山本太郎氏文書 福島氏に酷似ブラック批判 いじめとの声も昨日のYahooニュースにこのふたつの見出しが並んで掲載されていました。
私は、それを見て、Yahooニュースは、わかりやすいくらいわかりやすいサイトだなと思いました。
山本太郎参院議員は、選挙後に開会された臨時国会で、つぎの6本の
質問主意書を提出したそうです。
柏崎刈羽原発再稼働問題に関する質問主意書
東京電力が第三者機関として用いる分析会社の正当性に関する質問主意書
TPP及び日米並行協定に関する質問主意書
地域別最低賃金に関する質問主意書
生活保護制度に関する質問主意書
生活困窮者自立支援法案に関する質問主意書
(
参議院 質問主意書・答弁書一覧)
このなかで「生活困窮者自立支援法案に関する質問主意書」が、社民党の福島瑞穂党首が提出した質問主意書に酷似していたのだそうです。それがどうしたという感じですが、政府の答弁書作成には、多くの時間とコストがかかるので、似たような質問主意書を提出するのは、「税金の無駄使い」(政府関係者)だと言うのです。
あんたたちから税金の無駄使いなんて言われたくないと思いますが、さっそくチンピラまがいの言いがかり・嫌がらせが始まった感じです。山本太郎バッシングは小沢バッシングに似てきた、と言った人がいましたが、たしかにそんな感じがしないでもありません。
このバッシングは、「山本太郎は無能」という”朝日新聞パターン”と言っていいかもしれますせん。もうひとつ、下半身スキャンダルや中核派ネタの”新潮&文春パターン”があります。
一方の「ブラック批判はいじめだ」という記事は、見出しのとおりで、インターネットのアンケートを牽強付会に解釈して、ワタミをはじめとするブラック企業をやんわりと擁護する内容の記事です。ワタミの渡邉美樹会長が当選した途端、このざまです。
原発は国策なので、その利権は巨大です。関連企業も膨大です。東芝も三菱も日立も古河電工も住友(電気)も、みんな原発で飯を食っている関連企業です。当然、広告費も巨額です。だから、マスコミにとって「反原発」は当然タブーでした。
そう考えると、山本太郎が当選した途端、いっせいにマスコミがバッシングをはじめたというのは、わかりやすいくらいわかりやすい話です。そして、逆にワタミのようなブラック企業を擁護する論調が出てきたのも、わかりやすいくらいわかりやすい話なのです。
朝日新聞は、科学部を筆頭に「原発推進」の立場をとってきました。それは「社論」でした。チェルノブイリの事故で風向きが変わったと言ってますが、実際は福島第一原発の事故までそれはつづきました。科学部の初代部長だった木村繁氏(故人)は、原発推進の応援団であることが新聞の役割で、原発に反対する人間を科学部はとらないと宣言していたそうです。その背景にあるのは、言うまでもなく科学信仰でした。
しかし、原発推進の立場をとるということは、単に科学信仰云々の話にとどまらないのです。原発反対運動に対して、電力会社やその関連・下請け企業が、警察や暴力団や右翼を使ってどんなひどい仕打ちをしてきたか。朝日新聞など報道機関が、そういった現実を知らないはずはないのです。でも、みんな見て見ぬふりをしてきたのです。
元朝日新聞科学部長の柴田鉄治氏は、月刊誌『創』のインタビュー(2012年12月号・「二つの連載企画が示した検証報道の大切さ」)で、つぎのように言ってました。
反対派が出てきた時の一番の問題点は、メディアが「絶対安全を求める反対派は非科学的だ」と攻撃したことです。本当は推進側が反対派に「絶対安全か」と迫られて「絶対安全だ」と言ったことがおかしいのであって、メディアがそれを衝かなかったのが間違いですよね。
でも、山本太郎は非科学的だとヤユする「
拝啓 山本太郎さま」(WEBRONZA)を読むと、なにも変わってないんじゃないかと言いたくなります。原発事故であきらかになったのは、「科学的」と言われるものがどんなにいい加減なものだったかという事実でしょう。「科学的」であればどんなことでもごまかせるという事実でしょう。
スリーマイル島やチェルノブイリの事故の教訓がどうして生かされなかったのかと言えば、そんな事故は日本では起きないだろうという見方があったからだそうですが、今の再稼動も、もうしばらくはあんな大地震は起きないだろうという見方が根底にあるような気がしてなりません。あとは「科学」で体裁を整えればいいだけです。
原発は、まず国策ありきで、「科学」はあくまであとからついてきたにすぎません。今も同じです。未曽有の海洋汚染が起きているにもかかわらず、「科学」の名のもとに、安全宣言がなされ、アンタッチャブルな東電は甦り、原子力ムラは復活し、再稼動が着々と進み、原発の輸出が行われようとしているのです。
一方で、原発に反対したためにすべての仕事を失った(元)芸能人が、原発を憂慮する人々の支持を受けて国会議員になった途端に、いっせいにバッシング(人格攻撃)がはじまっているのです。原発芸人だったビートたけしが、トヨタのCMで被災地の復興を呼びかけているのと対照的です。今度は復興のCMで、ビートたけしは巨額の出演料を懐に入れるのでしょう。不条理はまだつづいているのです。
あの事故からまだ2年半も経ってないのです。政府も政治家も国民もマスコミも、一体なにを学んだのかと言いたくなります。