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5月14日の夜、ジャニーズ事務所の公式サイトで動画が公開され、その中で藤島ジュリー景子社長が今回の問題に対して謝罪したというニュースがありました。しかし、事実関係については、明言を避け曖昧な態度に終始したままでした。そもそも記者会見ではなく、一方的に動画を配信し、外からの質問も一問一答形式の文書で答えるそのやり方に、ジャニーズ事務所の裸の王様ぶりが露呈された感じで、思わず目を覆いたくなりました。
不倫だったら、まるで百年の仇のようにあることないこと書き連ねて、アホな大衆を煽り、リンチの先頭に立つ芸能マスコミですが、不倫の比ではないジャニー喜多川氏の性加害=性暴力に対しては、ジャニーズ事務所の足下にかしづき、見ざる聞かざる言わざるを貫いてきたのです。しかも、ここに至ってもなお、ジャニーズ事務所の出方を伺うだけで、独自の取材に基づいた記事はいっさいありません。これでは、ゴミ以下と言われても仕方ないでしょう。
藤島ジュリー景子社長の謝罪も、そんな芸能マスコミと同様に、見て見ぬふりをしてきたみずからを弁解したものにすぎません。
週刊文春が言うように、事務所のスタッフが車で餌食になる少年をジャニー喜多川氏のマンションに送り届けていたわけで、それで「知らなかった」「気が付かなかった」はないでしょう。芸能マスコミと歩調を合わせた悪あがきは続いているのです。
中には、日本テレビの「news zero」でキャスターを務める櫻井翔が何を語るか、なんておめでたいことを言っているメディアもありますが、何を語るかではなく、櫻井翔がキャスターを務めていること自体が異常なのです。でも、それが異常なことだと誰も指摘しないのです。
この問題に救いがないのは、2002年にジャニー喜多川氏の性加害が東京高裁で認定されたにもかかわらず、メディアがほとんど報道せず隠蔽したことによって、さらにジャニーズ事務所が芸能界で絶対的な力を持ち、メディアを完全に支配するに至ったという事実です。そのために、ジャニー喜多川氏の性加害=性暴力はまったく止むことはなかったのです。むしろ、エスカレートしたのかもしれません。
その意味では、メディアの罪も極めて大きいと言えるでしょう。メディアは、藤島ジュリー景子社長の謝罪動画を他人事のように報じていますが、開いた口が塞がらないとはこのことです。
たしかに、性被害を告発した元メンバーの背後にガーシーやひろゆきやいかがわしいユーチューバーの存在が囁やかれるなど、今どきの若者らしい”危うさ”や”軽さ”が垣間見えますし、芸能界が単に悪の反対語が善とは言えない、もしかしたら悪の反対語も悪であるような、一筋縄でいかない世界であることも頭の片隅に入れておく必要がありますが、それでもなお、長いものにまかれろという日本的な精神風土の中でタブーにされてきた、この前代未聞のスキャンダルが白日の下に晒される意味は大きいと言えます。同時にこの問題が、「独立した芸能人はどうして干されるのか?」という、”ドン”などと呼ばれるヤクザまがいの人物が調整役として跋扈する(テレビ局や芸能マスコミも一役買う)、「怖い怖い芸能界」からテイクオフするチャンスでもあることは言うまでもありません。
僭越ですが、この問題については下記の記事をご覧ください。
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