あらたな変異株、オミクロン株の感染が日本でも確認されました。既にオミクロン株の感染は、アメリカ、カナダ、イギリス、ポルトガル、ベルギー、オランダ、そして韓国などでも確認されているそうです。オミクロン株に関しては、感染力や重症度などまだその詳細がわかっていないようですが、しかし、感染防止の観点から最悪の事態を想定するのは当然で、再び双六が振り出しに戻るかのような世界大の感染拡大が懸念されているのでした。
BBCが言うように、「オミクロン株の出現は、多くの人がCOVID-19は終わったと考えていても、実際には終わっていないことを示している」のです。
同じBBCには、次のような記事が掲載されていました。
BBC NEWS / JAPAN
南ア大統領、各国の渡航制限解除を要請 オミクロン株めぐり
まったくその通りで、ワクチンを先進国が独占している限り、かつて「第三世界」と呼ばれた南の貧しい国からの変異株のシッペ返しはこれからも続くでしょう。
この一見終わりがないかのような新型コロナウィルスとの戦いに示されているのは、資本主義の矛盾です。既に新型コロナウイルスの変異株は100種類以上発生していると言われていますが、富める者(国)と貧しき者(国)が存在する限り、ウイルスが弱毒化され単なる感染症となる日まで、私達は変異株に怯え続けなければならないのです。もちろん、その度に、変異株の震源地である貧しい国の人々が真っ先に多大な犠牲を強いられるのは言うまでもありません。
一方で、製薬会社にとっては、パンデミックは千載一遇のビジネスチャンスでもあります。そのため、開発競争も熾烈を極めているのですが、しかし、彼らが相手にするのは高値で買取ってくれる先進国の政府で、お金のない貧しい国など眼中にありません。もとより、オミクロン株の出現も、製薬会社にとっては益々笑いが止まらない喜ぶべきニュースと言えるでしょう。
資本主義社会にどっぷりと浸かった人間たちは、金のある人間がワクチンを優先的に接種できるのは当たり前だと思うでしょうが、そのために、貧しい国の人々を通してオミクロン株のような変異株による感染が発生して、あらたな感染爆発に恐れ戦かねばならないのです。ワクチンと無縁な人々から見れば、「ざまぁ」というような話でしょう。
独占的にワクチンを供給する製薬会社が、中国とロシアを除いてアメリカとイギリスに集中しているのも、資本主義世界を支配する古い政治の力学がはたらいているからでしょう。
そんななかで中国は、先進国が欧米のワクチンを独占するその間隙を縫って、みずから開発したワクチンをアジアやアフリカの発展途上国に無償提供することで、一帯一路構想の参加国を増やすなどその影響力を広げようとしています。
地球温暖化を方便とした「脱炭素戦争」の背景に、アメリカと中国の世界覇権をめぐる争いがあるのはあきらかですが、このように新型コロナウィルスのワクチンをめぐる競争にも、米中の”見えない戦争”が影を落としているように思えてなりません。
ファイザー(米)やモデルナ(米)やアストラゼネカ(英)のような製薬会社、あるいはAmazon(米)やGoogle(米)のような巨大IT企業が文字通り火事場泥棒のように巨万の富を手に入れるその傍らでは、先進国と発展途上国の格差や国内の階層間の格差は広がる一方で、そこにグローバル資本主義の本質が如実に示されているように思います。
まさにノーブレーキで貪欲に暴走する資本に歯止めをかけない限り、格差の拡大にも歯止めがかからないのは自明ですが、私たちの今の生活を虚心坦懐に見ればわかるように、自己満の幻想と欲望に酔い痴れた先進国の人間にとって、そういったものの考え方はもはや自らの死を意味する自己否定に等しいものです。私たち自身もまた、資本主義の矛盾を体現した危うい存在に過ぎないのです。
しかも、岸田政権が日本に到着する国際線の新規予約の停止を航空会社に要請したものの、翌日には撤回するというドタバタ劇を演じたことからもわかるように、感染防止の水際対策は両刃の剣でもあるのです。資本が国境を易々と飛び越え、経済がグローバル化した今の資本主義世界では、物流や人流を完全に止めることはもはやできないのです。
資本の原理によって必然的に生み出される格差。その所産である南の貧しい国から断続的に出現する変異株。グロール資本主義の宿命とも言うべき物流や人流につきまとう両刃の剣。新型コロナウィルスが暴き出したのは、このような資本主義の避けようのない矛盾です。ウィルスの脅威の前には、資本主義は張子の虎にすぎないという市場原理主義の脆さ、自己矛盾なのです。
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新型コロナウイルスと「共生への道」
