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「彼と会う準備ができている」ゼレンスキー大統領 習近平氏のウクライナ訪問要請
ゼレンスキーの真意がどこにあるのか、今ひとつはかりかねますが、仮に中国主導で和平が実現すれば、世界がひっくり返るでしょう。もちろん、今まで軍事支援をしてきた欧米の反発は必至でしょうから、そう簡単な話でないことは言うまでもありません。
■軍事支援によるNATO軍の参戦
ドイツのキール世界経済研究所によれば、侵攻後、欧米各国が表明したウクライナへの支援額は、2月の段階で約622億ユーロ(約8兆9200億円)に上るそうです(産経新聞より)。ウクライナ戦争が「西側兵器の実験場」になっている(CNN)という声もあるようですが、軍事支援は当初の砲弾や携行型対空ミサイルから、最近は戦車や戦闘機を供与するまでエスレートしているのでした。戦車や戦闘機の供与は、実戦向けにウクライナ兵を訓練しなければならないため、実質的にNATO軍の参戦を意味すると言われています。ポーランドなどNATOの加盟国で訓練するそうですが、中には軍事顧問として前線で指導する兵士も出て来るでしょう。というか、既に多くのNATO軍兵士がドローンの操縦などで参戦しており、それは公然の秘密だと言われているのです。
イギリスが劣化ウラン弾の供与を発表したことに対抗して、ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備すると発表するなど、まるでロシアンルーレットのような戦争ゲームが行われています。
それはウクライナだけではありません。北朝鮮が米韓軍事演習に対抗して巡行ミサイルを日本海に発射すれば、さらに米韓が北朝鮮上陸を想定した演習を行なったり、台湾では野党・国民党の馬英九前総統が中国を訪問すれば、与党・民進党の蔡英文総統が中米歴訪に出発するなど、世界は対立と分断が進み、きな臭くなるばかりです。
■民衆蜂起の時代
誰でもいいから、この状況を止めなければならないのです。頭から水をかける第三者が必要なのです。仮に中国が和平の仲介に成功すれば、今の状況が一変するでしょう。「中国の思う壺」であろうが何だろうが、それは二義的な問題です。
日本のメディアや識者が戦時の言葉でウクライナ戦争を語るのを見るにつけ、彼らに戦争反対を求めるのはどだい無理な相談だということがよくわかります。中国の仲介に一縷の望みを託すというのはたしかに異常ですが、今の状況はそれくらい異常だということなのです。
一方で、笠井潔が21世紀は民衆蜂起の時代だと言ったように、世界各地で民衆の叛乱がはじまっています。フランスの年金改革に反対するゼネストでも、赤旗に交じってチェ・ゲバラの旗を掲げてデモしている映像がありましたが、背景に物価高を招いたウクライナ戦争の対応に対する反発があるのはあきらかです。欧州において、左派だけでなく極右が伸長しているのも同じです。右か左かなんて関係ないのです。
先週、ベルギーのブリュッセルで開かれたG7とNATOとEUの首脳会議に対しても、反NATOの大規模な抗議デモが起こったと報じられました。しかし、反戦を訴える人々の声は、ウクライナを支援する各国政府に封殺されているのが現状です。
そんな中で、ウクライナ和平において、中国がその存在感を示すことにできれば、間違いなく世界史の書き換えが行われるでしょう。
既に中南米は大半の国に反米の左派政権が誕生していますが、多極化に合わせて、世界の主軸が欧米からBRICsを中心とした新興国へと移っていくのは間違いありません。富を独占する欧米に対して、ドルとは別の経済圏を広げている新興国が、俺たちにも寄越せと言いはじめているのです。欧米式の資本主義や民主主義の矛盾が噴出して、地殻変動が起きているのです。もしかしたら、ウクライナ戦争がそのターニングポイントだったと、のちの歴史の教科書に記されるかもしれないのです。