きのう、南北首脳が、極秘に板門店で二度目の会談をしていたというニュースには驚きました。北朝鮮の朝鮮中央通信もきょう、「金正恩朝鮮労働党委員長が26日に板門店で行われた韓国の文在寅大統領との会談で、『歴史的な朝米首脳会談への確固たる意志』を表明した」と報じたそうです。このすばやい報道も異例です。あらためて金正恩の”本気度”を痛感させられたと同時に、朝鮮半島の融和がもはや後戻りできない段階まで進んでいることを実感させられました。
もろちん、このままスムーズに6月12日を迎えるかどうか、まだ予断を許さないものはあるでしょう。ただ、そのリスクは、金正恩だけでなくトランプにもあるのです。アメリカ側にいる私たちは、ともすれば金正恩のリスクばかりを考えがちですが、トランプのリスクも忘れてはならないのです。
下記のハフポストの記事によれば、平壌などでは、私たちが抱いている全体主義国家の暗いイメージとは違った表情があるそうです。
HUFFPOST
変わる北朝鮮 街中にいちゃこらカップル、そしてセグウェイ…。写真家が見たリアル
記事のなかで、写真家・初沢亜利氏は次のように言ってました。
ミサイル発射の現場で、黒ずくめの恰好で眉間に皺を寄せ、煙草を口にくわえて指示している金正恩の姿ばかり流しているこの国のメディアでは、決してわからない「あたらしい流れ」がずっと前からはじまっていたということなのでしょう。
北朝鮮は、2003年にNPTを脱退したときから、本格的な核開発に着手したと言われています。そして、核を取引材料にアメリカと直接交渉して、経済的な発展を目指すロードマップを描いていたという話がありますが、あながち嘘ではなかったのかもしれません。そもそも三代目の跡取りをわざわざ資本主義国(永世中立国)のスイスで教育を受けさせたのも、将来の進むべき道を考えたものだったのかもしれません。
一方、トランプの「中止」表明を受けて、会談そのものが流れたかのように大騒ぎしていたこの国のメディアは、一日経つと180度違うニュースを流しています。彼らはただ米朝の情報戦に踊らされ右往左往しているだけです。そんないい加減なニュースを真に受け、アメリカが北朝鮮を攻撃すると本気で思っていたYahoo!ニュースのネトウヨたちは、このめまぐるしい展開にどうやって正気を保っているのだろうと逆に心配になってきました。
金正恩の一連の言動や行動を見ていると、もしかしたら本気でアメリカ主導のCVIDを受け入れるつもりかもしれないとさえ思えてきます。北朝鮮は、「非核化」を担保に、核開発と経済発展の二本立ての並進路線から経済優先へと舵を切ろうとしているのですが、金正恩の命運がどうなるかは別にして、うまく着地点を見い出せれば、私たちは、やがて中国と同じような改革開放の経済発展した姿を、北朝鮮に見ることになるでしょう。
北朝鮮が、金日成の遺訓で昔から教育に力を入れていたのはよく知られています。北朝鮮は、(皮肉ではなく)もともと短期間で核開発を成し遂げたり、外国の政府機関を標的にしたサイバー攻撃をおこなったりするような”優秀な頭脳”をもっているのです。トランプが言うように、経済による国造りに向かえば、そういった”優秀な頭脳”が「豊かな人的資源」になるのは間違いないでしょう。
北朝鮮には、レアメタルだけでも数百兆円分が埋蔵されていると言われています。そんな豊富な地下資源と「豊かな人的資源」。あと足りないのは、資金だけなのです。
ワイドショーで、デーブ・スペクターの会社(スペクター・コミュニケーションズ)が提供する「中国は遅れた貧しい国」の映像を見て嘲笑っている間に、気が付いたら、私たちよりはるかに豊かな中国人が大挙して観光にやってくるようになっていたのです。そして、卑屈な日本人は、さも迷惑そうな顔をしながらも、陰では揉み手して「熱烈歓迎」するようになっていたのです。資本主義国で教育を受けた独裁者の”英断”によって、北朝鮮もまた中国と同じ道を歩みはじめた(はじめようとしている)と言っていいでしょう。
