東京オリンピックをめぐる汚職事件で、今度は大会スポンサーであったKADOKAWAの元専務と事業担当の室長が、東京地検特捜部に贈賄容疑で逮捕されたというニュースがありました。
KADOKAWAが大会スポンサー選定のキーパーソンの高橋治之容疑者(実際は電通時代の同僚を社長にしたダミー会社)に、コンサル料として支払った金額は7600万円と報道されています。
ただ、今回逮捕されたのは、あくまで窓口になった担当社員にすぎません。決裁した(はずの)角川歴彦会長や夏野剛社長にも捜査の手が及ぶのか注目されます。
夏野社長で思い出すのは、パンデミック下でオリンピック開催が強行され世論が沸騰していた時期に、ABEMA TVで飛び出した”トンデモ発言”です。
調べてみると、放送されたのは2021年7月21日で、FLASHによれば下記のような内容です(FLASHの記事では2019年になっていますが、2021年の間違いです)。夏野氏はまだ子会社のドワンゴの社長でした。
Smart FLASH
「五輪汚職」報道のKADOKAWA 夏野剛社長が五輪をめぐり語っていた「アホな国民感情」“上から目線”の大暴言
この身も蓋もないおっさんの”上から目線”。こんな人物が、NTTドコモでiモードの立ち上げに参画したとして、日本のネット業界の立役者のように言われているのです。
楽天の三木谷浩史氏やかつてのライブドアの堀江貴文は、ネットで金を集めるとプロ野球の球団の買収に乗り出したのですが、そこに示されたのも目を覆いたくなるような古臭いおっさんの発想です。ドワンゴにとっては、それがオリンピックだったのでしょう。
もっとも、パンデミックという予想外の出来事や大会前のゴタゴタで公式パンフレットの販売も中止になり、結局、大会組織員会に払ったスポンサー料2億8千万円と高橋理事に払った斡旋料7600万円でKADOKAWAが手にしたのは、ほとんど人の目に止まることもない「大会スポンサー」というクレジットタイトルだけだったのです。大会スポンサーという「名誉」を手にしたと言えばそう言えるのかもしれませんが、傍目には、爺殺しのドワンゴとおねだり理事の口車に乗せられて、3億5千万円の大金をドブに棄てたようにしか見えません。文字通り「ザマ―」みたいな話なのでした。
クスリを無料で差し上げますよと言ってお客を囲い込み、ジャンキーになった頃を見計らって有料にするという、ヤクの売人みたいな商法が当たり前のように通用するのがネットなのです。あるいは、欠陥商品を売ってもあとでアップデートだと言って修正すれば、ネットでは欠陥商品を売った責任は問われないのです。既存のビジネスから見れば、こんな美味しい世界はないでしょう。
KADOKAWAとドワンゴが合併したときから、こうなるのは必然だったという声もありますが、合併については、私も下記のように、大塚英志氏の著書を紹介する中で何度か触れています。
角川とドワンゴの経営統合
https://zakkan.org/blog-entry-954.html
ネットの「責任」と「倫理」
https://zakkan.org/blog-entry-998.html
『メディアミックス化する日本』
https://zakkan.org/blog-entry-1002.html
あらかじめ作られたプラットフォームに従って物語が二次創作されていくシステムは、日本の出版文化の黎明期から固有のものだったのですが、とりわけKADOKAWAがドワンゴと合併することによって、その課金化が歯止めもなく進んだのでした。
ネットの登場によって、プラットフォームを金儲けの手段にした”愚劣なシステム”が大手を振ってまかり通りようになったのですが、KADOKAWAはそれに便乗してメディアミックスの総合企業として新しいビジネスモデル(課金システム)を打ち立てようとしたのです。
やや視点は異なりますが、ネットの”愚劣なシステム”について、私は、上記の「ネットの『責任』と『倫理』」の中で次のように書きました。
そこにいるのは、間違いなく踊るアホである私たちです。
KADOKAWAが大会スポンサー選定のキーパーソンの高橋治之容疑者(実際は電通時代の同僚を社長にしたダミー会社)に、コンサル料として支払った金額は7600万円と報道されています。
ただ、今回逮捕されたのは、あくまで窓口になった担当社員にすぎません。決裁した(はずの)角川歴彦会長や夏野剛社長にも捜査の手が及ぶのか注目されます。
夏野社長で思い出すのは、パンデミック下でオリンピック開催が強行され世論が沸騰していた時期に、ABEMA TVで飛び出した”トンデモ発言”です。
調べてみると、放送されたのは2021年7月21日で、FLASHによれば下記のような内容です(FLASHの記事では2019年になっていますが、2021年の間違いです)。夏野氏はまだ子会社のドワンゴの社長でした。
