トランプが発令したイスラム圏7カ国の国民の入国を一時的に停止する大統領令によって、アメリカ国内だけでなく世界が混乱しています。

ここまで大統領令の“威力”を見せつけられると、アメリカは法治国家ではなく人治国家じゃないのかと思ってしまいます。トランプはもともと政治家ではないので、突飛な発想を実行に移すことになんのためらいもないのでしょう。こんなことをやっていたら、目には目をで、YouTubeにアメリカ人の首切り映像がアップされる怖れさえあるでしょう。

”トランプ現象”というのは、日本で言えば、ネトウヨで有名なTクリニックの院長が大統領になったようなものかもしれません。核のボタンやCIAを動かす権限がT院長の手に渡ったのです。そう考えれば、背筋が寒くなるのは私だけではないでしょう。

果たして、4年の任期を全うできるのかという声もありますが(本人は2020年の次期大統領選の出馬も既に表明しているそうですが)、問題はトランプよりトランプの周辺にいてバカ殿を利用している政商たちでしょう。彼らにとって、戦争も格好のビジネスチャンスなのです。

このような内向きの政策が可能なのも、アメリカ人は世界を知らない無知な国民だからだという指摘があります。

Compathy Magazine
日本にも当てはまるかも!アメリカ人が海外に行かない3つの理由

上記の記事によれば、2014年のアメリカ人のパスポート保有率は36%で、それに対してイギリス人やオーストラリア人は70%なのだそうです。ちなみに、同年の外務省の旅券統計によれば、日本人のパスポート保有率は24%で、海外に出国する人の割合は14%だそうです。日本人は、アメリカ人より海外に行かないのです。

ただ、日本人の場合、欧米に対するコンプレックスがありますので、実際に行かなくても海外に対する関心だけは高いのです。しかし、アメリカ人には、極東に対するコンプレックスなんてありません。そのため、他国民に非人道的な措置をとれば、自分たちがそれだけリスクを負うことになるという発想もないのでしょう。まして世界には自分たちと違う文明や違う宗教の人々がいて、そういった人々とも共存していかなければならないという初歩的な発想さえないのでしょう。反トランプのデモをしているのは、海外に行くことの多いニューヨークやワシントンなど都会の高学歴のエリートたちなのかもしれません。

アメリカの学校では、「地球についてあまり教わらないことが多」く、「外国語をあまり勉強しない、交換留学プログラムに参加しない、世界の国々の事情について話さない」そうです。私たちが抱いているアメリカ人のイメージと実際のアメリカ人の間には隔たりがあるようです。それが、“トランプ現象”がいまひとつ理解できない理由のように思います。

いづれにしても、トランプの”錯乱”で、アメリカが超大国の座から転落するのにさらに拍車がかかるのは間違いないでしょう。トランプは、その引導を渡す役回りを演じていると言えるのかもしれません。

今回の入国制限について、アップルやマイクロソフトやGoogleやフェイスブックやTwitterなどのIT企業がつぎつぎと懸念を表明しています。そのため、いち早くトランプタワーを訪れ、トランプ一家に揉み手して、トランプから「マサ」などと呼ばれ親密さをアピールした孫正義氏の無定見な銭ゲバぶりが、よけい際立っています。『あんぽん 孫正義伝』で著者の佐野眞一氏が指摘していた孫正義氏の「前のめりに突っ走る危うさ」が、ここにきて露呈したような気がしないでもありません。

「朝鮮では食えず日本への渡航を繰り返した元鉱山労働者の祖父と、朝鮮で戦前に生まれて日本に渡り、戦後母国に戻って、再び日本に密航してきた父」「日本に密航後、鳥栖駅前の朝鮮部落に吹き寄せられるように住み着いた孫一家は、養豚と密造酒づくりで生計を立て、金貸しを経て、やがて九州一のパチンコチェーン経営者となった。そして、その一家から孫正義という異端の経営者が生まれた」(『あんぽん』より)のです。孫正義氏は、典型的な「在日」の歴史を背負った、言うなれば”移民の子”なのです。”移民の子”が移民排斥を主張するファシストをヨイショしているのです。人間のおぞましさを見た気がするというのは、決してオーバーな表現ではないでしょう。

孫氏ばかりではありません。入国制限について、「コメントする立場にない」と言った「宰相A」を筆頭に、株価が上がりさえすればそれでいいと言わんばかりに”トランプラリー”を煽ってきたテレビ東京(日経新聞)の証券アナリストなど、この国はトランプに対して最低限の見識さえもてない”下等物件”(©竹中労)ばかりです。彼らは、無知なアメリカ人に対して、(骨の髄まで対米従属が染みついた)情けない日本人と言うべきかもしれません。


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2017.01.31 Tue l 社会・メディア l top ▲