30日の東京都の新規感染者は944人です。これは、今までいちばん多かった26日の949人に次いで2番目に多い数字だそうです。

小池都知事は緊急記者会見を開き、感染者が急速に増加して、「医療提供体制もひっ迫しており、危機的状況に直面している」、今のペースで増加すると、「2週間後には日々1000人を超えるペースで新規陽性者が発生していくことになる」と述べたそうです。

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「『緊急事態宣言』要請せざるを得なくなる」 小池都知事「年末で感染抑え込みを」

さらに、若者に向けて、次のようにメッセージを発したのです。

(略)「コロナを甘く見ないでください。夜間の外出もしばらくはなし」と警告。「軽症、無症状のまま行動して、結果として感染が拡大すると、コロナ患者のために医療がさらにひっ迫します。ひいてはコロナ以外の救急医療や通常医療も圧迫されてくるのです。受けられるはずの医療が受けられなくなる。助かるはずの命が助からなくなる。だから、『若いから大丈夫』ではありません」と強調した。

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小池都知事、若者に「コロナ甘く見ないで」 「こんなはずじゃなかった」では手遅れ


昨日(29日)も用事があって副都心線で渋谷~原宿~新宿~池袋を通ったのですが、渋谷や新宿から乗って来る乗客はコロナ前の休日と変わらないくらいでした。帰省する人が少ない分、街に繰り出す人が多いのでしょう。

繁華街にある飲食店の客の入りは、5割減とか4割減とか言われていますが、逆に言えば、それでもコロナ前より半分くらいの入りはあるのです。飲食店が大変なのはよくわかりますが、今の感染状況を考えれば、その数字にも驚くばかりです。

通勤電車も然りで、緊急事態宣言のときよりはるかに乗客が多くなっています。我先に座席に殺到する乗客たちの行動も、感染拡大下にあるとは思えないくらい元に戻っています。

いくら小池都知事が危機感を煽っても、もう人々が危機感を抱くことはないのです。いったん緩めた手綱は締め直すことはできないのです。そもそもこの感染拡大を招いた一因は、第三次感染を前にして、小池都知事の強い希望により東京都がGoTo除外から解除されたからでしょう。それで都民がいっせいに旅行に出かけるようになり、交通機関も観光地も混雑しはじめたのです。

特に若者たちは、解除をきっかけに感染などどこ吹く風で遊び歩くようになりました。それまでは繁華街を出歩くのにためらいがあったように思いますが、GoTo解除でためらいがなくなり開き直った感じです。若者たちの行動が、年末年始にさらにエスカレートするのは目に見えています。しかも、渋谷や新宿や池袋などの都心だけでなく、私鉄沿線の駅前の飲み屋街も人出が増えています。

若者たちがウィルスの運び屋になっている今の状況では、2週間後、新規感染者数が1000人を超えるのは必至でしょう。

何度も言いますが、「正しく怖れる」などどこかに吹っ飛んでしまったのです。自粛警察でも、無知無神経なノーマスクでもなく、各自が正しい知識に基づいた「正しく怖れる」ことが大事ですが、もう全ては元の木阿弥になってしまったのです。

岩田健太郎医師は、今月初め、菅首相の「トラベルが主要な原因だというエビデンスは存在しない」「トラベル事業の利用者延べ4000万人に対して関連する感染確認は180人程度」という(アホ丸出しの)発言を次のように批判していました。

新型コロナウイルスは、例えば西ナイルウイルスのように渡り鳥が媒介したりはしない。感染の広がりは人から人によるものだ。日本各地に感染が広がっているのは、人がある自治体から別の自治体に移動しているからだ。それ以外の感染経路は想定できない。よって、人の移動が日本での新型コロナウイルス感染を広げているのである。(略)

GoToが日本でコロナ拡大を助長したと考えるほうが合理的だし、そうでないという「エビデンスはない」。

政府がGoToキャンペーンで「コロナなんて怖くない。経済対策のほうが優先だ」といった「ノリ」を作ってしまった罪は大きい。経済対策は重要だが、それは十全なる感染対策とコロナ感染縮小が可能にする対策だ。ブレーキとアクセルを同時に踏めば、つんのめって事故るだけだ。

Web医事新報
【識者の眼】「GoToが広げるコロナの『ノリ』」岩田健太郎


何より、菅首相のステーキ会食は、感染対策の呼びかけをみずからぶち壊す愚行と言えるでしょう。銀座のステーキ店で行われた忘年会のメンバーは、菅首相のほかに、自民党の二階俊博幹事長、林幹事長代理、ソフトバンクの王貞治氏、俳優の杉良太郎氏、みのもんた氏、政治評論家の森田実氏です(出席者は8人で、もう一人の「自民党関係者」が誰なのか不明です)。王以下は、それぞれの分野で業績を残したとは言え、言うなれば現代の幇間と呼ぶべき人間たちです。

しかも、当日は感染拡大によりGoToトラベルの全国一斉停止を発表したばかりなのです。なんだか江戸時代、一般庶民には牛肉を禁止していながら、幕府の上級武士たちは牛肉を食べていた話を彷彿とさせます。これでは、政府が発信する感染防止に国民がソッポを向くのは当然でしょう。しかも、このオキテ破りの会食についても、菅首相に張り付いている大手メディアの番記者たちは、当初スルーしていたのです。『FLASH』かどこだかが報じて大騒ぎになったので、しれっと追随して報道しはじめたのでした。

政治家たちが見くびっているのは国民だけではないのです。歌を忘れたカナリアのメディアも同様です。政治家たちは、書かないとわかっているので、記者の前でこういったデタラメを平然と行うことができるのでしょう。

もしオリンピック開催を強行するなら、春以降、感染が収束した(山を越した)というキャンペーンがはじまるはずです。その際、オキテ破りの会食をスルーした大手メディアが、電通ともども大きな役割を担うのは間違いないでしょう。

追記:
31日の東京都の新規感染者が1337人と発表されました。僅か一日で千人台が現実になりました。
2020.12.30 Wed l 新型コロナウイルス l top ▲