Smart FLASH
「五輪汚職」報道のKADOKAWA 夏野剛社長が五輪をめぐり語っていた「アホな国民感情」“上から目線”の大暴言
番組では、子供の運動会や発表会などが無観客なのに、五輪だけ観客を認めると、不公平感が出てしまうという話題になった。その際、夏野氏は
「そんなクソなね、ピアノの発表会なんかどうでもいいでしょ、オリンピックに比べれば。それを一緒にするアホな国民感情に今年、選挙があるから、乗らざるを得ないんですよ。
Jリーグだってプロ野球だって入れているんだから。オリンピックを無観客にしなければいけないのは、やっぱりあおりがあるし、それからやっぱり選挙があるから。そこに対してあまり国民感情を刺激するのはよくないという判断。もうこのポリティカルな判断に尽きると思いますよ」
と、国民の素朴な不平の声に対し、“上から目線”の、まるで馬鹿にしたような発言を繰り広げたのだ。
この身も蓋もないおっさんの”上から目線”。こんな人物が、NTTドコモでiモードの立ち上げに参画したとして、日本のネット業界の立役者のように言われているのです。
楽天の三木谷浩史氏やかつてのライブドアの堀江貴文は、ネットで金を集めるとプロ野球の球団の買収に乗り出したのですが、そこに示されたのも目を覆いたくなるような古臭いおっさんの発想です。ドワンゴにとっては、それがオリンピックだったのでしょう。
もっとも、パンデミックという予想外の出来事や大会前のゴタゴタで公式パンフレットの販売も中止になり、結局、大会組織員会に払ったスポンサー料2億8千万円と高橋理事に払った斡旋料7600万円でKADOKAWAが手にしたのは、ほとんど人の目に止まることもない「大会スポンサー」というクレジットタイトルだけだったのです。大会スポンサーという「名誉」を手にしたと言えばそう言えるのかもしれませんが、傍目には、爺殺しのドワンゴとおねだり理事の口車に乗せられて、3億5千万円の大金をドブに棄てたようにしか見えません。文字通り「ザマ―」みたいな話なのでした。
クスリを無料で差し上げますよと言ってお客を囲い込み、ジャンキーになった頃を見計らって有料にするという、ヤクの売人みたいな商法が当たり前のように通用するのがネットなのです。あるいは、欠陥商品を売ってもあとでアップデートだと言って修正すれば、ネットでは欠陥商品を売った責任は問われないのです。既存のビジネスから見れば、こんな美味しい世界はないでしょう。
KADOKAWAとドワンゴが合併したときから、こうなるのは必然だったという声もありますが、合併については、私も下記のように、大塚英志氏の著書を紹介する中で何度か触れています。
角川とドワンゴの経営統合
https://zakkan.org/blog-entry-954.html
ネットの「責任」と「倫理」
https://zakkan.org/blog-entry-998.html
『メディアミックス化する日本』
https://zakkan.org/blog-entry-1002.html
あらかじめ作られたプラットフォームに従って物語が二次創作されていくシステムは、日本の出版文化の黎明期から固有のものだったのですが、とりわけKADOKAWAがドワンゴと合併することによって、その課金化が歯止めもなく進んだのでした。
ネットの登場によって、プラットフォームを金儲けの手段にした”愚劣なシステム”が大手を振ってまかり通りようになったのですが、KADOKAWAはそれに便乗してメディアミックスの総合企業として新しいビジネスモデル(課金システム)を打ち立てようとしたのです。
やや視点は異なりますが、ネットの”愚劣なシステム”について、私は、上記の「ネットの『責任』と『倫理』」の中で次のように書きました。
たしかに、ネットというのは「発話」(発言)すること自体は「自由」です。その意味では、「民主的」と言えるのかもしれません。しかし、現実において、私たちが「発話」するためには、ニコ動や2ちゃんねるやTwitterやFacebookやLINEなどなんらかのプラットフォームを利用しなければなりません。そして、プラットフォームを利用すれば、「発話」は立ちどころにあらかじめコントロールされたシステムのなかに組み込まれることになるのです。「一人ひとりの断片的な書き込みやツイートは、実は今や『民意』という『大きな物語』に収斂する仕掛け」になっているのです。私たちの「発話」は、その”宿命”から逃れることはできないのです。
一企業の金儲けの論理のなかに「言論・表現の自由」が担保されているというこのあやふやな現実。これがネット「言論」なるものの特徴です。
そこにいるのは、間違いなく踊るアホである私たちです。