
(イラストAC)
■渡辺優樹容疑者の共犯者として逮捕
今回の連続強盗事件は、EXITの兼近の番組降板が取り沙汰されるような思わぬ方向に波及しています。と言うのも、兼近に関しては、2012年に札幌市内で起きた1千万円窃盗事件で逮捕されたことが既に公けになっていましたが、今回の事件で、何と「ルフィ」こと渡辺優樹容疑者の共犯者として逮捕されていたことがあきらかになったからです。
兼近は、その前年の2011年にも、女子高生の売春を斡旋したとして売春防止法違反で逮捕されており、札幌時代は結構なワルだったことが想像できるのですが、それどころか、渡辺優樹容疑者の手下だったという話さえ出ているのでした。
余談ですが、渡辺優樹容疑者は、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗死刑囚と同じ別海町の出身です。地元の高校を卒業して道内の大学に進学したのですが、大学時代にススキノでアルバイトを始めてから学校にも来なくなり、人が変わったという同級生の話がありました。
俄に信じ難いのですが、アクセスジャーナルは、下記の動画で、兼近は「広域暴力団○○連合系の企業舎弟」だったと言っていました。さらに驚くべきことに、ガーシーのトバイ人脈にも関係しているという話さえあると言うのです。
アクセスジャーナルch
指示役ルフィとされる男との関係が明らかになったEXIT兼近。共犯事件に加え企業舎弟の過去も。連続極悪事件とドバイ住人との関係性追及。
兼近への批判について、“コンプラの暴走”というような声もありますが、ホントにそうなのか。
私たちがうかがい知れない“深い事情”が伏在しているのではないかと思ったりもします。前も書きましたが、ガーシーに関する強制捜査も、著名人に対する名誉棄損は入口にすぎず、本丸は他の犯罪の疑惑が持たれている「ドバイ人脈」だという指摘がありますが、それが兼近にも飛び火するのではないかと言うのです。
■兼近の父親のトラブル
『FLASH』は、2年半前に、札幌でリフォーム会社をやっている兼近の実父が、裁判沙汰になっている顧客とのトラブルを取り上げていますが、その中で、「俺にはヤクザの不動産屋が付いている」と某広域暴力団の名前を出して凄んだという、相手側の証言を伝えていました。
本人は否定していますが、父親が口にしたと言われる某広域暴力団というのが、渡辺容疑者らの特殊詐欺事件に関連して、2020年の2月に合同捜査本部が家宅捜査した札幌の山口組系の団体と同じなのです。しかも、兼近が一緒に逮捕された窃盗事件は、渡辺容疑者が飲食店をはじめる資金を集めるためと言われていますが、逮捕当時の渡辺容疑者の肩書は「不動産業」でした。時期的にはズレがありますが、これは偶然なのだろうかと思いました。
smart FLASH
EXIT「兼近大樹」の父親がリフォーム工事をめぐり裁判沙汰
■お涙頂戴の弁明
ススキノで仕事をしていた知人の話では、ススキノは狭い世界なので、ワルたちがつるんで犯罪に走るのは普通に考えられることでめずらしいことではないと言っていました。兼近も(本人の話では)子どもの頃極貧の家庭で育ち、ススキノに流れて来た若者の一人ですが、ススキノではそういった若者たちのすぐ近くに「金のためなら何でもする」ワルたちの”友達の輪”があり、犯罪と隣り合わせのような日常があったのでしょう。
売春斡旋による逮捕歴が発覚した際には、吉本興業の剛腕で「若気の至り」みたいな話として切り抜けたのですが、今度はそうはいかないかもしれません。
ただ、芸能マスコミには、兼近のお涙頂戴の弁明を称揚し、過去は過去なので前向きに生きてほしいと、芸能界もファンもみんな応援しているかのような報道が目立ちます。兼近を批判するのは、無慈悲な人間みたいな感じさえあるのでした。
しかし、公序良俗のリゴリズムに与するわけではありませんが、実際に”半グレ”で歌のうまい若者が歌手になったり、顔がきれいな女の子がタレントやモデルになったりする例はありますし、YouTubeがいわゆる”反社”の新たなシノギになっている現実もあるのです。それは、芸能人が独立すると干されるような芸能界のアンタッチャブルな顔と表裏の関係にあるものです。言うまでもなく、独立した芸能人を干すのにテレビも加担しており、テレビも共犯関係にあると言えるのです。
兼近が売春防止法違反で逮捕された件について、私はつまびらかには知りませんが、要するにヤクザまがいの女衒のようなことをしていたのでしょう。お金を巻き上げるために、親しい女子高生を得意の話術で説き伏せて(半ば脅して)売春するように仕向けたのかもしれません。そこから垣間見えるのは、おぞましいとしか言いようのない、ワル特有の他人(女性)に対する非情さです。にもかかわらず、「かねちー、カッコいい」なんて言っている女性ファンは、ホストに入れ込み金づるにされるのと同じような心理なのかもしれません。
■本人は過去を忘れても過去は本人を覚えている
「本人は過去を忘れても過去は本人を覚えている」と言ったのは柳美里ですが、ホントに「過去は過去」で済ませるような話なのかと思います。しかも、過去と言っても僅か11年前のことです。渡辺容疑者と一緒に逮捕された翌年(2013年)、兼近は吉本総合芸能学院(NSC)東京校に入学。そして、前のコンビを解消したあと、2017年にEXITを組んだのでした。それは、売春防止法違反の逮捕から7年後、渡辺容疑者と一緒に逮捕されてから6年後です。ちょろい人生だと思ったとしてもおかしくないでしょう。
