地下鉄サリン事件に関連して警視庁から特別手配されていた菊池直子が逮捕されたというニュースを見るにつけ、なんだかせつなく思えてなりませんでした。

テレビなどは、「被害者のことを考えると」というおなじみの”枕詞”を使って、彼女に対する同情心を払拭するのに躍起になっていますが、でも、同じような気持を抱いた人は多いのではないでしょうか。

サリン製造に関与したとか言われていますが、実際はただの使い走りだったようで、彼女自身が言うように、「何を造っていたか知らなかった」というのが真相なのでしょう。

高校生のときに親の反対を押し切って入信、大学に進んですぐに出家した彼女は、あまりにも生真面目で純粋で世間を知らなすぎたのです。そこには、カルトにはまる若者の典型的な姿があるように思います。

それにしても17年は長いなと思います。昨今の厳罰主義の流れを受けて、2010年に刑事訴訟法が改正され時効が廃止になるまで、殺人罪の時効は15年だったのですが、彼女を見ると、やはり「時効」という考え方はあってもいいのではないかと思ったりします。

もっとも関与の度合いから言っても、彼女の場合、殺人罪や殺人未遂罪による起訴は無理ではないかという意見もあります。彼女は、末端の出家信者にすぎなかったわけですから、逃亡しなければ、ここまで「大物」扱いされることもなかったように思います。すべてが教団に翻弄されたという感じですね。

結婚を申し込まれたとき、自分の素姓を正直に告白したというのは、彼女の愛が本物だったからでしょう。そのとき、彼女は初めてカルトの洗脳からぬけた”本当の自分”に出会ったのではないでしょうか。木嶋佳苗は、逮捕されるまで「恋人」に本名を伝えてなかったのですが、それに比べればなんと純粋で一途なんだろうと思います。

逮捕されたとき、「もう逃げなくていいのでホッとした」と言ったそうですが、その言葉に嘘がなければ、彼女はもう充分罰せられているという気がしないでもありません。
2012.06.05 Tue l 社会・時事 l top ▲