さる3月8日、埼玉スタジアムでのサガン鳥栖戦で、浦和レッズのサポーターが、「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕を掲げた問題で、Jリーグは、次回埼玉スタジアムで予定している清水エスパルス戦のホームゲームを観客を入れない「無観客試合」にする処分を下しました。

Jリーグで無観客試合の処分が出るのは初めてで、これまでで最も重い処分だそうですが、私は、それでも甘い処分に思えてなりません。今回の問題は、浦和の残り全試合を中止にするとか、浦和の勝ち点をすべてはく奪するとか、そのくらいの処分をおこなってもおかしくない犯罪的行為だと思います。

欧米だと間違いなく犯罪として処罰されるでしょう。しかし、総理大臣をはじめ歴史修正主義者の政治家が、内閣や与党の要職に就いているこの国では、まったく事情が異なるのです。目撃者の話によれば、「JAPANESE ONLY」の横断幕も、試合終了後、外国人の観客が写真を撮りはじめたのを見て、浦和の関係者があわてて下ろしたそうです。それまでは浦和の関係者も「見て見ぬふり」をしていたのです。

浦和レッズには、今シーズン、李忠成がイングランドの2部リーグのサウサンプトンFCから完全移籍しましたが、試合前、一部のレッズサポーターが李忠成に対してブーイングの指笛を吹いていたという話もあり、「JAPANESE ONLY」は李に対する当てつけではないかという見方もあるようです。

もっとも、今回の問題でいちばん戸惑っているのは、クラブによって「無期限入場禁止処分」を受けた当のサポーターたちかもしれません。彼らのなかに、どうしてこんなに大きな問題になるんだ?という気持があったとしてもなんら不思議ではないでしょう。

と言うのも、ネットに限らず今やこの国ではヘイト・スピーチが日常化しているからです。安倍政権の歴史修正主義。文春や新潮をはじめとする週刊誌やYahoo!ニュースやJ-CASTニュースなどセカンドメディアが、飽くことなく流しつづける”鬼畜中韓”の記事。居酒屋などで、サラリーマンたちが酒の酔いにまかせて、「従軍慰安婦なんてどこにでもあった」「兵隊に性の処理をさせるのは当然だ」「中国や韓国は、嘘つきの泥棒国家だ」なんて話に盛り上がっているのは、どこでも普通に見られる光景です。そんな風潮の延長に、今回の横断幕もあったのではないでしょうか。

私は、埼玉に住んでいた頃、一度だけ浦和レッズの試合を観に行ったことがありますが、一度行っただけでもうこりごりでした。とにかく、サポーターたちが異常でした。また、あれを異常だと思わない感覚が二重に異常だと思いました。Jリーグが「百年構想」で言う「熱狂のスタジアム」を文字通りヤンキーが主導していて、これがJリーグの試合を観戦するスタイルなのかと思ったら、とてもじゃないけど私はもう二度とJリーグの試合は観に行きたくないと思いました。

Jリーグが掲げる「地域密着」がヤンキーのネイバーフッド(地元)志向と親和性が高いのは事実で、Jリーグの応援がヤンキーテイストに彩られるのは、ある意味で当然かもしれません。さらに、日本代表というトップカテゴリーによって、そこに自国中心的な考えが加わるのも当然でしょう。

そういったJリーグのサポーターのなかにあるヤンキーテイストと、今のヘイト・スピーチが野放しになった社会の風潮を考えれば、今回のような横断幕が生まれたのは充分納得できるのです。

浦和レッズは、そんな地元志向のヤンキーたちを「熱狂的なサポーター」として「お客様」扱いしてきたのです。過去にも横断幕を破いたと因縁をつけてテレビ局のカメラマンを暴行して逮捕されたり、昨年も清水エスパルス戦で、警備員への暴行容疑で4人が逮捕されるなど、浦和のサポーターによる事件はこれまでも幾度となくくり返されています。そのたびに、クラブの対応について怠慢や事なかれ主義が指摘されていたのです。

「熱狂的なサポーターに支えられる浦和レッズ」という考え方を変えない限り、これからも同じような事件がくり返されるのは目に見えている気がします。こんな甘い処分では、浦和のサポーターの体質は温存されるだけでしょう。
2014.03.17 Mon l 社会・時事 l top ▲