しかも、2012年の事件をきっかけに、経営していた飲食店が潰れ、(おそらく闇金に)莫大な借金を抱え追い込まれた渡辺容疑者らはフィリピンに渡り、今に至る特殊詐欺事件に手を染めたと言われているのです。兼近が渡辺容疑者らと組んで行った窃盗事件は、単なる「過去」とは言えないのです。兼近は、ただ騙されただけと言っているようですが、窃盗事件では、兼近はマンションを管理している不動産会社の社員だという偽の社員証を出して、鍵屋に部屋を開錠させる役割を担っているのでした。偽の社員証も然りですが、自分がやっていることが犯罪だとわかっていたのです。それで「騙された」もないでしょう。
フィリピンの収容所で、渡辺容疑者の手下と言われる今村磨人容疑者が、上半身裸のまま寝そべって、スマホで「一日1万円です」とか何とか電話している盗み撮りの動画が放送されていましたが、それは自分たちのためにやっていると言うより、誰かに「やらさせている」としか思えませんでした。背後にいる闇の勢力が収容所の中の彼らをそこまで必死にさせている、と考えた方がいいでしょう。
どこかで誰かが舌を出してほくそ笑んでいるとしたら、兼近の弁明も一瞬にして瓦解してしまうでしょう。もちろん、お笑い芸人と言えども、プロダクションにとっては商品なので、兼近の発言にも吉本興業の思惑がはたらいているのは言うまでもありません。
■「自伝的小説」と吉本興業
吉本は、一昨年、過去の悪行を逆手に取り、兼近に「自伝的小説」の『むき出し』を書かせて(!?)、芥川賞や直木賞の胴元の文藝春秋社から出版したのですが、それにより、兼近は、何とフジテレビの「めざまし8」や「ワイドナショー」でコメンテーターに起用され、他人の事件に対してこましゃくれたことをコメントするまでになったのでした。これも吉本の力のなせる業と言うべきかもしれません。
2019年に兼近の売春防止法違反の逮捕歴を報じたのは、実は『週刊文春』でした。その際、吉本は、「人権侵害」だとして、「法的措置」も「検討している」と強く反発したのです。ところが、2021年に兼近はその文藝春秋社から小説を出版したのでした。両者の間で何らかの”手打ち”が行われたと考えるのが普通でしょう。今回の新たなスキャンダルとも言うべき騒動について、文春が完全にスルーしているのは驚きですし、いつもの文春からすればきわめて不自然ですが、そこには抗えない”大人の事情”があるからでしょう。吉本の方が一枚上手だったと言うべきかもしれません。
総合エンターテインメント企業として政権に食い込み、今や政府の仕事を委託されるまでになった吉本興業ですが、森功著『大阪府警暴力団担当刑事』(講談社)によれば、昭和39年(1964年)の山口組に対する第一次頂上作戦を行った兵庫県警の捜査資料のなかに、舎弟7人衆のひとりとして、吉本興業元会長(社長)の林正之助の名前が載っていたそうです。
お笑い芸人たちが、兼近に対して「前向きに生きてほしい」と激励するのも、吉本がテレビのお笑い番組の枠をほぼ独占し、絶対的な権力を持っているからで、彼らはただ吉本に動員されているにすぎないのです。そんな吉本を忖度するだけの文春や芸能マスコミのヘタレぶりにも呆れるばかりです。
上記の「自伝的小説」の中で、未成年の女の子を中絶させたとか、中学時代(だったか)にいじめたクラスメートがのちに自殺したとかいった話が出てくるのですが、兼近はSNSでそれはフィクションだと答えています。逮捕歴に関する弁解じみた話は真実で、新たなスキャンダルになるような都合の悪い話は「フィクション」だと言うのです。涙で弁解する一方で、都合の悪いことは「フィクション」「誤解」「ネタ」のひと言で済ませ開き直っているような感じさえあるのでした。
過去に犯罪歴があってもやり直すチャンスはあるべきだという声もありますが、芸能界は私たちが住んでいる世界とは違う”特殊な世界”だということを考える必要があるでしょう。竹中労は、フライデー事件の際、「この世の中には面(つら)はさらしたい、有名にはなりたい、ゼニは稼ぎたい、でも自分の生活は隠しておきたいなんてそんなムシのいい話はないでしょう」とたけしを批判したのですが、もとより、インスタなどを見てもわかるとおり、芸能人はみずからのプライバシーを切り売りすることも厭わない、イメージを商売にする”特殊な”人間たちです。であれば、プライバシーにリクスが伴うのは当然で、過去の犯罪歴がイメージを損ない致命傷になる場合だってあるでしょう。「面」をさらす仕事をしている限り、それは仕方のないことだとも言えるのです。本人は、過去と真摯に向き合うというようなことを言っているみたいですが、それは今のタワマンに住んでいるような生活を守るために向き合うと言っているだけで、最初から話があべこべなのです。
仮に百歩譲って兼近の弁明を受けれ入れたとしても、では、女子高生を売春させたり、特殊詐欺や強盗事件の主犯格の人間と一緒に窃盗をはたらいた人間の芸に笑うことができるのか、という話でしょう。とどのつまり、それに尽きるのです。
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