
■リベラル系の番組
前に朝日新聞が周回遅れのトップランナーのように、ネットの後追いしているという話を書きましたが、それは朝日だけではないのです。
いわゆるリベラル系と言われる元新聞記者やライターたちが、次々とYouTubeにチャンネルを開設しているのも似ているような気がします。元の職業が似ているからなのか、チャンネル名も似ているし、常連の出演者も多くが重複しているのでした。言うなれば、「リベラル村」とも言うべき小さなマーケットでお互いに競合しているのでした。しかも、リベラルの支持者たちも、どこかの宗教団体と同じように高齢化しているため、サブスクに二の足を踏む人も多いでしょう。前も書きましたが、それで収益化をめざすというのは、傍から見ても非常に厳しいと思わざるを得ません。
■ユーチュ―バーの帰化
再びたとえに出すのは忍びないのですが、朝日が「GLOBE+」でコラムに起用した(?)ユーチューバーの帰化申請が却下されたそうで、本人がYouTubeであきらかにしていました。数日前は、ネックになっていた母国の国籍離脱の問題で、日本政府が柔軟に対応するという方針転換があったとかで、「朗報が届いた」と喜んでいたばかりでした。と言うか、まるで帰化がほぼ決定したかのような言い方までしていたのでした。
今の日本の基準では、在日12年のユーチューバーで帰化が認められるなどほとんどあり得ないと考えるのが常識でしょう。友達のユーチューバーも、同じように帰化を希望しているようですが、帰化の要件の一つである「生活要件」のハードルは想像する以上に高いと考えた方がいいでしょう。専業ユーチューバ―で生活をしていますとか、モデルをやっていますとかいう理由で帰化が認められるのは、針の穴を通すより難しいはずです。
彼女は、まわりの人間たちや動画の視聴者から「絶対大丈夫」と言われたので、自分も楽観的になっていたと言っていましたが、私はどこが大丈夫なんだ?と思いました。本来なら無理だと言うべきでしょう。
YouTubeのコメント欄のお追従コメントは論外としても、大丈夫と言ったまわりの人間たちの中には、申請を仲介する業者も含まれているのではないかと思いました。要件を満たしてないのに帰化や永住を希望する外国人たちが、手数料ビジネスの業者に食い物にされる現実があることも忘れてはならないのです。
■YouTubeの鉄板コンテンツ
何が言いたいのかと言えば、このようにYouTubeはほとんどおままごとの世界だということです。Googleは、FC2と同じようにグレーな動画投稿サイトだったYouTubeを買収するに当たって、「総表現社会」などという詭弁を弄し、YouTubeを広告ビジネスのプラットフォームにしたのでした。
これはあくまで私の感想にすぎませんが、今のYouTubeでは、ロシア人と韓国人の「ニッポンに涙する」動画や、仔猫を拾って来て「幸せになろうね」というペットの動画や、自分の子どもの顔を晒して「どう、かわいいでしょ?」という親バカの動画などが、多くの視聴者を集める鉄板のコンテンツになっているようです。
誰かの台詞ではないですが、ネットのお得意様は多くの視聴時間を持つ「バカと暇人」なので、そういった低俗化は”宿命”とも言えるのです。ただ、ネットの流行り廃りはリアル社会の比ではないので、飽きられるのもはやいのです。
■登山動画の凋落
たとえば、上記の定番コンテンツに比べて、再生回数が一桁少ない登山の動画では、早くも凋落の兆しが出ているのでした。登山のようなニッチなジャンルでは、視聴者も登る山も限られるので、YouTubeの特徴がよけい際立って表れるように思います。
登山ユーチューバーが登場して4年くらいになりますが、4年経つとほとんどの山は登り尽くされてしまい、登る山に新鮮味がなくなるのです。あとはユーチューバーのキャラクターということになりますが、登山という特殊なジャンルでは個人のキャラクターなどたかが知れています。
前も書きましたが、Googleの課金システムの見直しもあってか、ここに来てYouTubeからフェードアウトする登山ユーチューバーが続出しているのでした。もちろん、新しいユーチュ―バーも出ていますが、先行者利益さえ成り立たなくなったジャンルでは、自己満足で終わるのが関の山でしょう。
そもそも登山ユーチューバーにしても、その多くはおままごとにすぎません。私は、前に下記のような登山ガイドの加藤智二氏の言葉を紹介したのですが、それは登山ユーチューバーにもあてはまるように思います。
関連記事:
若い女性の滑落死と警鐘
美しい写真、動画とルート解説、個人の感想などは、雑誌やインターネット上には多く存在しています。それらを見たと思われる実に多くの若者が挑戦していました。正直言って、どこでミスしても簡単に「死ねる」場所だらけの日本最難関コース上に、何ら緊張感乏しく歩き回る登山者の姿に恐ろしさも感じました。
Yahoo!ニュース(個人)
死と隣合わせの日本最難関コースに溢れる登山者 山岳ガイドが感じた危機感
■ユーザーの高齢化
Googleに関しては、チャットGTPのようなテキスト生成AIがもっと精度が増して普及すれば、検索のあり方も大きく変わり、Googleが神のようにネットに君臨していた時代も終わりを告げるかもしれないという見方があります。
そういったGoogleをとりまく環境の変化に伴い、YouTubeにおいても、配信料だけでなく運営のシステムそのものの見直しが始まるのは充分考えられるでしょう。きつい言い方をすれば、素人のおままごとがお金になるような、そんな”いい時代”がいつまでも続くわけがないのです。
YouTubeがTikTokに対抗するために、ショートに注力するという話もありますが、それで激化する視聴時間争いに勝てるのかと言ったら首を傾げざるを得ません。このように今のGoogleは他社のサービスを追随するだけで、昔みたいにネットを牽引するようなパワーは完全に失われているのでした。
それからもうひとつ、YouTubeには、ニコ動やフェイスブックやヤフコメなどと同じように、コアな層が固定されたまま年を取って行くユーザーの”高齢化”の問題があります。「素人シニアYouTuber急増」(日刊ゲンダイ)などという記事は、それを象徴するものでしょう。YouTubeにとって、高齢化と低俗化は避けられない問題なのです。そう考えれば、今後、YouTubeが、既に「論外」と言われているフェィスブックと同じような運命を辿るのは、目に見えているような気がします。
関連記事:
ユーチューバー・オワコン説