インターーネット競売サイト・ペニーオークションの詐欺事件に関連して、「『ペニオク』虚偽紹介の芸能人20人超 報酬見返りに」という見出しで、朝日新聞デジタルにつぎのような記事が掲載されていました。

 捜査関係者によると、ほしのさん以外にも、人気お笑いコンビの男性や、グラビアアイドル、俳優ら20人以上が、摘発されていないものを含む複数のペニーオークションのサイトで、低価格で商品を落札したとの書き込みをしていたのが確認された。多くは「低価格で落札できた。そのサイトはこちら」とサイトのリンク先を紹介していたとされる。
(朝日新聞デジタル 12月14日(金)18時42分配信)


ちなみに、既に名前があがっている芸能人は、ほしのあき・ピース綾部・小森純・菜々緒・山下梨奈(山下智久妹)・東原亜季・永井大・熊田曜子・松金よう子・藤井梨花などです。詐欺の片棒を担いだわけですから弁解の余地はないでしょう。

私は、この話を聞いて、以前、賞味期限切れの食品だかを売ったスーパーが、レシートなしでも代金を返金すると告示したところ、それが朝からパチンコ屋に並んでいるような人たちの間に口コミで広がり、金髪の若者たちがわんさか押しかけたため、返金額が販売額をはるかにオーバーする事態になったという話を思い出しました。

この手の芸能人は、パチンコ屋にたむろするヤンキーや、振込め詐欺をやっている”半グレ”の元暴走族などと同じで、人を騙してお金を儲けることになんの痛痒も感じない部類の人たちなのでしょう。

もちろん、これが氷山の一角であることは言うまでもありません。別冊宝島(1867号)『誰も書けなかったネットビジネス 13兆円の危険な錬金術』(宝島社)のなかに、芸能人のブログを使ったステルス広告の実態が詳しく書かれていますが、それを読むと、いまやステルス広告が「もうひとつのおいしいビジネス」として、ネットビジネスの一角を占めていることがよくわかります。

その舞台のひとつに、アメーバの芸能人ブログがあります。どうしてアメーバにはあんなに芸能人のブログが多いのだろうと思った人も多いかもしれませんが、もちろんそれは”偶然”ではないのです。

芸能人はどうして買ったものや食事に行った店などをいちいち自慢たらしくブログで報告するんだろう、と疑問に思う人は、正常な感覚の持ち主で、ステルス広告に騙されることはないかもしれません。でも、そういった人は圧倒的に少数です。多くは、「カワイイ!!」「アタシも欲しい!!」とコメントする人たちと同類項なのです。だから、芸能人を使ったステルス広告の効果は絶大で、広告代理店のあらたなビジネスになっているのです。今回の騒動は、たまたま事件化されたので、その一端が表に出たにすぎません。

ただ、サイバーエージェントは、芸能人がブログで商品紹介をするのは、ステルス広告ではなく、「口コミマーケティング」だと言っているそうです。

 アメプロを運営するサイバーエージェントの「商材紹介資料」によると、これは「記事マッチ」、つまり「芸能人・有名人ブロガーに、御社の商材に記事を提供するマーケティング手法」だという。
「芸能人、有名人の知名度を生かしたブランド事業の向上」がセールスポイントで、価格は1回につき60万~300万円。
(上記別冊宝島より 「蔓延する『ステルス広告』の罠」一条茂・文)


もっともこれはネットに限った話ではなく、従来からテレビや雑誌などで使われていた手法をネットに応用したにすぎません。それどころか新聞記事にも、ステルス広告が紛れ込んでいると言われています。折しも衆院選の真っ最中ですが、ある意味で究極のステルス広告は、世論を特定の方向に誘導する大手新聞の政治記事なのかもしれません。

日本は外国に比べて広告代理店の力が大きいため、こういった”不都合な広告”がメディアをおおうことになるという指摘があります。ここまで巧妙に仕掛けられていると、なにがステルス広告でなにがそうではないのか、見極めるのさえ難しい気がします。そして、そんな”情報の罠”に囲まれている私たちは、踊らされてお金を使い、踊らされて「愛国」を叫び、踊らされて”やっぱり元の木阿弥党”に投票する、ただのマーケティングのターゲットにすぎないのかもしれません。
2012.12.14 Fri l ネット・メディア l top ▲