日本の不思議。前から何度も言っていますが、どう考えてもオリンピックなんてできるわけがないのに、何故か誰もそう言わないのです。野党もメディアも誰も言わない不思議。

テレビのスポーツ番組などは、オリンピック開催を前提に、候補選手にまじかに迫ったオリンピックに対する抱負をインタビューしたりしていますが、正気かと言いたくなります。

折しも、政府は今日、「新型コロナウイルス変異種の国内侵入を防ぐため、全ての国・地域からの外国人の新規入国を今月28日から来年1月末までの間、一時停止すると発表した」(共同)そうです。

東京オリンピックは、来年の7月23日から8月8日まで開催される予定です。半年前まで外国人の新規入国を停止するような状態で、ホントに開催できるのでしょうか。それでもできると考えるのは正気とは思えません。

私は、安倍晋三の記者会見を観ているうちに、”安倍晋三という病い”という言葉が浮かんでなりませんでしたが、嘘に嘘を重ねる安倍晋三と同じように、ここに至ってもオリンピック開催が可能と考えるのも、もはや”狂気”の領域に入った気さえします。政府や与党だけではありません。野党もメディアも、その”狂気”を共有しているのです。

2月からワクチンの接種がはじまるそうですが、それが全国民に行き渡るのに1年以上かかると言われています。それどころか、COVID-19が収束するのにあと2年くらいかかるだろうという専門家の声もあります。それでも見切り発車をして開催するつもりなのでしょうか。

外国では、オリンピックの選考会どころか、選手たちは練習さえしていない国も多いのです。そんな国がホントにあと7ヶ月後に選手を派遣することができるのでしょうか。

でも、何度も言いますが、メディアも野党も誰もこんな疑問を口にすることはありません。

先の戦争では負け戦とわかっていても、誰もそう言わずに大本営発表を流し続けたのですが、また同じ愚をくり返しているのです。これでは全体主義国家と同じです。

感染力が強いと言われている変異種のウィルスも広がりつつあります。安倍応援団として、一緒になって嘘を流し続けた産経新聞やフジテレビは、来年の2月には収束するだろうというあらたな嘘を流していますが、変異種のウィルスの問題ひとつをとっても、これから収束までひと山もふた山もあるのは間違いないでしょう。

野党にしても然りです。こんな野党に何を期待するというのでしょうか。そもそもこんな野党が信用できるでしょうか。オリンピック開催という国策に関しては、与党も野党もないのです。先の戦争を遂行した大政翼賛会と同じです。

オリンピック開催という大義名分のために、国の感染対策が後手にまわっているのは、今更言を俟たないでしょう。

幻のオリンピックに何千億円あるいは何兆円の国費を注ぎ込む一方で、明日の1万円のお金もなくてみずから死を選ぶ国民もいるのです。

月に10数万円の生活保護を申請しても、自助努力が足りないと門前払いされる一方で、幻のオリンピックのためには、今も何十億円も何百億円もの大金が(まるでドブに捨てるように)無駄使いされているのです。

眞子さんの1億5千万円の結婚一時金を「税金ドロボー」と悪罵を浴びせるくせに、何兆円何千億円の無駄使いする政治家や官僚には、野党もメディアも国民もみんな寛容なのです。

話は飛躍しますが、ここでも「愛国」とは何かを考えないわけにはいきません。柳美里の『JR上野駅公園口』ではないですが、明日の1万円がなくて死を選らばざるを得ない同朋がいることに涙するのがホントの愛国者でしょう。でも、この国にはそんな真っ当な愛国者はいません。むしろ、柳美里のような在日をヘイトするのが「愛国」者の役割と見做されているのです。古谷経衡が言うように、そこにあるのはただの「愛国ビジネス」です。数億円の白亜の豪邸を建てた”極右の女神”は、今も安倍晋三と一緒に改憲推進の講演活動を行っていますが、かように「愛国」とは濡れ手に粟の美味しい商売なのです

ともあれ、政府も与党も野党もメディアも経済界も、未だにオリンピック開催に拘っている光景は、役人特有の事なかれ主義とドッキングした究極のサンクコストの呪縛と言えないこともないでしょう。


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2020.12.27 Sun l 社会・メディア l top ▲