ここに至ってもなお、検査数が抑えられている現状で、感染者数を云々(「デンデン」ではありません)するのはナンセンスのような気がしないでもありませんが、日本の感染者数が韓国を抜くのはいよいよ時間の問題となりました。

◎感染者数 カッコ内は死者数
日本9795人(154人)
※4月18日 午後6時現在 厚労省発表
韓国10635人(230人)
※4月17日 午前0時現在 中央事故収拾本部及び中央防疫対策本部発表

◎新規の感染者数 ※4月18日現在
日本577人
韓国18人


PCR検査は、日本は現在も一日に5千件弱しか行われておりません。安倍首相は、先日の記者会見で、一日に1万2千件行う体制にあると言ってましたが、実態はまるで違います。

マスクも然りです。マスク不足が問題になった2月頃から「来週には十分供給できる」と言ったり、それが過ぎると今後は「来月には」と言っていました。でも、未だに改善されていません。

マスクだけではありません。除菌用品も同じです。ネットで販売されていても、従来の10倍もするような高額なものばかりです(それも予約販売でいつ手に入るかわからない)。

昨夜の「報道特集」(TBS)でもキャスターの日下部正樹氏が嘆いていましたが、マスクや除菌用品など、家庭内で感染対策するのに必要な最低限なものさえ手に入らない状態なのです。不要不急の外出の自粛を呼び掛ける前に、することがあるだろうと思います。

検査を抑制していることについて、最近は感染症学会など一部の医療関係者から、これ以上検査をすると医療が崩壊するという抑制を正当化するイデオロギーが、メディアを通して振り撒かれています。医療関係者お得意の半ば脅しのような話ですが、キングス・カレッジ・ロンドン教授で公衆衛生学者の渋谷健司氏は、下記の『AERA』のインタビューで、医療崩壊と検査は別の問題だと言っていました。

余談ですが、渋谷健司氏は医療の規制緩和を推進しているなどの理由により、立憲民主党に随伴する一部のリベラル左派から毛嫌いされているみたいで、ネットには「こんな人物の言うことを信じる人がいるなんて信じられない」という声さえありました。また、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに、渋谷氏が日本には実際に10万人の感染者がいると発言したことに対して、10万人もいればとっくに医療崩壊しているだろうとヤユする声もありました。

言うまでもなく、10万人というのは、無症状や軽症の未検査の潜在的な感染者のことです。それがどうして医療崩壊になるのか。ヤユするにしても、言っていることがあまりにもバカっぽいのです。何度も言いますが、表に出ている感染者以外に、自分が感染していることがわかってない潜在的な感染者が10万人もそれ以上もいると考えても、決しておかしくないでしょう。そういった無自覚な感染者の存在が集団感染や目に見えない感染爆発の要因になっているのです。PCR検査をして、まずそういった感染者を顕在化する必要があるのです。

安倍マンセーのネトウヨ同様、右か左かの色眼鏡で見ることしかできない(そして、自分たちのお眼鏡にかなわなければ総否定する)リベラル左派もまた、この状況の中でトンチンカンな醜態を晒していると言えるでしょう。

Yahoo!ニュース
AERA
WHO上級顧問・渋谷健司さんが警鐘 「手遅れに近い」状態を招いた専門家会議の問題点

――日本では当初から「検査を抑えて医療態勢を守る」という考えがありました。そもそも、世界の専門家の間でこのような手法はどう評価されているのでしょうか。

検査を抑えるという議論など、世界では全くなされていません。検査を抑えないと患者が増えて医療崩壊するというのは、指定感染症に指定したので陽性の人たちを全員入院させなければならなくなったからであり、検査が理由ではありません。

むしろ、検査をしなかったことで市中感染と院内感染が広がり、そこから医療崩壊が起こっているのが現状です。

――政府の専門家会議は、機能していると考えていますか。

科学が政治から独立していないように見受けられ、これは大きな問題だと感じています。

先ほど指摘しましたが、4月1日時点で「東京は感染爆発の初期である」と会議メンバーは知っていたはずです。それならばそこで、緊急事態宣言をすべしという提案を出すべきでした。

