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最近は野暮用で週の半分は伊勢佐木町に行ってます。そして、天ぷらが好きな私は、関内界隈の天ぷら屋めぐりするのを楽しみにしています。天ぷらのあとは、いつもみなとみらいまで歩いています。
今日も伊勢佐木町に行きました。日曜日とあってさすがに伊勢佐木モールは人出が多く賑わっていました。もちろん、そのかなりの部分は外国人です。今や伊勢佐木町は、周辺の外国人労働者ご用達の街と化しているかのようです。昔は、”銀ブラ”ならぬ”伊勢ブラ”ということばもあったくらい、伊勢佐木町は横浜を代表するおしゃれな街だったのですが、そんな昔の面影を探すのはもはや至難の業です。
誰だったか忘れましたが、街歩きのレポーターをしている芸能人が「昔は東京から元町や伊勢佐木町など横浜に来ると、気後れするくらいおしゃれな雰囲気がありました」と言ってましたが、もちろん、そんなおしゃれな雰囲気を探すのも至難の業です。
この土日は、ちょうど野毛で恒例の大道芸のイベントがおこなわれ、大岡川をはさんで隣接する吉田町でもアート&ジャズフェスティバルが開催されていました。ただ、野毛の大道芸も、当初に比べれば、新鮮味が失われているような気がしないでもありません。最近は、横浜では一年中どこでも大道芸がおこなわれていますので(野毛の大道芸も年に2回おこなわれています)、見飽きた感じがなきにしもあらずなのです。
野毛の飲み屋街は、イベントの相乗効果で、いつもよりお客が多く集まっていました。路地のなかの店は、テーブルや椅子を店の前に出して、即席の”オープンテラス”のようにしていましたが、おそらく昔の野毛はこうだったんだろうと思うくらいどこも酔客で賑わっていました。
一方、吉田町のアート&ジャズフェスティバルでは、路上ライブのバンドが年々減っており、今年はひと組しか見当たりませんでした。そして、いつの間にか、ビアガーデンのようなものが通りの中心を占めるようになっていました。このように、アート&ジャズフェスティバルも、駅前のショッピングビルと同じで、当初のコンセプトから徐々に変質しているのでした。
でも、私はやはり、(何度も書いていますが)週末の夜の「祭りのあとのさみしさ」のような横浜のほうが好きです。繁華街のすぐ近くに、古い民家が連なる路地が幾重にも延びているのが横浜の街の特徴ですが、街灯が薄い影を落とし表通りとは違った空気が流れる、そんな路地を歩くのが私は好きです。
このブログではおなじみ平岡正明の『横浜的』(青土社)から野毛に関する文章を引きます。
釣銭を受けとりながら、おや、雨だ、とつぶやくと、店のママが「こやみになるまで待ってらっしゃい」といった。うん、そうする。椅子に戻って背もたれごしに町をみているときにかかっていた曲が、ケニー・ドリューの、ピアノのスインギーなやつで、町のテンポよりはやい。さっと一雨きたのに、町のテンポはあんがいのんびりしている。これが港町の雨というものだろう。
横浜は野毛がいい。このいい方は正確じゃないな、横浜にはいいところが多いが、土地っ子が集まる野毛には野毛のよさがある。場外馬券場があり、立ち呑みの酒屋があり、醤油味の飯屋があり、ベリー・コモの「バラの刺青」を流していたりするコーヒースタンドの近くに、講談の会の連絡所の古本屋があったりする。野毛は「横浜の日本人町」だ。
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