先日、「晴練雨読」というSEO関連のサイトにアクセスしたら、トップページにつぎのような”お断り”が出ていました。
晴練雨読
http://www.seiren-udoku.com/
「晴練雨読」は、常時Google の検索順位をチェックしていて、独自の基準に基づいた「変動情報」を公開していました。私もサイトを立ち上げた当初から、「晴練雨読」を「お気に入り」に入れて、「変動情報」を参考にしていました。もちろん、それは、Yahoo!JapanがGoogle を採用するずっと前のGoogle とYSTの二強の時代からです。
「晴練雨読」が「検索情報」をやめたというのは、検索が技術的にもSEOの観点からも、本来の機能を失ったということなのでしょう。つまり、地域によって検索結果が異なるローカル検索や個人によって異なるパーソナル検索が進化したことにより、汎用的な「変動情報」の提供が不可能になったからでしょう。
同じように、やはり「お気に入り」に入れて、検索順位のチェックに利用していた「DW230」の「検索順位比較ツール」も、パンダアップデート以後、順位が表示されない状態がつづいています。
DW230
無料SEO対策 検索順位比較ツール
10数年前、Google が登場したとき、その検索の精度の高さに私たちは驚き且つ感動しました。そして、Google はいっきにネットユーザーの支持を集めたのでした。
でも、圧倒的なシェアを占め一強時代になった今、もはやGoogle は検索の精度を高めることより、ほかのことに興味が向かっている気がしてなりません。
昨日、Google が、持ち株会社「アルファベット(Alphabet)」を新たに設立し大規模な組織再編をおこなうというニュースがありました。
CNET JAPAN
グーグル、組織再編を発表--新会社「Alphabet」設立、グーグルが子会社に
それによれば、Google 傘下にある先端技術研究部門や物流事業や健康・医療事業や投資事業などをGoogle から切り離して持ち株会社の傘下に置き、同時にGoogle本体も持ち株会社の傘下に置かれ子会社化されるのだそうです。尚、アドワーズやアドセンスやYouTubeやGoogleマップなどのサービス・広告部門は、そのままGoogle のなかに残るそうです。
今回の組織再編が、従来の検索事業を中核に置いたビジネスから、検索に依存しない多角的な方向に舵を切る、その方向性を示しているのはたしかでしょう。それは、ちょっと意地悪な見方をすれば、おいしいラーメンを作るために日々努力した結果、多くのお客の支持を集め、店が繁盛すると、いつの間にか日々の努力を忘れて、チェーン展開したりインスタントラーメンに商標を提供したりして金儲けに走る、どこかの人気ラーメン店と似ている気がします。
あのゴチャゴチャした検索結果のページが、なにより今の検索のあり様をよく表していると思いますが、さらにその先にあるのは検索と広告の一体化です。これではGoogleが検索の精度を高めるのに興味を失うのも当然です。ありていに言えば、もう検索の精度を高める必要はないのです。
実際に、10年以上検索順位をチェックしている経験から言っても、Googleの検索の精度はどんどん落ちているように思えてなりません。最新の順位を見ても、トップページの上位に掲載されているのは、アドワーズユーザーの企業サイトばかりです。現在、パンダアップデートの更新中ですが、上位を独占するアドワーズユーザーの顔ぶれにほとんど変化はなく、小刻みに変動をくり返しているのは、10位前後と2ページ目以降のサイトだけです。
検索にも徐々に広告の要素が加えられているように思えてなりません。広告で表示されると、「優良なリンクをもらっている」と評価され、検索順位において優遇されるのです。欧州委員会がEU競争法(独占禁止法)違反で指摘したのも、Googleショッピングに関連したそのようなカラクリに対してでした。
このようにGoogleの検索では、どれが検索でどれが広告なのか、ますます曖昧になっているのです。そして、最終的にGoogleがめざしているのは、「検索の終わり」だと言われています。「検索の終わり」というのは、Google がユーザーの嗜好に合わせて、ユーザーの代わりに検索するようになることです。これも認知資本主義の一種と言えますが、そうなれば、Googleの検索にますます広告の要素が強くなるのは当然でしょう。
また、ネットショップにおいても、Googleは、検索で表示した商品に、直接「買物ボタン」を設置する実験を既にはじめているそうです。つまり、通販サイトにアクセスしなくても、検索ページから直接商品が買えるようになるのです。その場合、決済は通販サイトではなくGoogle 内においておこなわれますので、その手数料がGoogleに入る仕組みです。しかし、Googleの狙いはそれだけではないでしょう。「買物ボタン」で買い物ができるようになるには、Googleと通販サイトが契約しなければなりません。それに、当該の商品ページが検索順位の上位に表示されなければ、通販サイトもGoogleもメリットがないのは言うまでもありません。そこにあらたに広告が介在する余地が生まれることになるのです。
検索の公共性ということを考えれば、Googleがやろうとしていることは、あきらかにオキテ破りです。でも、Googleも民間会社にすぎないのです。より多くの利益を得ようとするのは資本の原理です。市場の独占を放っておけば、資本が自己増殖しリバイアサン(怪物)になるのは理の当然です。今回の組織再編はその表われと言えますが、だからこそ、再三指摘されるように、シェアが90%を超えるような邪悪(evil)な状況を解消し、正常な競争が求められるべきだと思うのです。Googleをリバイアサンにした責任もあるでしょう。
