たしかに、電車は空いていました。ただ、この時期は学校が春休みなので、普段でも電車は空いています。普段の春休みのときと比べても、やや空いている程度でした。テレワークなんて、ごくごく一部の人たちの話なのです。モミクシャにはならなかったけど、お互いに身体が触れ合う程度には混んでいました。欧米では考えられない光景でしょう。
そんな中で、「電車の座席に座ることが人生の目的のような人々」も健在で、我先に電車に乗り込むと空いている席に向かって突進していました。この手の人たちは、もはやビョーキなので、新型コロナウイルスも関係ないのでしょう。こういった人たちに、「3密」とか「自粛」とか言っても、所詮は馬の耳に念仏なのではないかと思いました。
久し振りに錦糸町に行ったら、駅周辺がすっかり都会になっていたのでびっくりしましたが、駅前のカフェの前でも朝食用のコーヒーなどをテイクアウトするサラリーマンやOLなどが列を作っていました。もちろん、1メートルの間隔なんてどこの国の話だという感じでした。
私も、朝食を食べようと、某外資系ハンバーガーチェーンの店に入りました。注文すると、カウンターの女性はマスクを顎にかけたまま、唾を飛ばしながら(?)「サンキュー!」と言ってました(日本人なのに)。
帰りは、錦糸町から総武線の快速に乗って武蔵小杉まで戻り、武蔵小杉で東横線に乗り換えたのですが、車両のいちばん端にある三人掛けの座席に座っていたら、見るからにメタボの中年男性がやって来て、私の横に座りました。そして、座るや否や、咳をしはじめたのでした。それも軽い咳です。マスクもしてないし、手で口元を覆うわけでもありません。
そのため、向かいの席に座っていた人たちはいっせいに立ち上がってほかの席に移って行きました。私もヤバいと思って、席を立ってドアのところに行きました。
男性はそんなことはおかまいなしに、ひとしきり咳をすると、居眠りを始めたのでした。あきらかに睡眠時無呼吸症候群のような感じで、すぐに大きなイビキをかいて寝込んでしまったのでした。でも、男性はスーツを着た、メタボである以外はどこから見ても普通のサラリーマンのようです。
文字通り、新型コロナウイルスなんてどこ吹く風のような光景です。たしかに過剰な反応は問題ですが、それにしても緊張感のなさには唖然とするばかりです。
それもひとえに感染の実態が見えないからだと思います。見えないというより見えないようにされているからです。そのため、(どこかの国の総理大臣夫人のように)掛け声ばかりで緊張感がないのでしょう。
若者にしても、いくら症状が軽くても検査をしないのでは、自分が感染しているかどうか、あるいは、免疫を持ったかどうかもわからず、自分たちが感染の発生源になっているという自覚が持てないのは当然でしょう。小池都知事のように、検査もしないで、一方的に若者を責めるのは酷と言うものです。
小池都知事が「(新型コロナウイルスで)はしゃいでいる」と書いていた週刊誌の記事がありましたが、たしかに今夏の都知事選を控えて、指導力をアピールする絶好のチャンスとばかりに「はしゃいでいる」ように見えないこともありません。
クラブやライブハウスやカラオケボックスやバーなどに行くなと言いながら、飛沫感染が懸念される通勤電車はスルーです。外で飲み食いするなと言って、飲食店を苦境に陥らせながら、補償は知らん顔です。それに何より、「大変だ」「大変だ」と大騒ぎしながら、未だ1日の検査数が2000件以下で、ドイツの17分の1しかない現状に対しては、「医療崩壊を招くから」と肯定しているのです。これではただのアピールと思われても仕方ないでしょう。
アメリカ14万904人(2405人)
イタリア10万1739人(1万1591人)
スペイン8万5195人(7340人)
中国8万1518人(3305人)
ドイツ5万7298人(229人)
フランス4万4550人(3024人)
韓国9786人(162人)
日本1953人(56人)
上記は、多少バラつきがありますが、29日~30日現在の各国の感染者数(カッコ内は死者数)です。
どうして日本だけが感染者数が極端に少ないのか。ホントに「封じ込めに成功しているから」なのか。電車の中や街の様子を見ても、封じ込めに成功しているとはとても思えません。日本だけ極端に少ないのは、奇跡なのか、それとも過少申告なのか、と皮肉っぽく書いていた外国紙がありましたが、感染者数をごまかすと正しい現状把握ができないので、的確な対策も取れず、結果的に自分で自分の首を絞めることになるのです。どうしてそんな簡単なことがわからないのかと思います。
WHOが言うように、「パンデミックを止めるためには『検査、検査、検査』」しかないのです。「目隠ししながら火を消すことはできない。誰が感染しているのかわからずに、このパンデミックを止めることはできない」(テドロス事務局長)のです。既にパンデミックは始まりましたが、日本はこの基本的なことを意図的に怠っているのです。それでは、緊張感も持てないし、長期戦を見据えて次にどうするかという対策も打てないでしょう。
iPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授も、みずから開設した「新型コロナウイルスに関する情報発信サイト」で、次のような「提言」を行っていました。
これまでわが国は、無症状や軽症の感染者の急増による医療崩壊を恐れ、PCR検査を限定的にしか行ってきませんでした。(略)このままでは医療感染者への2次感染が急増し、医療崩壊がかえって加速されます。自分が感染していることに気づかないと、家族や他の人への2次感染のリスクが高まります。また感染者数を過小評価すると、厳格な対策への協力を得ることが難しくなります。ドライブスルー検査などでPCR検査体制を拡充し、今の10倍、20倍の検査体制を大至急作るべきです。
山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
https://www.covid19-yamanaka.com/index.html
人口の60%だかが「集団免疫」しないと終息しないという意見に従えば、新型コロナウイルスはまだとば口に差しかかったばかりです。少なくとも欧米の国は、「集団免疫」が終息に至る唯一の方法だとして、あえて”苦難の道”を歩もうとしているのです。そのために、今のきびしい状況と正面から向き合っているのです。一方、日本は、感染者数をごまかし、「集団免疫」が現在どのレベルにあるのかさえ把握できないまま、「封じ込めに成功している」と自演乙しているだけです。
日本政府や安倍マンセー!のネトウヨは、中国は無症状の感染者を公表していない(感染者の数の中に含めていない)と批判していますが、まだしも無症状の感染者を把握しているだけましで、日本は検査をしてないので把握すらしていないのです。別に中国の肩を持つわけではありませんが、自分たちのことを棚に上げた中国批判には呆れるしかありません。他国のことをとやかく言っている場合ではないのです。
オリンピックのための隠ぺい工作。大本営発表のメディア。政府の広報担当のような専門家。”国難”のひと言で膝を屈した野党。これでは、そのうち大きなしっぺ返しを受けるのは間違いないでしょう。「バカっぽい」政府や「バカっぽい」政治家によって弄ばれているのは、ほかならぬ私たちの健康なのです。