3年前に買った東芝のノートパソコンがあるのですが、ある日、本体部分と上蓋のディスプレイを接続するヒンジのカバー(キャップ)の片方が失くなっているのに気付きました。ヒンジカバーは、ヒンジの部分に上からはめて、底をネジで止めるようになっている幅1センチ長さが3~4センチの小さな部品ですが、開け閉めしているうちにいつの間にかネジがゆるみ外れてしまったのだと思います。別になにかしたわけではありませんので、それしか考えられません。
使用する上では別に支障はありませんが、接続部がむき出しになっていて気になるので、取り扱いマニュアルに記載されていたお客様センターに電話しました。
その際の主なやりとりは以下のとおりです。
「申し訳ございませんが、部品だけは売っておりません」
「じゃあ、どうすればいいのですか?」
「ノートパソコンの本体を送っていただいて、修理工房で点検し、修理することになります。費用は往復の送料を含めて基本料金が1万2千円かかります。それに部品代がプラスになります」
「だって、プラスドライバーがあれば誰でもできるような簡単なものですよ」
「申し訳ございませんが、そういう対応になります」
部品は数百円程度のもので、取り付ける作業も、子どもでもできるような簡単なものです。それがどうしてこんな大袈裟な話になるのか。
「じゃあ、部品はあるのですか?」
「今、ご返答はできません。本体を送っていただいてから手配することになります」
私は、「喧嘩売ってるのか」と言いたくなりました。車で言えば、ホイールキャップが外れたようなものです。私も経験がありますが、メーカーの部品会社でキャップを買って自分ではめたら数千円で済みました。それを「部品だけは売っていません。一度車をメーカーの工場に出していただいて、点検した上でないとキャップは取り付けられません。基本の点検料金がかかります」「部品も車を入庫していただいたあとから手配になりますので、在庫があるかどうかわかりません」と言われたら、お客は誰でも怒るでしょう。
もっとも、お客様センターと言っても、どこかのコールセンターに委託しているみたいで、電話口の男性は、丁寧な口調ではあるものの、こちらから口をはさまれないように、まくし立てるように一気に喋るのでした。男性は、おそらくコールセンターで雇われているアルバイトなのでしょう。気の毒ですが、彼に課せられた対応マニュアルでは火に油を注ぐような結果になるのは目に見えています。私も「話にならないな」と言って電話を切りました。
そのあと、ネットで調べたら、東芝のノートパソコンはヒンジカバーがはずれやすいのか、同じような経験をした人の書き込みが何件か出てきました。なかには、高額請求を覚悟の上で本体を送ったら、請求がゼロだったという話がありました。しかし、その一方で、別の箇所の故障が見つかったと言われて、逆に請求されたという話もありました。また、高額な基本料金を提示する(ふっかける)のは、使用する上で支障がないような簡単な作業の依頼を減らす(あきらめさせる)”水際作戦”ではないか、という穿った見方もありました。
東芝のコールセンターと言えば、1999年のあの「東芝クレーマー事件」を思い出しますが、東芝の体質はあの頃からなにも変わってないということなのでしょうか。
私には、今、問題になっている「不適切会計」とこの対応はどこかでつながっているように思えてならないのです。修理依頼をクレーマー対策のマニュアルで処理しようとする体質。会社ぐるみの「不適切会計」=粉飾決算に対して、「上場廃止」という話さえ出てこない不思議さ。
大分に東芝の工場があるのですが、工場に勤めている人間の話では、現地採用と本社採用の社員の間では天と地の差があるのだそうです。現地採用の社員は、出世してもせいぜいが主任か係長どまりで、しかも40才をすぎると昇給もストップしてラインから外れ、作業の裏方にまわるのが決まりだそうです。一方、本社採用の社員は、20代で課長でやってきて、数年勤務するとまたどこかへ転勤していくのだとか。
東芝の屋台骨を支えるのは、言うまでもなく原発事業です。世界的な原子炉プラントメーカー・ウェスチングハウスを買収するなど、東芝は日本を代表する”原発企業”で、原発事故以後も安倍首相の外遊に同行し、原発を海外に売り込むなど、国策と一体となったコングロマリットです。「不適切会計」やコールセンターのマニュアルに共通しているのは、夜郎自大で官僚的な巨大企業の体質です。「不適切会計」で、東芝のブランドイメージが毀損されたなどと言われますが、なにがブランドイメージだと思いました。
