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■議会政治の末路
Yahoo!ニュースにも転載されていますが、元『プレジデント』編集長の小倉健一氏が、「みんかぶマガジン」に下記のような記事を書いていました。
MINKABU(みんかぶマガジン)
ガーシー帰国でNHK党の最終局面「日ハム新庄監督、衆院比例1位で国政へ」”実権は比例2位の稀哲に
前の記事からの続きになりますが、ここには既成政党がお手盛りで行った政治改革=政界再編の末路が示されているような気がしてなりません。それは、日本の議会政治の末路であると言っても決してオーバーではないでしょう。
日本共産党の除名問題は、同党の無定見な野党共闘路線が招いた当然の帰結で、『シン・日本共産党宣言』の著者である「反党分子」(共産党の弁)は、言うなれば、野党共闘路線が生んだ“鬼っ子”のようなものと言えるでしょう。彼や彼に同伴する左派リベラルの“マスコミ文化人”たちは、そうやって野党共闘の肝である日米安保賛成・自衛隊合憲を日本共産党に迫っているのです。言うなれば、日本共産党は立憲民主党のようになれと言っているのです。除名問題は、そういった新たな戦前の時代を志向する翼賛体制による揺さぶりにほかならないのです。
もとより、NHK党も同じように、政治改革=政界再編の名のもとに、既成の議会政党が国会を私物化し自分たちで政権をたらしまわしするために行った、今の選挙制度と政党助成制度が生んだ“鬼っ子”と言えるでしょう。
有権者そっちのけで導入された、参議院のグダグダの選挙制度を理解している有権者は、どのくらいいるでしょうか。多くの有権者は、選挙制度を充分理解しないまま、唯々諾々と制度に従って投票所に向かっているだけなのかもしれません。
記事は、NHK党の立花党首の次のような発言を取り上げていました。
「ガーシー議員が、戸籍謄本だけNHK党にくれたら、立候補の手続きはこちらでぜんぶできてしまいます。もっと言うと、戸籍謄本の委任状さえ送ってもらったら、戸籍謄本すらこちらで手に入れることが可能です。ガーシー議員が当選したことによって、すごく、YouTuberたちが理解しやすくなったと思います」
そして、次回の衆院選挙についても、俄かに信じ難いのですが、立花党首は次のような“戦略”を披歴していると言うのです。
「衆院選挙は、参院選挙と違って、全国を11ブロックに分けた比例選挙が行われます。つまり、それぞれのブロックにリーダーが必要になってくるのです。例えばですが。東京ブロックはホリエモン(堀江貴文氏)に任せます。南関東ブロックは、ヒカルチームに任せます…(中略)。実は、北海道ブロックは新庄剛志さんに任せたいと考えていて、本人と話をしているところです。どっかで回答くれるという話で「立花さん、いいよね」(ママ)というようなことも言ってもらっています。新庄さんについては、北海道日本ハムファイターズの監督をしながら、立候補し、議員もできるのですよ。新庄さんの監督業が忙しいとなれば、比例リストの2番目に森本稀哲(ひちょり)さんを入れておけば、新庄さんが1カ月で議員を辞めても、稀哲さんが当選して議員活動ができますよね」。
記事は、「ガーシー議員の登院拒否問題は、これまで議論されることすらなかった日本の民主主義の在り方が問われている。パンドラの箱が開いてしまったのかもしれない」という言葉で結ばれていますが、お手盛りの政治改革=選挙制度がこのような“鬼っ子”を生み、いいように利用されている(付け込まれている)現実は、ある意味で日本の議会政治の欺瞞性をどんな反議会主義の革命党派よりもラジカルに暴き出していると言えなくもないのです。
一方、互いの利害が対立する既成政党は、三すくみの中で自分たちの既得権益を守ることしか念頭になく、彼らにできることは、せいぜいがガーシー問題に見られるように弥縫的な“鬼っ子”退治をするくらいです。グダグダの選挙制度や文字通り税金を食いものにする政党助成制度を、根本から問い直すなど望むべくもありません。