女優の深浦加奈子さんが亡くなったというニュースを聞いてびっくりしました。深浦さんとは以前、友人がやっていた店で何度かお目にかかったことがあります。とても気さくで明るい方でした。ちょうど「たそがれ清兵衛」が公開されたあとだったので、その話をした覚えがあります。新聞記事によれば、5年前にS状結腸ガンを発病され、闘病しながら仕事をされていたそうです。ということは、あの頃はもう既にガンを発病されていたのでしょうか。あの明るい笑顔からはとてもそうは見えませんでした。

速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。細く長くか太く短くか、いずれにしても使いきってしまえば死ぬよりほかにない。どのくらいのはやさで生きるか?

『いつだってティータイム』


これは、若い頃好きだった作家の鈴木いづみの言葉です。最初にこの言葉と出会ったのは、まだ高校生のときでしたが、九州の片田舎の高校生には衝撃的な言葉でした。五木寛之は鈴木いづみのことを「一周速すぎるトップランナーだ」と言ってました。よく考えれば、この言葉には日本の仏教の死生観と通じるものがあるように思います。

人生だけでなく、愛情の絶対量も苦しみの絶対量もはじめから決まっているのかもしれません。この宇宙の時間の中で見れば、私達の一生なんてそれこそ瞬きするほどの一瞬のことでしかありません。そう考えると、なんだかこんな人生でもいとおしく感じられるものです。煩悩具足の凡夫たる私達はそう思ってこの生を全うするしかないのでしょう。
2008.08.26 Tue l 訃報 l top ▲