今夏の参院選に、東京地方区に自民党から出馬予定だった『五体不満足』の乙武洋匡氏の出馬が見送られた、というニュースがありました。正確には、自民党が擁立を断念したということです。

私は、乙武氏が出馬すれば面白いのにと思っていたので、このニュースは残念でした。乙武氏ほど、(有権者を愚弄する)自民党の候補者にふさわしい人物はいないでしょう。それに、先の東京都知事選で、同じように「不倫」問題が取りざたされていた田母神某に60万票を投じた東京の有権者を再び嘲笑ういい機会でもあったので、かえすがえすも残念でなりませんでした。

乙武氏に関しては、もともと部類の女好き、セックス好きで、合コンでいつも露骨に女性をくどいていたという証言と、今回「不倫」旅行に同行した女性は、セックスボランティアで、「不倫」というのは皮相的な見方だという意見があります。

しかし、問題の所在はそういうところにあるのではないのです。田母神某が「愛国」を売りにする単なる「愛国」ビジネスの”商売人”でしかなかったように、乙武氏は「障害」を売りにする「障害者」ビジネスのタレントにすぎなかったのではないか。それは、今井絵理子も同じではないのか。

旅行に同行したダミーの男性も、「彼は特別なんだから目をつぶろうよ」という気持があった、「やっていいことと悪いことをきちっと教える」ことができなかった、というようなことを言ってましたが、この証言からもわかるように、乙武氏は”裸の王様”になっていたのでしょう。

「障害者にやさしい社会」には、言い方は適切ではないかもしれませんが、障害者に対して、さまざまな”タブー”や”特権(特別扱い)”が存在するのは事実です。その意味では、乙武氏のような「障害者」ビジネスは、まさに向かうところ敵なしなのです。乙武氏は、みずからの”タブー”や”特権”をいいことにやりたい放題のことをやってきたのではないか。しかし、身体に障害があるということと、その人物が人格的にすぐれているかどうかということは、当然ながら別問題のはずです。

そもそも「障害者にやさしい社会」というのは、社会生活を営む上でハンディのある人たちに、社会がそのハンディをフォローしていくということであって、腹にいちもつの障害者の“政界進出“の野望などとはまったく関係のない話でしょう。

自民党は、菊地桃子と澤穂希に出馬を断られたので、つぎの”目玉候補”として、乙武氏と今井絵理子に打診したと言われています。擁立のいきさつからして、(建前はともかく)障害者の声を政治に反映させるというような話ではなかったのです。えげつないのは、乙武氏だけでなく自民党も同じです。
2016.03.30 Wed l 社会・メディア l top ▲