検索順位情報の提供、ページランク情報の提供、およびそれらを使用した各種の分析結果情報の提供は、終了しました。
(2015年7月25日・管理人)
晴練雨読
http://www.seiren-udoku.com/
「晴練雨読」は、常時Google の検索順位をチェックしていて、独自の基準に基づいた「変動情報」を公開していました。私もサイトを立ち上げた当初から、「晴練雨読」を「お気に入り」に入れて、「変動情報」を参考にしていました。もちろん、それは、Yahoo!JapanがGoogle を採用するずっと前のGoogle とYSTの二強の時代からです。
「晴練雨読」が「検索情報」をやめたというのは、検索が技術的にもSEOの観点からも、本来の機能を失ったということなのでしょう。つまり、地域によって検索結果が異なるローカル検索や個人によって異なるパーソナル検索が進化したことにより、汎用的な「変動情報」の提供が不可能になったからでしょう。
同じように、やはり「お気に入り」に入れて、検索順位のチェックに利用していた「DW230」の「検索順位比較ツール」も、パンダアップデート以後、順位が表示されない状態がつづいています。
DW230
無料SEO対策 検索順位比較ツール
10数年前、Google が登場したとき、その検索の精度の高さに私たちは驚き且つ感動しました。そして、Google はいっきにネットユーザーの支持を集めたのでした。
でも、圧倒的なシェアを占め一強時代になった今、もはやGoogle は検索の精度を高めることより、ほかのことに興味が向かっている気がしてなりません。
昨日、Google が、持ち株会社「アルファベット(Alphabet)」を新たに設立し大規模な組織再編をおこなうというニュースがありました。
CNET JAPAN
グーグル、組織再編を発表--新会社「Alphabet」設立、グーグルが子会社に
それによれば、Google 傘下にある先端技術研究部門や物流事業や健康・医療事業や投資事業などをGoogle から切り離して持ち株会社の傘下に置き、同時にGoogle本体も持ち株会社の傘下に置かれ子会社化されるのだそうです。尚、アドワーズやアドセンスやYouTubeやGoogleマップなどのサービス・広告部門は、そのままGoogle のなかに残るそうです。
今回の組織再編が、従来の検索事業を中核に置いたビジネスから、検索に依存しない多角的な方向に舵を切る、その方向性を示しているのはたしかでしょう。それは、ちょっと意地悪な見方をすれば、おいしいラーメンを作るために日々努力した結果、多くのお客の支持を集め、店が繁盛すると、いつの間にか日々の努力を忘れて、チェーン展開したりインスタントラーメンに商標を提供したりして金儲けに走る、どこかの人気ラーメン店と似ている気がします。
あのゴチャゴチャした検索結果のページが、なにより今の検索のあり様をよく表していると思いますが、さらにその先にあるのは検索と広告の一体化です。これではGoogleが検索の精度を高めるのに興味を失うのも当然です。ありていに言えば、もう検索の精度を高める必要はないのです。
実際に、10年以上検索順位をチェックしている経験から言っても、Googleの検索の精度はどんどん落ちているように思えてなりません。最新の順位を見ても、トップページの上位に掲載されているのは、アドワーズユーザーの企業サイトばかりです。現在、パンダアップデートの更新中ですが、上位を独占するアドワーズユーザーの顔ぶれにほとんど変化はなく、小刻みに変動をくり返しているのは、10位前後と2ページ目以降のサイトだけです。
検索にも徐々に広告の要素が加えられているように思えてなりません。広告で表示されると、「優良なリンクをもらっている」と評価され、検索順位において優遇されるのです。欧州委員会がEU競争法(独占禁止法)違反で指摘したのも、Googleショッピングに関連したそのようなカラクリに対してでした。
このようにGoogleの検索では、どれが検索でどれが広告なのか、ますます曖昧になっているのです。そして、最終的にGoogleがめざしているのは、「検索の終わり」だと言われています。「検索の終わり」というのは、Google がユーザーの嗜好に合わせて、ユーザーの代わりに検索するようになることです。これも認知資本主義の一種と言えますが、そうなれば、Googleの検索にますます広告の要素が強くなるのは当然でしょう。
また、ネットショップにおいても、Googleは、検索で表示した商品に、直接「買物ボタン」を設置する実験を既にはじめているそうです。つまり、通販サイトにアクセスしなくても、検索ページから直接商品が買えるようになるのです。その場合、決済は通販サイトではなくGoogle 内においておこなわれますので、その手数料がGoogleに入る仕組みです。しかし、Googleの狙いはそれだけではないでしょう。「買物ボタン」で買い物ができるようになるには、Googleと通販サイトが契約しなければなりません。それに、当該の商品ページが検索順位の上位に表示されなければ、通販サイトもGoogleもメリットがないのは言うまでもありません。そこにあらたに広告が介在する余地が生まれることになるのです。
検索の公共性ということを考えれば、Googleがやろうとしていることは、あきらかにオキテ破りです。でも、Googleも民間会社にすぎないのです。より多くの利益を得ようとするのは資本の原理です。市場の独占を放っておけば、資本が自己増殖しリバイアサン(怪物)になるのは理の当然です。今回の組織再編はその表われと言えますが、だからこそ、再三指摘されるように、シェアが90%を超えるような邪悪(evil)な状況を解消し、正常な競争が求められるべきだと思うのです。Googleをリバイアサンにした責任もあるでしょう。