しかし、この日の記者会見で出てきたメッセージには、国内の逼迫(ひっぱく)した状況を伝えてはいたものの、『我が国では諸外国で見られるようなオーバーシュートは見られていない』といった国民の緊張感を緩ませるような言葉もまぎれていました。


感染対策の遅れによって、日本がアメリカやイタリアやスペインに匹敵するか、あるいはそれ以上のひどい状況になり、「独り負け」するのではないかという指摘もありますが、決してオーバーな話ではないのかもしれません。日本は感染対策で「独自の道」を歩んでいるなどと書いていたバカなメディアがありましたが、そんなおめでたい状況にないことだけはたしかでしょう。

マスクも除菌用品もなくて、ただ外出を控えろと言われるばかりで、ホントに感染の拡大が止まるのか。感染要因はホントに3密だけなのか。検査の抑制と政府の言う「感染の封じ込め」は、一体どんな関係にあるのか。その二つに合理的な関係があるのか。「集団免疫」ができなければ感染は止まないと言われているのに、「感染の封じ込め」はただ「集団免疫」を先送りするだけではないのか。

ワクチンもなく治療法も確立してない中では、とりあえず「感染を封じ込めて」時間稼ぎをするしかないという方針に”三分の理”はあるにしても、このように素人の疑問は尽きないのでした。

専門家の話では、新型コロナウイルスに関しては、ホントに免疫ができるのかどうか、また、免疫ができたとしてもいつまで有効なのか、まったくわかってないそうです。つまり、「集団免疫」という感染症の一般論(常識論)が成立するかどうかもわからないのです。

仮に「集団免疫」が有効だとしても、アメリカでもまだ「集団免疫」は30%くらいしかないという話があります。昨日だか、トランプが、最終的に死者が現在の2倍の6万人くらいになる見込みだと話していたのは、おそらく「集団免疫」の獲得=終息を想定して言っているのでしょう。

しかし、日本は、(検査を抑制してきたので)正確な市中感染率も把握していないため、現在「集団免疫」がどのくらいまで進んでいるのかという客観的な感染状況さえわからないのです。

感染数を少なく見せて「ニッポン、凄い!」を演出(自演乙)する政治的な思惑ばかりが優先されたのです。オリンピックと政権の体裁(支持率)のために、私たち国民の健康がなおざりにされてきたのです。その結果、今のような誰が見ても手遅れの状態を招いてしまったのでした。

国民全員に一律10万円を配るという決定に対しては、国民も野党もこぞって「大歓迎」で、ツイッターでは、森友学園の園児と同じように、「♯安倍首相がんばれ」というハッシュタグがトレンド入りしているそうです。

麻生財務大臣が手を上げた者に給付することになるだろうと発言して反発を受けていましたが、彼の日頃の尊大な態度を見てもわかるとおり、安倍政権の面々にしてみれば、10万円給付は、節分の日に成田山新勝寺の壇上から豆まきするのと同じような感覚なのかもしれません。

麻生財務大臣の言動には、10万円給付に群がる国民の卑しさという彼の本音が出ているように思います。4人家族なら40万円ももらえるのですから、そりゃ卑しくもなろうというものですが、私には、その卑しさはマスクやトイレットペーパーの買いだめの光景とタブって見えて仕方ありません。

自宅待機していても、給料が下がってないサラリーマンも大勢います。公務員も給料は下がってないでしょう。当初の30万円の給付の対象要件があまりに厳しすぎたのはたしかですが、やはり、所得制限をして、その分給付額を20万円にするとか、そういった考えが必要ではないかと思います。ホントに困窮している人たちに少しでも多くのお金が行き渡るような、そんな相互扶助の精神がこの国にはないのかと思います。

電車の中の“席取り合戦”のように、我先に手をあげて10万円の札束を奪い合う光景が目に浮かぶようです。もしかしたら「♯安倍首相ありがとう」というハッシュタグがトレンド入りして、支持率も上がるかもしれません。そして、壇上では安倍や麻生や二階ら安倍政権の古狸たちがふんぞり返って、札束を奪い合う国民を指差しながら高笑いするのでしょう。まるでどこかの独裁国家のようで、衆愚政治ここに極まれりという気がしてなりません。
2020.04.19 Sun l 新型コロナウイルス l top ▲