使用する上では別に支障はありませんが、接続部がむき出しになっていて気になるので、取り扱いマニュアルに記載されていたお客様センターに電話しました。
その際の主なやりとりは以下のとおりです。
「申し訳ございませんが、部品だけは売っておりません」
「じゃあ、どうすればいいのですか?」
「ノートパソコンの本体を送っていただいて、修理工房で点検し、修理することになります。費用は往復の送料を含めて基本料金が1万2千円かかります。それに部品代がプラスになります」
「だって、プラスドライバーがあれば誰でもできるような簡単なものですよ」
「申し訳ございませんが、そういう対応になります」
部品は数百円程度のもので、取り付ける作業も、子どもでもできるような簡単なものです。それがどうしてこんな大袈裟な話になるのか。
「じゃあ、部品はあるのですか?」
「今、ご返答はできません。本体を送っていただいてから手配することになります」
私は、「喧嘩売ってるのか」と言いたくなりました。車で言えば、ホイールキャップが外れたようなものです。私も経験がありますが、メーカーの部品会社でキャップを買って自分ではめたら数千円で済みました。それを「部品だけは売っていません。一度車をメーカーの工場に出していただいて、点検した上でないとキャップは取り付けられません。基本の点検料金がかかります」「部品も車を入庫していただいたあとから手配になりますので、在庫があるかどうかわかりません」と言われたら、お客は誰でも怒るでしょう。
もっとも、お客様センターと言っても、どこかのコールセンターに委託しているみたいで、電話口の男性は、丁寧な口調ではあるものの、こちらから口をはさまれないように、まくし立てるように一気に喋るのでした。男性は、おそらくコールセンターで雇われているアルバイトなのでしょう。気の毒ですが、彼に課せられた対応マニュアルでは火に油を注ぐような結果になるのは目に見えています。私も「話にならないな」と言って電話を切りました。
そのあと、ネットで調べたら、東芝のノートパソコンはヒンジカバーがはずれやすいのか、同じような経験をした人の書き込みが何件か出てきました。なかには、高額請求を覚悟の上で本体を送ったら、請求がゼロだったという話がありました。しかし、その一方で、別の箇所の故障が見つかったと言われて、逆に請求されたという話もありました。また、高額な基本料金を提示する(ふっかける)のは、使用する上で支障がないような簡単な作業の依頼を減らす(あきらめさせる)”水際作戦”ではないか、という穿った見方もありました。
東芝のコールセンターと言えば、1999年のあの「東芝クレーマー事件」を思い出しますが、東芝の体質はあの頃からなにも変わってないということなのでしょうか。
私には、今、問題になっている「不適切会計」とこの対応はどこかでつながっているように思えてならないのです。修理依頼をクレーマー対策のマニュアルで処理しようとする体質。会社ぐるみの「不適切会計」=粉飾決算に対して、「上場廃止」という話さえ出てこない不思議さ。
大分に東芝の工場があるのですが、工場に勤めている人間の話では、現地採用と本社採用の社員の間では天と地の差があるのだそうです。現地採用の社員は、出世してもせいぜいが主任か係長どまりで、しかも40才をすぎると昇給もストップしてラインから外れ、作業の裏方にまわるのが決まりだそうです。一方、本社採用の社員は、20代で課長でやってきて、数年勤務するとまたどこかへ転勤していくのだとか。
東芝の屋台骨を支えるのは、言うまでもなく原発事業です。世界的な原子炉プラントメーカー・ウェスチングハウスを買収するなど、東芝は日本を代表する”原発企業”で、原発事故以後も安倍首相の外遊に同行し、原発を海外に売り込むなど、国策と一体となったコングロマリットです。「不適切会計」やコールセンターのマニュアルに共通しているのは、夜郎自大で官僚的な巨大企業の体質です。「不適切会計」で、東芝のブランドイメージが毀損されたなどと言われますが、なにがブランドイメージだと思いました。