今週(3日)、横浜市長選に関連して、山下埠頭のIR進出に強硬に反対している”ハマのドン”こと藤木幸夫氏(藤木企業会長)が、外国特派員協会で行った記者会見の模様をYouTubeで観ました。ちなみに、投票用紙は今日届きました。
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横浜市カジノ誘致に反対 「ハマのドン」藤木氏が会見(2021年8月3日)
会見は藤木氏がみずから申し出て行なわれたそうです。また、会見の司会は、「ビデオニュース・ドットコム」代表でジャーナリストの神保哲生氏が務めていました。
藤木氏は今月の18日で91歳になるそうですが、たしかに年齢を感じさせないパワフルな印象を受けました。しかし、喋っている内容は、”ハマのドン”を意識して自分を大きく見せようとしているのか、多分に自慢話のようなものが多く、正直言って辟易させられました。
IRに反対と言っても、話を聞く限り、みずからの権益に関係する山下埠頭でのIRに反対という風に読めなくもありませんでした。たしかに、ほかでやりたければやればいいみたいな軽口も叩いていました。どうしてもIRを強行するならオープンの日に、会場で切腹自殺すると過激な発言もしていましたが、そういった発言も鼻白むしかありませんでした。
昨日までのIR推進はどこへやら、一転「白紙撤回」を掲げて立候補を表明した小此木八郎氏のことをさかんに「八郎」「八郎」と言ってましたが、藤木氏によれば自身は小此木八郎氏の名付け親なのだそうです。
「当選するのは八郎でしょ」と口を滑らせていましたが、自民党市連が「白紙撤回」の小此木氏で結束しつつあるので、名付け親としてはホッと胸を撫でおろしているのかもしれません。藤木氏は、「野党統一候補」の山中竹春氏の合同選対会議の名誉議長に就任し、「山中氏を全面支援する考えを示した」(朝日)と伝えられていますが、しかし、会見では山中氏に対する支援の話は出ないままでした。
会見の模様を伝えた東スポも、次のように書いていました。
藤木氏の話では、田中康夫氏も藤木氏のもとを訪れて「港がついてくれるなら間違いないから」と支援を乞うたのだそうです。
もし藤木氏の話がホントなら、山中氏も田中氏もアウトだと思いました。藤木氏こそ横浜の「村社会」の象徴のような人物で、よりによって支援を乞うなどというのはあり得ない話でしょう。
たしかに、藤木氏のなかに(そしてIRに「反対」する多くの市民のなかにも)、森鴎外が作詞した「横浜市歌」に象徴されるような港町・横浜に対する、”横浜ナショナリズム”とも言うべきパトリな感情が伏在しているのは事実でしょう。しかも、現在の市長は(県知事も)、本来横浜とは何の関係もない、中央の政党(旧民主党)の思惑で他所からやって来た人間です。そんな外様の首長が、みずからの政治的保身のために、市政を食い物にする獅子身中の虫たちと結託して巨大プロジェクトを次々に立ち上げ、市の財政をさらに借金漬けにしてしまったのです。今回のIRもその延長上にあるのは間違いないでしょう。藤木氏の義憤はわからないでもないですが、しかし、小此木氏との関係ひとつをとってもわかるように、「村社会」との関係があまりにもズブズブすぎるのです。
IRに関して言えば、林氏が勝てば計画通り山下埠頭、小此木氏が勝てば山下埠頭は「白紙撤回」して、時間を措いたあとその他の候補地で再度募集、あるいは状況次第では再びドンデン返しで山下埠頭ということになるのでしょう。もっとわかりやすく言えば、時期が早いか遅いか、山下埠頭かその他の場所(あるいは状況次第で山下埠頭)か、華僑・中国系の業者かアメリカの業者かの違いです。ただ、トランプが負けてバイデン政権に変わったので、アメリカの業者にこだわる必要はなくなった(だから「白紙撤回」した)という見方もあります。
「村社会」内のIRをめぐる”暗闘”を浮かび上がらせたという点では(でも、利害が同じなので終着点は同じ)、会見はそれなりの意味はあったとも言えますが、一方で、過半が「反対」だという市民の声はどこかに行ってしまった感じです。「反対」がホントなら市民はいいようにコケにされていると言ってもいいでしょう。しかし、オシャレな街、住みたい街とか言いながら、これほど「村社会」をのさばらせた責任の一端は市民にもあるのですから、自業自得と言われても仕方ないのです。今回の市長選でも、党派に動員された投票要員の”市民”がいるだけで、「村社会」=既成政党を乗り越えるような自立した市民の姿はどこにもないのでした。
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横浜市長選の魑魅魍魎 ‐ 追記(7/29)
