アメリカ大統領選は、案の定、トランプの悪あがきによってグダグダにになっていますが、そもそも4年前にトランプを大統領に選んだことが全ての間違いのもとなのです。と、今更言っても仕方ないのですが、ただ多くの人たちもそう思っていることでしょう。

これで共和&民主という二大政党制も、大きな曲がり角を迎えることになるのは間違いないでしょう。とりわけ、日本で言えばネトウヨの権化のようなトランプに依拠してきた共和党は、深刻な事態を迎えるのではないでしょうか。草の根の保守運動の原点である「 ティーパーティー」も、トランプの登場でほとんど機能しなくなり瓦解してしまったと指摘する声もあります。だからよけいトランプに頼らざるを得なかったのでしょう。共和党がトランプ党になったというのは、決してオーバーな話ではないのです。

でも、何度も言いますが、日本も他人事ではないのです。Yahoo!ニュースが、大統領選の特集のなかで、トランプとバイデンのどっちが当選すると思うか?という「みんなの意見」のアンケート結果を円グラフにして掲載していました。それによれば、バイデンの当選がほぼ確実になった昨日の時点でも、トランプが当選すると答えた人が50%を越えており、バイデンが当選すると答えたのは30%台でした。

さすがにまずいと思ったのか、昨日、突然、円グラフはトップページから削除されてしまいましたが、その背景にあるのはトランプが唱える陰謀論です。日本のネトウヨたちも、本国のトランプ支持者と同様、トランプを信奉し、彼が唱える荒唐無稽な陰謀論を信じているのでした。Yahoo!ニュースは、そのフェイクニュースの牙城になっているのでした。

感情の劣化は対岸の話ではなく、この国でももはや修復ができないほどエスカレートしているのです。「話せばわかる人がいなくなった」(宮台真司)のです。それは、民主主義にとって深刻な問題でしょう。

ちなみに、このブログでも再三登場する評論家の田中宇氏も、みずからのサイトで、開票日当日は、トランプが当選すると主張していました。しかし、開票日の翌日には、最初の主張を覆してトランプが負けそうだという記事を書いていました。ところが、さらに翌々日には、民主党が選挙不正しているという陰謀論を書いて、主張を二転三転させているのでした。

昨日の記事「米民主党の選挙不正」で、田中氏は次のように書いていました。

今後、この膠着状態のまま時間がたつほど、民主党の選挙不正について詳細がわかってくる。トランプ傘下の諜報界は、民主党側にスパイを潜り込ませ、不正について何らかの証拠を握っている(証拠を握れる状態を作れなければ民主党に不正させない)。これは「おとり捜査」である。これから証拠がリークされていく。ロシアゲートの逆転劇に似ている。決定的な証拠がリークされる前後に、マスコミがネバダ州のバイデン勝利を確定し、バイデンの当選を発表するかもしれない。しかしそれと同時に民主党の選挙不正について決定的な証拠が暴露され、マスコミも選挙不正に協力してバイデン勝利を捏造していたことがバレていく。

http://tanakanews.com/190527spygate.htm
スパイゲートで軍産を潰すトランプ

このシナリオが成功すると、民主党だけでなくマスコミの権威も失墜させ、軍産の全体を潰せる。最終的な次期大統領はトランプになる。もう少しで勝てたのに、と悔しがる民主党左派は、全米で絶望的な暴動・略奪に走る。米国は混乱が続いて国際信用が低下し、経済も破壊され、軍産が最も望まない覇権の失墜になる。その中でトランプの2期目が始まり、米中分離や隠然多極化を進めていく。結局のところ、一昨日書いた記事のシナリオに戻っている。嘲笑してください(笑)。

田中宇の国際ニュース解説
米民主党の選挙不正


なんだかネトウヨみたいですが、田中氏の場合、ただインターネットで海外の新聞などを読んで情勢を分析するだけなので、フェイクニュースに惑わされてこんな醜態を演じることになるのでしょう。

何度もくり返しますが、トランプの狂気は他人事ではないのです。

学生時代、挨拶は「押忍」しか言ったことがないと本人も言っているように、法政大学で学ランを着てアイパーに剃りこみを入れた髪型で構内を闊歩していた学生が、横浜で代議士秘書になり、秘書から市会議員になると、代議士事務所の威光を笠に市の人事に介入し、「影の横浜市長」と呼ばれるほどの影響力を手に入れたのでした。

彼はどう見ても政治家というより政治屋です。人事を盾に権勢を振るう、官僚制度の弱点を熟知した政治屋なのです。だから、「内閣人事局」の創設に関わり、官邸が官僚の人事権を一手に握る体制を敷いたのでしょう。さらには、公安警察に隠然たる影響力を持つ元公安OBを側近に据え、公安を使った情報管理で霞が関ににらみをきかせて、有無を言わせない絶対的な権力を手にしようとしているのです。まるでロシアのプーチンを真似たかのようです。

でも、メディアには、秘密警察化する公安への懸念も、全体主義に対する危機感も皆無です。それどころか、危険な権力に尻尾を振って取り入ろうとするあり様です。大統領の狂気に及び腰だったアメリカのメディアの二の舞どころか、そこには歌を忘れたカナリアの「あさましくさもしい」姿しかありません。権力の太鼓持ちは、ネトウヨ御用達のフジサンケイグループだけではないのです。


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2020.11.07 Sat l 社会・メディア l top ▲