商売に差し障りがあるといけませんので、あまり突っ込んだ話はできませんが、以前、新聞にこんな記事が出ていました。

電車内のベビーカー利用に賛否両論 啓発ポスター引き金

 列車でのベビーカー利用に理解を求める鉄道会社や東京都のポスターに、批判が寄せられている。車内で通路をふさぐなどと苦情があり、鉄道会社はマナー向上の呼びかけに力を入れている。
 「ベビーカーでの電車の乗り降りには注意が必要です。周りの方のお心づかいをお願いします」「車内ではストッパーをかけて」
 首都圏の鉄道24社と都は3月、利用者に呼びかけるポスター約5700枚をJR東日本や私鉄、地下鉄の駅に張り出した。少子化対策の一つで、担当者は「赤ちゃんを育てやすい環境をつくる」と話す。
 だが、利用者から「ベビーカーが通路をふさぐ」として、ポスターに対する疑問の声が都に寄せられた。都営地下鉄には「車内でベビーカーに足をぶつけられた」「ドアの脇を占領され、手すりを使えなかった」との声が相次いだ。
 JR東日本にも「ポスターがあるからベビーカー利用者が厚かましくなる」「ベビーカーを畳もうというポスターも作って」と意見が寄せられたという。ネットでは意見が1千件以上飛び交っている。 (以下略)
(朝日新聞デジタル 2012年8月26日18時17分)


私は、最初、ポスターに対して、ベビーカーを使用する母親たちから「批判が寄せられている」のかと思ったら、そうではなくて、ほかの乗客たちからだったのです。要はそうやってベビーカーの車内持ち込みを追認していることに反発しているのです。車内持ち込みを規制しろと言っているのです。

たしかに、日常的に電車を利用する人間からみても、(別に電車内に限りませんが)ベビーカーのマナーの悪さが目に付くのは事実です。特に週末の自由が丘のホームなんてそれこそ”ベビーカー天国”で、乗り換えで自由が丘に途中下車するのさえためらわれるほどです。

そういった声に対して、「どうしてこんなに子育てに冷たい社会になったのか」とコメントしている「識者」がいましたが、問題はそういったことではないでしょう。マナーの悪い人が多い。そのために同じベビーカーユーザーでも、まわりに気を使うような人たちほど肩身の狭い思いをしなけければならない。そういった悪貨が良貨を駆逐する状況になっている。ただそれだけのことです。

こういった「識者」のようなもの言いがいわゆる”常套句”で、なにかを語っているようで実はなにも語ってないのです。

ネットでアルファブロガーとして「評価」されているブログなどを読んでも、やはりこの手の”常套句”のオンパレードです。それは、「明日は雨が降るけど天気がいいでしょう」式のマスコミの文体の模倣でもあります。ある人はそれをオブスキュランティズム(曖昧主義)と言ってました。

ネットはなにか新しくて、従来のメディアとは違う(対立する)ものであるかのようなイメージがありますが、実はそうではなくて、ただ従来のスタイルを踏襲しているだけです。そして、マスコミの(制度化された)文体を模倣するブログが、アルファブロガーとして「評価」されるのです。「バランスが取れた考え方」「抑制した表現」「目配りのある文章」と言われるものがそれです。

なぜなら、フーコーの規律訓練型権力ではないですが、私たち自身がそういった思考法を学校やマスコミなどによって訓練されてきたからです。でも、それはなにかを語っているようで実はなにも語ってない。なにかを考えているようで実はなにも考えてないのです。私のこの記事も例外ではありませんが、別に強制されなくても、当たり障りのないように自主規制しているのです。そうやって泣く子と地頭には勝てない「愚民社会」の安寧と秩序に貢献しているだけです。
2013.02.18 Mon l ネット・メディア l top ▲