※前回の記事(米朝首脳会談と「奴隷の楽園」)の「追記」として書いたものを、一部書き加えて独立した記事にしました。
もろちん、このままスムーズに6月12日を迎えるかどうか、まだ予断を許さないものはあるでしょう。ただ、そのリスクは、金正恩だけでなくトランプにもあるのです。アメリカ側にいる私たちは、ともすれば金正恩のリスクばかりを考えがちですが、トランプのリスクも忘れてはならないのです。
下記のハフポストの記事によれば、平壌などでは、私たちが抱いている全体主義国家の暗いイメージとは違った表情があるそうです。
HUFFPOST
変わる北朝鮮 街中にいちゃこらカップル、そしてセグウェイ…。写真家が見たリアル
記事のなかで、写真家・初沢亜利氏は次のように言ってました。
「(略〉日本人が北朝鮮を仮想敵国として政治利用し、お茶の間で笑いものにしている間に、北朝鮮は粛々と自力更生の道を歩んでいたんですよ」
「『住民を抑圧して食べ物がない国が長く持つわけがない』という過去の妄想を、日本人は捨てきれない。ただ、北朝鮮は明らかに前例のない発展をしています。(略)」
ミサイル発射の現場で、黒ずくめの恰好で眉間に皺を寄せ、煙草を口にくわえて指示している金正恩の姿ばかり流しているこの国のメディアでは、決してわからない「あたらしい流れ」がずっと前からはじまっていたということなのでしょう。
北朝鮮は、2003年にNPTを脱退したときから、本格的な核開発に着手したと言われています。そして、核を取引材料にアメリカと直接交渉して、経済的な発展を目指すロードマップを描いていたという話がありますが、あながち嘘ではなかったのかもしれません。そもそも三代目の跡取りをわざわざ資本主義国(永世中立国)のスイスで教育を受けさせたのも、将来の進むべき道を考えたものだったのかもしれません。
一方、トランプの「中止」表明を受けて、会談そのものが流れたかのように大騒ぎしていたこの国のメディアは、一日経つと180度違うニュースを流しています。彼らはただ米朝の情報戦に踊らされ右往左往しているだけです。そんないい加減なニュースを真に受け、アメリカが北朝鮮を攻撃すると本気で思っていたYahoo!ニュースのネトウヨたちは、このめまぐるしい展開にどうやって正気を保っているのだろうと逆に心配になってきました。
金正恩の一連の言動や行動を見ていると、もしかしたら本気でアメリカ主導のCVIDを受け入れるつもりかもしれないとさえ思えてきます。北朝鮮は、「非核化」を担保に、核開発と経済発展の二本立ての並進路線から経済優先へと舵を切ろうとしているのですが、金正恩の命運がどうなるかは別にして、うまく着地点を見い出せれば、私たちは、やがて中国と同じような改革開放の経済発展した姿を、北朝鮮に見ることになるでしょう。
北朝鮮が、金日成の遺訓で昔から教育に力を入れていたのはよく知られています。北朝鮮は、(皮肉ではなく)もともと短期間で核開発を成し遂げたり、外国の政府機関を標的にしたサイバー攻撃をおこなったりするような”優秀な頭脳”をもっているのです。トランプが言うように、経済による国造りに向かえば、そういった”優秀な頭脳”が「豊かな人的資源」になるのは間違いないでしょう。
北朝鮮には、レアメタルだけでも数百兆円分が埋蔵されていると言われています。そんな豊富な地下資源と「豊かな人的資源」。あと足りないのは、資金だけなのです。
ワイドショーで、デーブ・スペクターの会社(スペクター・コミュニケーションズ)が提供する「中国は遅れた貧しい国」の映像を見て嘲笑っている間に、気が付いたら、私たちよりはるかに豊かな中国人が大挙して観光にやってくるようになっていたのです。そして、卑屈な日本人は、さも迷惑そうな顔をしながらも、陰では揉み手して「熱烈歓迎」するようになっていたのです。資本主義国で教育を受けた独裁者の”英断”によって、北朝鮮もまた中国と同じ道を歩みはじめた(はじめようとしている)と言っていいでしょう。
※前回の記事(米朝首脳会談と「奴隷の楽園」)の「追記」として書いたものを、一部書き加えて独立した記事にしました。