PEAKSのウェブサイトに、下記の記事が出ていました。
PEAKS
クマが上から飛んでくる衝撃動画「登山中に熊に襲われた」 現場の真相を取材
私も、この動画をYouTubeで観ました。
私自身、二子山ではないですが、近辺の山に登ったことがあります。至るところに「熊の目撃情報あり」の注意書きの看板があり、あのあたりは熊の生息地域であることはたしかなようです。
子ども連れの親熊が、子どもを守るために本能的に襲ってきたのでしょうが、「埼玉のジャンダルム」などと言われるほど厳しい岩稜帯が連なる二子山をクライミングしている最中に、熊が頭上から襲って来る映像はたしかに衝撃的です。動画は、現在、470万回再生されており、英語の字幕を入れていることもあってか、世界中に拡散されているようです。
ただ、私が感心したのは、動画の主が「取材のご相談は登山系の媒体に限定させて頂いております」と概要欄で断っていることです。
PEAKSの記事でも、記事を執筆した山岳ライターの森山憲一氏が次のように書いていました。
遭難事故でもそうですが、メディアは、「安易な登山は危険」「遭難は迷惑」みたいなお定まりの自己責任論で報じるのが常です。ましてや、テレビのバラエティ番組などでは、ゲストのタレントたちが「キャー怖い」とアホみたいな嬌声を上げてそれで終わりなのです。
前に上高地の小梨平でキャンプをしていた女性のハイカーが、テントで睡眠中に熊に襲われて怪我をするという事故がありました。その女性は、大学の山岳部出身のハイカーだったので、朝日新聞の取材を受けたり、『山と渓谷』誌に体験記を発表していました。その中で、「熊に恨みはない」「熊に申し訳ない」と書いていました。
すると、ネットでは、「なんだ、その言い草は」と嘲笑の的になったのでした。彼らは、「人間を襲う熊なんか殺してしまえ」という身も蓋もない考えしかないのです。そして、同じような単純な考えで、遭難したハイカーに悪罵を浴びせるのでした。
登山では必ず記録を付けます。それは、思い出のためだけではなく、何かあったときの検証のためでもあります。どんな山に登るのでも、登山届と記録は必須なのです。
登山において、検証するというのは非常に大事なことです。この動画を検証のため、熊対策のために使ってほしい、という動画主の考えは、本来のハイカーが持っている見識だと思いました。中には熊鈴がうるさいといって、顔をしかめたりブツブツ文句を言ったりするようなハイカー(大概高齢者)がいますが、そういう下等なハイカーは山に来るべきではないでしょう。
今の時期だと、どこのテレビや新聞も、「紅葉が盛りを迎えて登山客で賑わっています」というような定番の”季節ネタ”を取り上げるのですが、遭難事故が起きると、途端に鬼の形相になって、まるで自業自得だと言わんばかりに、遭難者叩きを煽るような口調に一変するのでした。それは、Yahoo!ニュースのようなウェブニュースも然りです。
そのため、遭難者自身や家族が、事故後もSNSのバッシングに苦しむという”二次災害”の問題もあります。
もし登山系ユーチューバーだったら、「衝撃注意」「死ぬかと思った」「危機一髪」などというキャッチ―なタイトルで仰々しく煽って、再生回数を稼ごうとするでしょう。実際に、遠くで熊を目撃しただけで、ここぞとばかりに大袈裟なタイトルを付けてアップしている動画はいくつもあります。
旧メディアでもネットメディアでも、まともな神経で接するのは非常に難しいと思いますが、このように明確な見識を突き付けるのもひとつの方法だと思いました。
PEAKS
クマが上から飛んでくる衝撃動画「登山中に熊に襲われた」 現場の真相を取材
私も、この動画をYouTubeで観ました。
私自身、二子山ではないですが、近辺の山に登ったことがあります。至るところに「熊の目撃情報あり」の注意書きの看板があり、あのあたりは熊の生息地域であることはたしかなようです。
子ども連れの親熊が、子どもを守るために本能的に襲ってきたのでしょうが、「埼玉のジャンダルム」などと言われるほど厳しい岩稜帯が連なる二子山をクライミングしている最中に、熊が頭上から襲って来る映像はたしかに衝撃的です。動画は、現在、470万回再生されており、英語の字幕を入れていることもあってか、世界中に拡散されているようです。
ただ、私が感心したのは、動画の主が「取材のご相談は登山系の媒体に限定させて頂いております」と概要欄で断っていることです。
PEAKSの記事でも、記事を執筆した山岳ライターの森山憲一氏が次のように書いていました。
動画公開後、島田さんのもとにはテレビ局などから動画利用のお願いが多数寄せられているそうだが、いまのところすべて断っている。「衝撃映像」などと題して流され、スタジオの人が「登山は危ないですね」などと語って終わるかたちで消費されたくないというのだ。
遭難事故でもそうですが、メディアは、「安易な登山は危険」「遭難は迷惑」みたいなお定まりの自己責任論で報じるのが常です。ましてや、テレビのバラエティ番組などでは、ゲストのタレントたちが「キャー怖い」とアホみたいな嬌声を上げてそれで終わりなのです。
前に上高地の小梨平でキャンプをしていた女性のハイカーが、テントで睡眠中に熊に襲われて怪我をするという事故がありました。その女性は、大学の山岳部出身のハイカーだったので、朝日新聞の取材を受けたり、『山と渓谷』誌に体験記を発表していました。その中で、「熊に恨みはない」「熊に申し訳ない」と書いていました。
すると、ネットでは、「なんだ、その言い草は」と嘲笑の的になったのでした。彼らは、「人間を襲う熊なんか殺してしまえ」という身も蓋もない考えしかないのです。そして、同じような単純な考えで、遭難したハイカーに悪罵を浴びせるのでした。
登山では必ず記録を付けます。それは、思い出のためだけではなく、何かあったときの検証のためでもあります。どんな山に登るのでも、登山届と記録は必須なのです。
登山において、検証するというのは非常に大事なことです。この動画を検証のため、熊対策のために使ってほしい、という動画主の考えは、本来のハイカーが持っている見識だと思いました。中には熊鈴がうるさいといって、顔をしかめたりブツブツ文句を言ったりするようなハイカー(大概高齢者)がいますが、そういう下等なハイカーは山に来るべきではないでしょう。
今の時期だと、どこのテレビや新聞も、「紅葉が盛りを迎えて登山客で賑わっています」というような定番の”季節ネタ”を取り上げるのですが、遭難事故が起きると、途端に鬼の形相になって、まるで自業自得だと言わんばかりに、遭難者叩きを煽るような口調に一変するのでした。それは、Yahoo!ニュースのようなウェブニュースも然りです。
そのため、遭難者自身や家族が、事故後もSNSのバッシングに苦しむという”二次災害”の問題もあります。
もし登山系ユーチューバーだったら、「衝撃注意」「死ぬかと思った」「危機一髪」などというキャッチ―なタイトルで仰々しく煽って、再生回数を稼ごうとするでしょう。実際に、遠くで熊を目撃しただけで、ここぞとばかりに大袈裟なタイトルを付けてアップしている動画はいくつもあります。
旧メディアでもネットメディアでも、まともな神経で接するのは非常に難しいと思いますが、このように明確な見識を突き付けるのもひとつの方法だと思いました。