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横浜市カジノ誘致に反対 「ハマのドン」藤木氏が会見(2021年8月3日)
会見は藤木氏がみずから申し出て行なわれたそうです。また、会見の司会は、「ビデオニュース・ドットコム」代表でジャーナリストの神保哲生氏が務めていました。
藤木氏は今月の18日で91歳になるそうですが、たしかに年齢を感じさせないパワフルな印象を受けました。しかし、喋っている内容は、”ハマのドン”を意識して自分を大きく見せようとしているのか、多分に自慢話のようなものが多く、正直言って辟易させられました。
IRに反対と言っても、話を聞く限り、みずからの権益に関係する山下埠頭でのIRに反対という風に読めなくもありませんでした。たしかに、ほかでやりたければやればいいみたいな軽口も叩いていました。どうしてもIRを強行するならオープンの日に、会場で切腹自殺すると過激な発言もしていましたが、そういった発言も鼻白むしかありませんでした。
昨日までのIR推進はどこへやら、一転「白紙撤回」を掲げて立候補を表明した小此木八郎氏のことをさかんに「八郎」「八郎」と言ってましたが、藤木氏によれば自身は小此木八郎氏の名付け親なのだそうです。
「当選するのは八郎でしょ」と口を滑らせていましたが、自民党市連が「白紙撤回」の小此木氏で結束しつつあるので、名付け親としてはホッと胸を撫でおろしているのかもしれません。藤木氏は、「野党統一候補」の山中竹春氏の合同選対会議の名誉議長に就任し、「山中氏を全面支援する考えを示した」(朝日)と伝えられていますが、しかし、会見では山中氏に対する支援の話は出ないままでした。
会見の模様を伝えた東スポも、次のように書いていました。
会見で藤木氏は「山中さんについては何も知りません」とキッパリ。立憲民主党の江田憲司衆院議員に人選を任せただけだという。「そしたら(江田氏が)山中さんを連れてきた。『あんた目が鋭すぎるよ』と言いました。あとから聞くと(山中氏は)いい人だ。でも当選するのは八郎でしょ」とぶっちゃけた。
東スポWeb
横浜市長選 IR招致反対〝ハマのドン〟藤木幸夫氏が断言「やるならオープンの日に切腹する」
藤木氏の話では、田中康夫氏も藤木氏のもとを訪れて「港がついてくれるなら間違いないから」と支援を乞うたのだそうです。
もし藤木氏の話がホントなら、山中氏も田中氏もアウトだと思いました。藤木氏こそ横浜の「村社会」の象徴のような人物で、よりによって支援を乞うなどというのはあり得ない話でしょう。
たしかに、藤木氏のなかに(そしてIRに「反対」する多くの市民のなかにも)、森鴎外が作詞した「横浜市歌」に象徴されるような港町・横浜に対する、”横浜ナショナリズム”とも言うべきパトリな感情が伏在しているのは事実でしょう。しかも、現在の市長は(県知事も)、本来横浜とは何の関係もない、中央の政党(旧民主党)の思惑で他所からやって来た人間です。そんな外様の首長が、みずからの政治的保身のために、市政を食い物にする獅子身中の虫たちと結託して巨大プロジェクトを次々に立ち上げ、市の財政をさらに借金漬けにしてしまったのです。今回のIRもその延長上にあるのは間違いないでしょう。藤木氏の義憤はわからないでもないですが、しかし、小此木氏との関係ひとつをとってもわかるように、「村社会」との関係があまりにもズブズブすぎるのです。
IRに関して言えば、林氏が勝てば計画通り山下埠頭、小此木氏が勝てば山下埠頭は「白紙撤回」して、時間を措いたあとその他の候補地で再度募集、あるいは状況次第では再びドンデン返しで山下埠頭ということになるのでしょう。もっとわかりやすく言えば、時期が早いか遅いか、山下埠頭かその他の場所(あるいは状況次第で山下埠頭)か、華僑・中国系の業者かアメリカの業者かの違いです。ただ、トランプが負けてバイデン政権に変わったので、アメリカの業者にこだわる必要はなくなった(だから「白紙撤回」した)という見方もあります。
「村社会」内のIRをめぐる”暗闘”を浮かび上がらせたという点では(でも、利害が同じなので終着点は同じ)、会見はそれなりの意味はあったとも言えますが、一方で、過半が「反対」だという市民の声はどこかに行ってしまった感じです。「反対」がホントなら市民はいいようにコケにされていると言ってもいいでしょう。しかし、オシャレな街、住みたい街とか言いながら、これほど「村社会」をのさばらせた責任の一端は市民にもあるのですから、自業自得と言われても仕方ないのです。今回の市長選でも、党派に動員された投票要員の”市民”がいるだけで、「村社会」=既成政党を乗り越えるような自立した市民の姿はどこにもないのでした。
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