を切った最初の女性」と言ってたのもいささかオーバーじゃないかと思いました。

実際、インタビューの中でも、彼女の口から出て来る言葉はどれもありきたりで、特に「すごい」と思うようなものは何もありませんでした。それに、彼女が切望したアメリカ進出も、どう考えても失敗でしかないし、そもそも彼女にアメリカ進出するだけの実力があったとはとても思えません。

そんな凡庸な一面があるにもかかわらず、松田聖子という存在はいつも輝いているし、人々を惹きつける磁力を持っているのです。まさにそれがスターたる所以ではないでしょうか

フェミニストの小倉千加子は、『松田聖子論』(朝日文庫)の中で、松田聖子の世界には、近代的家族制度への「反抗と回帰の間で揺れながら、最終的には『ママのようなつまらない生き方』を自ら繰り返そうとしない<決断>」があると書いていましたが、それがファンたちが彼女に魅かれる、もうひとつの理由なのかもしれません。

数々のスキャンダルやバッシングにもめげずに前へ前へと進んでいく彼女の姿も併せて、ファンは松田聖子の世界に共感し憧れるのでしょう。そんな彼女に対して、私は同じ九州の人間として、九州の女子(おなご)の強さを感じます。

女性がこの社会で自分らしく生きていくのが如何に大変であるかは、今更言うまでもないでしょう。まだまだ「女性の時代」と言うにはほど遠い現実があることも事実なのです。

女性の知人からよく「男はいいよね~」「女というだけで損することが多いんだよ」と言われますが、たしかに、女性であるというだけで軽んじられ悔しい思いをすることが多いのも事実でしょう。

そんな中で、いつまでも若く、そして、ときに世間的な価値に抗って自分の生き方を貫いている彼女を多くの女性達が支持するのはなんとなくわかるような気がします。もし松田聖子が今もまだ幸せな結婚生活をつづけていたら、こんなに多くの女性達に支持されることはなかったのではないでしょうか。

番組では、「女性の時代」を強調するあまり、起業家や管理職の女性ばかりを取り上げていましたが、松田聖子ファンの中ではむしろそんな女性達は例外ではないでしょうか。

お金やポストだけで力強く生きていけるほど人生は単純ではないし世間は甘くはないし、それに、誰しもそんなチャンスに恵まれるわけではありません。だからこそ、女性性を逆手にとってたくましく且つしたたかに生きている松田聖子が支持されるのだ思います。



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2007.04.13 Fri l 芸能 l top ▲