昨日の夜、首都高羽田線の天王洲のあたりを走っていたら、高層マンションが林立する近未来的で華やかな夜景が目に飛び込んできました。昔は、あのあたりは水上生活者の船が多く係留されている一帯だったのです。その光景は、1964年の東京オリンピックの頃まで見られたそうです。それが今や億に届こうかという高級マンションが林立するエリアに変っているのでした。

私は、同乗者に、「すごいね。あのマンションにみんな人が住んでいるんだよ。よくお金があるね」と言ったら、東京生まれの同乗者は冷めた口調で、「みんな、無理しているんじゃないの」と言ってました。

それが東京なのです。景気がいいのか悪いのか、わからない。信じられないほど景気がよく見える部分もある反面、絶望的なほど景気が悪く見える部分もある。

たしかに東京という街は華やかです。しかし、ひとりひとりの生活は地味で危ういのです。夜遅く駅前のスーパーに行くと、勤め帰りのサラリーマンやOLたちが、気の毒なくらい質素な買物をしています。でも、俯瞰すると、街は華やかに見えるのです。

もうひとつ、最近、私が「すごいな」と思ったのは、街なかでモンクレールやカナダグースのダウンを着ている人がとても多いということです。モンクレールやカナダグースのダウンは、10万円以上もする高級ブランドです。駅前の舗道ですれ違う子ども連れのお母さんのなかにも、そんな高価なダウンを着ている人をときどき見かけます。また、20歳そこそこの若い女の子が、自分の給料と同じくらいの値段のダウンを着て街を闊歩しているのもよく目にします。

どうなっているんだと思いますが、それが東京なのでしょう。ホントに景気がいいのかどうか、誰もわからない。


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2016.01.14 Thu l 東京 l top ▲