アメリカ国家安全保障局(NSA)によるネット監視を暴露したエドワード・スノーデン氏に対して、ベネズエラやニカラグアやボリビアなどが亡命の受け入れを表明しているにもかかわらず、アメリカ政府の妨害によって、スノーデン氏は依然としてモスクワの空港から動くに動けない状態にあるようです。

今日、スノーデン氏がロシア政府に亡命申請したというニュースがありましたが、もしそれが事実であれば、今の膠着した状態を打開する当面の策として、ロシア亡命が選択されたのは間違いないでしょう。

それにしても、まさに手段を選ばないようなアメリカ政府の強硬姿勢には、「アメリカンデモクラシー」を標榜する国家の、その裏にあるデモクラシーもクソもない凶暴な一面を垣間見た気がします。日本風な言い方をすれば、衣の下から鎧がのぞいた感じで、これこそが<帝国>たるアメリカの本当の姿なのでしょう。

一方、“対米従属愛国主義”とでも言うべき、ナショナリズムまでもが対米従属を前提にしているこの国で飛び交っているのは、スノーデン氏は中国のスパイだとかどうだとか本末転倒した話ばかりで、自分たちのネット情報が国家や企業にのぞき見されているという認識すら持ってない(持てない)かのようです。どこまでおめでたいんだと言いたくなります。

マスコミの報道も焦点がボケたような手ぬるいものばかりですが、そのなかで朝日新聞が連載している「特集データーセキュリティー(盗み見られる個人情報)」は、私たちが置かれている「ネットの時代」の現実を知る上で、タイムリーで秀逸な企画だと思いました。

「そんなことはわかっている」「今さらめずらしい話ではない」などとわけ知り顔に言うネットの事情通たちは、今まで「グーグルはすごい!」「フェスブックはすごい!」となんでも「すごい!」「すごい!」と言い続けてきたのです。そういうお粗末な感覚もネットの特徴だと言えます。

スノーデン氏が持ち出した機密資料を分析したイギリスのガーディアン紙によれば、グーグルやマイクロソフトはNSAの監視に積極的に協力していたそうです。なんのことはない、アパートの大家がのぞき魔に手を貸していたのですから、あいた口が塞がらないとはこのことでしょう。それに対して、米ヤフーが監視ソフトの「PRISM」に、かなり抵抗していたという意外な事実もあきらかになっています。

いわゆるジャスミン革命に、グーグルやフェイスブックが関与していたことは、当のグーグルやフェイスブックも認めていますが、私はそれを聞いて、どんな方向であれグーグルやフェイスブックのような企業が政治に関与すること自体、あってはならないことだと思いました。一方、無定見にジャスミン革命を賛美するこの国の左派やリベラル派に対しても、私は違和感を覚えていました。

NSAとグーグルの関係からみても、ジャスミン革命=アラブの春に<帝国>の意向がはたらいていたことは事実でしょう。今のエジプトの動乱もその脈絡でとらえるべきなのです。

ネットは自由ではないし、ネットでは民主主義は育たない。たしかにネットは便利なツールですが、それ以上でもなければそれ以下でもないのです。ましてネットは政治のあり方や人の生き方を決めるものなんかではないのです。ネットはそんなものとは関係ないのです。

>> ビッグデータと総監視社会
2013.07.16 Tue l ネット・メディア l top ▲