先々週に三ツドッケに登ったあと、右膝に違和感がありました。私は、若い頃、左膝を痛めていますので、山でも常に左膝をかばうように歩いています。それは無意識のうちにそうやっているのです。

登りながら写真を撮るので、ストックも1本しか使っていませんが(下りは2本使っている)、そのストックも左手で持つ場合が多いのです。また、登りや下りでも、段差があるところはいつも右足から先に出しています。そのため、右足(膝)に過重な負担がかかっているのは自分でもわかっていました。

そして、2~3日すると痛みが出てきました。もちろん、今までも膝痛を経験していますので(それは大概左膝でしたが)、時間が経てば治るだろうとタカを括っていました。

ところが、日を追うごとに痛みが増してきたのでした。痛み止めのロキソニンのテープを貼ってもほとんど効果がありません。椅子に座っているときや階段を下りるときはそうでもないのですが、道を歩くと右膝がビンビン痛みます。そのため、おのずと右足をひきずって歩くようになりました。

ベットに足を伸ばして寝ていても、痛みはないものの、膝裏にだるさのような、そんな違和感がずっとありました。

それで、今日、近所の整形外科に行きました。受診の結果、膝に水がたまっていることがわかりました。たしかに、左右の膝を比べると、あきらかに右膝がいびつに腫れているのがわかりました。

私は、もう6~7年泌尿器科の病院に通っていますが、泌尿器科のドクターと比べると、今日のドクターは対応も説明も非常に丁寧で、こっちが恐縮するくらいでした。

上記の登山の話をしたら、恐らく膝の「処理能力」に比して過重な負担がかかったために、水がたまったのではないかと言われました。こういう場合、往々にして「変形膝関節症」や「半月板損傷」や「関節リウマチ」などが疑われるけど、膝の痛みの7~8割は年齢に関係のない過重な負担が原因なのだそうです。年齢とともに膝の「処理能力」が低下するので、高齢者に膝痛が多いのは事実だけど、しかし、膝痛は高齢者だけの話ではない、膝の痛みに関しては老いも若きも関係ないと言っていました。

「処理能力」を超えた過重な負担(オーバーユース)について、膝の「赤字」という言い方をしていました。「赤字」を「黒字化」しなければならないのです。「黒字化」する方法はふたつあります。出費を控えて倹約することと収入を増やすことです。出費を控えるというのは、膝を休ませることです。あるいは、ダイエットして体重を減らすことです。収入を増やすというのは、より筋力を付けるためにストレッチなどを行うことです。しかし、「赤字」のときにそれをやるのは逆効果だと言っていました。よけい膝を悪化させるだけだと。しかし、ネットには、膝痛にはこういうストレッチがいい、こうすれば膝痛が解消されるなどと、「収入を増やす」いろんな方法が出ています。

私も、何かあるとすぐネットで調べる(ググる)癖がありますが、膝痛に関しても、検索すると、ドクターが言うように「変形膝関節症」や「加齢による軟骨の減り」や「半月板損傷」などといったワードが真っ先に出てきて、どうしてもそれらと結び付けたくなります。でも、それは、間違ってはいないけど偏った情報なのです。そのため、結果的に正しいとは言えないのです。そういったワードが多く出てくるのは、Googleのアドセンスやアドワードとの関連があるからでしょう。

それは、ネットの特徴というか、広告と連動した検索エンジンの”宿命”とも言えるものです。政治でも登山でも、あるいは社会的な事件でも芸能人のゴシップでも同じでしょう。つまり、私たちに求められているのは、「間違ってはいないけど偏った情報であるがゆえに、結果的に正しいとは言えない」ことを見極めることができるかどうかなのです。それがいわゆるネットリテラシーというものだと思います。間違ってもGoogleは神ではないのです。単なる広告会社なのです。「Don't be evil」という行動規範も、建前に過ぎないのです。

話は戻りますが、膝の関節は関節包という膜に覆われており、その関節包のなかに潤滑油の役割をする関節液があり、それが関節を湿らす程度に常に分泌され吸収されているのだそうです。しかし、膝に炎症などができると、関節液が過剰に分泌され吸収されずに関節包のなかに溢れるのだそうです。それが「水がたまる」という言い方になるのです。そして、たまった水(関節液)が関節を支える筋肉を圧迫するので、痛みが発生するのです。

膝に残っている水を注射器で吸引し(注射器2本分の黄色い関節液が吸引されました)、ヒアルロン酸1本分を注射されました。1週間後に再度診察して、状況が芳しくなければ、週1本、全部で5本分のヒアルロン酸を注射した方がいいでしょうと言われました。

また、念の為にレントゲンを撮りましたが、ドクターからは「年齢を感じさせないきれいな膝ですね」「全然問題ないですよ」と言われました。もう二度と山に行けないのではないかと思っていましたので、安堵しました。しばらくは山行を中止して、膝を休めるしかなさそうです。

たしかに、このところ急登や距離の長い山行が多かったので、膝に過重な負担がかかったのだと思います。今日の話とは矛盾しますが、年を考えずに走りすぎたのかもしれません。

特に、先日の三ツドッケの下りが決定的だったように思います。やはり、自分のペースでゆっくり歩くべきだったと反省しています。どこかでコースタイムに拘っていた軽薄な自分がいたように思います。前に山で会ったガイドの人が、「年寄りのハイカーは無茶な人が多いですよ」と言ってましたが、そんな無茶な人に惑わされたという側面はあるのかもしれません。

余談ですが、山での歩き方については、下記のサイトが参考になるように思いました。特に、重心移動の仕方については目から鱗でした。何事でもそうですが、理論はたしかに大事なのです。理論は言い換えればコツなのです。私も最近は登りでも「横向き」を多用していますが、そうするとずいぶん楽になりました。

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2021.03.22 Mon l 健康・ダイエット l top ▲