日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ


安倍チルドレンの勉強会(文化芸術懇話会)で飛び交ったトンデモ発言の数々(以下、引用はYahoo!ニュースの記事より)。

「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。(略)日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」(東京16区・大西英男衆院議員)

「日本全体でやらなきゃいけないことだが、スポンサーにならないことが一番(マスコミは)こたえることが分かった」(福岡1区・井上貴博衆院議員)

「沖縄の特殊なメディア構造をつくったのは戦後保守の堕落だ。(略)沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全に乗っ取られている」(比例近畿ブロック・長尾敬衆院議員)

極めつけは、講師で招かれた百田尚樹氏の発言です。

「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば目を覚ますはずだ」

「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。周りに何もない。基地の周りが商売になるということで、みんな住みだし、今や街の真ん中に基地がある。騒音がうるさいのは分かるが、そこを選んで住んだのは誰やと言いたくなる。基地の地主たちは大金持ちなんですよ。彼らはもし基地が出て行ったりしたら、えらいことになる。出て行きましょうかと言うと『出て行くな、置いとけ』。何がしたいのか」

「沖縄の米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」

Yahoo!ニュース
「マスコミ懲らしめるには…」文化芸術懇話会の主な意見(朝日新聞デジタル)

頭は大丈夫か?と言いたくなりますが、これが政権与党の国会議員や総理大臣のブレーンの発言であるのかと思うと、身の毛がよだつ気がします。これらの発言の背景にあるのは、骨の髄まで染み込んだ従属思想であり、奇形な、歪んだナショナリズムです。彼らにとっては、対米従属こそが「愛国」なのです。日本人として本来恥ずべきことですが、彼らはそれを「愛国」と強弁するのです。だからこそ(みずからの従属思想を合理化するために)、対米従属に盾をつく人間は「日本を貶める」「反日」でなければならないのです。従属思想が「愛国」になるという詭弁。ここにもまた、「愛国」と「売国」が逆さまになった戦後の背理が見事なほど露呈していると言えます。

百田氏が発言したような話は、ネットでは「沖縄の真実」としていくらでも見ることができます。実際、百田氏自身も沖縄タイムスだかのインタビューで、発言したような話は「ネットで知った」と言ってました。これじゃネトウヨもどきではなく、ネトウヨそのものです。こんな人物が時の総理大臣と共著で本まで出し、この前まで政権の後押しでNHKの経営委員をしていたのです。

しかも、百田氏は、騒動のあともTwitterで、「私が本当につぶれてほしいと思っているのは、朝日新聞と毎日新聞と東京新聞です」と開き直りともとれるような発言をくり返しているそうです。と言うことは、読売と産経と日経は「好意的」に見ているということなのでしょうか。百田氏のことを「永遠の〇」ならぬ「永遠のバカ」と言った人がいましたが、たしかにわかりすぎるくらいわかりやすい人物だと言えます。

でも、週刊新潮や週刊文春はこんな百田氏を決して”批判”することはありません。もちろん、彼のスキャンダルを書くなんて天地がひっくり返ってもあり得ません。翁長雄志沖縄県知事に対しては、あれほど口をきわめて罵るくせに、百田センセイはどんなトンデモ発言をしても一貫して擁護するのです。

そんな新潮や文春は、一方で、”権威”ある文学賞の勧進元をつとめる文壇の大スポンサーでもあります。作家センセイたちにとって、新潮や文春から本を出すことがステイタスだと言われています。そのため、作家や評論家のセンセイたちもまた、新潮や文春のえげつない体質を批判することはありません。普段、反戦平和のリベラルな意見を口にしているようなセンセイでも、新潮や文春批判は禁句なのです。

これこそ「閉ざされた言語空間」と言うべきではないでしょうか。ここには既に、自民党が望む「報道統制」の雛型があると言えるでしょう。
2015.06.29 Mon l 社会・メディア l top ▲