私たちに必要なのは、何百人何千人の英雄より一人の人間の命なのです。私たち自身がいつ戦争に巻き込まれるかも知れない「世界内戦の時代」だからこそ、そういった”私の思想”を大事にすべきではないでしょうか。
私は、ヘイト・スピーチに反対する「TOKYO DEMOCRACY CREW、C.R.A.C」のメンバーの方の次のような呟きに共感を覚えました。
本当にとんでもなく悲惨な状況で、この事態をもたらした安倍政権には怒りしか覚えないが、それでも、人1人の生命をどうにかして助けようとしているこの国の今の姿、人1人の生命の重みに翻弄され、振り回されているこの国の姿には、10年前とは違うギリギリの希望を感じる。
bulldozexxx
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また、「イスラーム地域研究」が専攻の内藤正典同志社大学大学院教授の以下のような冷静な分析には、マスコミ報道とは違って深く考えさせられるものがありました。(読みやすくするために、タイムラインを逆にして引用します)
イスラム国、極めて狡猾だったことが明らかになった。私は、最初からサージダなどどうでも良かったのではないかと思う。サージダ・リシャウィは、ヨルダンにとっては未曾有のテロ事件の共犯であり死刑囚。だが、イスラム国にとっては、実は別にたいした存在ではなかったのだはないか?
恐ろしく狡猾だと思うのは、もしサージダの解放などどうでも良いとすると辻褄が合う。つまり、この件で敵国ヨルダンを翻弄した挙句、パイロットを犠牲にすることで戦果を強調することが可能。日本政府が無策なことを見透かし、欧米の追従者に過ぎないことをアピールする。
ヨルダンにとってサージダの解放は世論の激しい反発を買う。百歩譲って、パイロットの解放とのバーターならば国民の理解を得られる。だが後藤氏との交換はヨルダンとしてはあり得ない。この堂々めぐりのうちに、サージダがISにとっても重要な玉だと我々が思い込んでいくように仕組んだ。
万一、ヨルダンがサージダを解放すれば、米欧有志連合の一部であるヨルダンはイスラム国に敗北したことになる。米国は激怒するだろう。だが、ヨルダンはサージダを解放できないと読み切っている。日本政府に対して、ヨルダン政府に圧力をかけろというISの言い分は、それができないことを嘲笑うもの
後藤氏に「私と彼女との交換」と言わせているのは「ヨルダン軍パイロットとサージダの交換ではない」ことを強調するもの。ヨルダン国民を絶望に追いやると同時に、援助を念頭に日本との関係を円満に続けたいヨルダン政府を嘲笑している。
masanorinaito
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この内藤教授の分析が正しければ、日本政府が現地対策本部をヨルダンに置いたこと自体間違っていたと言えます。やはり、イスラム国とのルートがあるトルコに置くべきだったのではないか。
もっとも、日本政府がヨルダンに現地対策本部を置いたのは、米英主導の有志連合に追随するために(安倍首相の常套句である「テロに屈しない」ために)、最初から本気で交渉する気がなかったからかもしれません。それをイスラム国に見透かされているのではないか。たしかに、日本政府が公表する前にビデオで人質を公開し、安倍首相が表明した2億ドルの”支援金”と同じ法外な身代金を要求したかと思えば、今度はヨルダンがらみで人質交換を要求するなど、ヨルダンに現地対策本部を置いた「無策」な日本政府をいいように翻弄している気がします。そして、「交渉能力のない」日本政府は、いつの間にかヨルダンに心理戦を仕掛けるコマに使われているような気がしないでもないのです。
でも、どんな(無能な)政府であっても、それでも、望みを託したい気持があります。この絶望が虚妄であってほしいです。