沖縄の玉城デニー知事が、航空会社の予約によれば、このゴールデンウイークで沖縄に来る予定の人が6万人もいるとして、旅行のキャンセルを求めたというニュースがありました。玉城知事は、ツイッターで呼びかけたほか、27日には記者会見でも、あらためてキャンセルを求めたのでした。

メディアによれば、4月29日から5月6日までのゴールデンウイーク期間中の沖縄便は、「日航グループでは約2万7千人(昨年比18%)、全日空で約2万3千人(同10%)で、計約5万人の予約がある」(朝日)そうです。玉城知事の呼びかけは、その数字を踏まえてのものだったのでしょう。

しかし、当初から玉城知事の発言を疑問視する声がありました。6万人というのは、往復便の合計数なので、単純に考えても来沖の人数は半分の3万人です。しかも、これはあくまで予約にすぎず、キャンセルの手続きをしていない予約客も多いので、最終的にはもっと少なくなるだろうと言われていました。

すると、案の定、赤羽国交相は28日の閣議後の会見で、「県外から沖縄への予約者は27日時点で約1万5千人になったと説明した」(朝日)そうです。これも往復便の合計数でしょうから、実際の来沖数は7千5百人以下でしょう。もちろん、その中には、仕事で来る人も、帰省する人もいるでしょう。

玉城知事は、呼びかけに際してあきらかに数字を盛っているのです。もしそれがわかってなくて発言したのだとしたら、緊急事態宣言&自粛ムードの中で、完全に浮足立っていると言えるでしょう。さらに、玉城知事は、会見では、東京都の小池知事が提唱した「STAY HOME 週間」という言葉まで使ってキャンセルを呼びかけていたのでした。まるで小池都知事に右へ倣えしたかのようです。

感染者数のコントロール(情報操作)と同じことが、いろんな分野で行われているのです。それは、リベラル派の知事も例外ではないのです。と言うか、リベラル派もその片棒を担いでいるのです。玉城知事のトンチンカンぶりは、立憲民主党の特措法改正案賛成と軌を一にしていると言えるのかもしれません。そうやって、家にいること以外はことごとく自粛に反するとして指弾される異常な空気が作られているのです。

何度も言いますが、海や山に行くことにどうして地元民が「恐怖を感じる」のか。この前まで彼らは、観光客相手に特産品や食べ物を売って小遣い稼ぎをしていたのです。それが途端に「恐怖を感じる」ようになり、まるで石を持って追い払うように観光客を敵視しているのでした。

そのうち、地元民が自警団を作って、(岡山県のように)検問をはじめるかもしれません。

一方で、玉城知事のような薄っぺらな政治家やメディアがそれを煽っているという側面も見逃せないでしょう。

ゲーブルカーも運休し茶店も閉まった閑散とした高尾山の参道で、徒歩で登ってきたハイカーに向けてマイクを突き付け、「どうして高尾山に来たのですか?」「どうして自粛できないのですか?」と問いただすメディアの異常性。しかし、その異常性を指摘する声は皆無です。メディアは、そうやって「オレたちが家で我慢しているのに、外を出歩く奴は許せない」という大衆の負の感情を煽っているのです。

昨日会った同郷の人間は、先週、田舎の父親が亡くなったそうですが、葬儀にも帰ることができなかったと言っていました。田舎の親戚から「東京から帰って来ると、田舎の人たちに迷惑をかける」と言われたのだとか。それに、飛行機も1日1便に減便されているので、チケットを取るのさえ難しいと言ってました。

そのため、事情を知った葬儀会社が葬儀の模様をLINEの動画で送ってくれたそうです。彼は、スマホの画面を見ていたら涙が出て仕方なかったと言っていました。

自粛要請に従って休業したものの、満足に補償も得られないので生活も立ち行かなくなり、決してオーバーな話ではなく、破産か自殺かの選択を迫られている自営業者も少なからずいます。それを考えれば、未だに営業しているパチンコ店は「最後まで抵抗をしている気骨のある店」と言えなくもないのです。「従業員の雇用を守るため」という理由もウソではないでしょう。パチンコ店で働いている人たちは、不安定な身分の雇用形態の人が多いので、休業したら途端に職を失い路頭に迷うことになるのです。

店名公表に対して、パチンコ店は「行政による集団リンチだ」(朝日)と反発していたそうですが、誰が見てもそうでしょう。しかし、その危険性を指摘する人間もいないのです。言えない空気があるからです。「人びとの憎しみを焚きつけるような私刑を誘うやり方はよくない」と反対したのが保守派の三浦瑠麗だけというのも異常です。三浦瑠麗の発言は、至極真っ当でした。

三浦氏は24日、ツイッターで「パチンコは騒がしいので普段から好きではありませんが、見せしめのような店名公表には反対です」と言及。「自粛なんだからあくまでも基本自由であるということを原則として頭においていただきたい。行政が電凸を誘う社会的圧力をかけるべきではないし、潰れて労働者がクビになったら責任を取れるのでしょうか」とした。

続くツイートで「コロナ禍は好ましいものと好ましくないものに人の心のなかで差をつけさせる。望ましくない業態、望ましくない職業。休業して持ち堪えることできない場合、要請にとどまるあいだは営業は自由だと思う」と指摘。「人びとの憎しみを焚きつけるような私刑を誘うやり方はよくない。法治国家はそれをすべきでない」と訴えた。

Yahoo!ニュース
日刊スポーツ
三浦瑠麗氏が要請応じないパチンコ店施設公表を批判


横浜の旭区で、物件の内覧に訪れたアパートの室内で、不動産会社の女性社員をナイフで刺してカバンなどを奪った犯人は、先月まで大阪の風俗店で働いていたけど、休業要請で職を失ったため、横浜で路上生活をしていたのだそうです。そのため、わずか数千円しか入ってないカバンを奪うために人を刺したのです。これからは、こういった事件も多くなるでしょう。都市の最深部に行けば行くほど、世も末のような荒涼とした光景が広がっているのです。

緊急事態宣言が発令されたら、先の戦争のときと同じように、いつの間にかリベラル派も問答無用の翼賛体制の隊列に並んでいるのでした。そして、みんなで思考停止に陥って、右に倣えして最敬礼しているのです。異論であるはずの野党(リベラル派)が、異論を排する側に立っているのです。玉城知事のトンチンカンぶりは、そんなヘタレなリベラル派を象徴しているように思いました。
2020.04.29 Wed l 新型コロナウイルス l top ▲