BBCが言うように、「オミクロン株の出現は、多くの人がCOVID-19は終わったと考えていても、実際には終わっていないことを示している」のです。
同じBBCには、次のような記事が掲載されていました。
BBC NEWS / JAPAN
南ア大統領、各国の渡航制限解除を要請 オミクロン株めぐり
ラマポーザ大統領は演説で、渡航制限に科学的根拠はないと指摘。アフリカ南部諸国が不公平な差別の犠牲になっていると批判した。
(略)
さらに、オミクロン株が発見されたことで、ワクチン供給の不平等が浮き彫りになったと述べ、全ての人がワクチンを接収するまで、変異株の出現は免れないと話した。
南アフリカ自体はワクチン不足には陥っていないが、ラマポーザ氏は、多くの人にワクチンを打ってほしい、それが新型ウイルスと戦う最善手段だと訴えた。
まったくその通りで、ワクチンを先進国が独占している限り、かつて「第三世界」と呼ばれた南の貧しい国からの変異株のシッペ返しはこれからも続くでしょう。
この一見終わりがないかのような新型コロナウィルスとの戦いに示されているのは、資本主義の矛盾です。既に新型コロナウイルスの変異株は100種類以上発生していると言われていますが、富める者(国)と貧しき者(国)が存在する限り、ウイルスが弱毒化され単なる感染症となる日まで、私達は変異株に怯え続けなければならないのです。もちろん、その度に、変異株の震源地である貧しい国の人々が真っ先に多大な犠牲を強いられるのは言うまでもありません。
一方で、製薬会社にとっては、パンデミックは千載一遇のビジネスチャンスでもあります。そのため、開発競争も熾烈を極めているのですが、しかし、彼らが相手にするのは高値で買取ってくれる先進国の政府で、お金のない貧しい国など眼中にありません。もとより、オミクロン株の出現も、製薬会社にとっては益々笑いが止まらない喜ぶべきニュースと言えるでしょう。
資本主義社会にどっぷりと浸かった人間たちは、金のある人間がワクチンを優先的に接種できるのは当たり前だと思うでしょうが、そのために、貧しい国の人々を通してオミクロン株のような変異株による感染が発生して、あらたな感染爆発に恐れ戦かねばならないのです。ワクチンと無縁な人々から見れば、「ざまぁ」というような話でしょう。
独占的にワクチンを供給する製薬会社が、中国とロシアを除いてアメリカとイギリスに集中しているのも、資本主義世界を支配する古い政治の力学がはたらいているからでしょう。
そんななかで中国は、先進国が欧米のワクチンを独占するその間隙を縫って、みずから開発したワクチンをアジアやアフリカの発展途上国に無償提供することで、一帯一路構想の参加国を増やすなどその影響力を広げようとしています。
地球温暖化を方便とした「脱炭素戦争」の背景に、アメリカと中国の世界覇権をめぐる争いがあるのはあきらかですが、このように新型コロナウィルスのワクチンをめぐる競争にも、米中の”見えない戦争”が影を落としているように思えてなりません。
ファイザー(米)やモデルナ(米)やアストラゼネカ(英)のような製薬会社、あるいはAmazon(米)やGoogle(米)のような巨大IT企業が文字通り火事場泥棒のように巨万の富を手に入れるその傍らでは、先進国と発展途上国の格差や国内の階層間の格差は広がる一方で、そこにグローバル資本主義の本質が如実に示されているように思います。
まさにノーブレーキで貪欲に暴走する資本に歯止めをかけない限り、格差の拡大にも歯止めがかからないのは自明ですが、私たちの今の生活を虚心坦懐に見ればわかるように、自己満の幻想と欲望に酔い痴れた先進国の人間にとって、そういったものの考え方はもはや自らの死を意味する自己否定に等しいものです。私たち自身もまた、資本主義の矛盾を体現した危うい存在に過ぎないのです。
しかも、岸田政権が日本に到着する国際線の新規予約の停止を航空会社に要請したものの、翌日には撤回するというドタバタ劇を演じたことからもわかるように、感染防止の水際対策は両刃の剣でもあるのです。資本が国境を易々と飛び越え、経済がグローバル化した今の資本主義世界では、物流や人流を完全に止めることはもはやできないのです。
資本の原理によって必然的に生み出される格差。その所産である南の貧しい国から断続的に出現する変異株。グロール資本主義の宿命とも言うべき物流や人流につきまとう両刃の剣。新型コロナウィルスが暴き出したのは、このような資本主義の避けようのない矛盾です。ウィルスの脅威の前には、資本主義は張子の虎にすぎないという市場原理主義の脆さ、自己矛盾なのです。
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