
■「自殺幇助」容疑に対する疑問
4代目市川猿之助の逮捕の容疑が(母親に対する)「自殺幇助」ということに対して、頭を捻らざるを得ません。
メディアの報道によれば、両親の死因は向精神薬による中毒だそうです。市川猿之助が普段服用していた2種類の向精神薬を両親に渡して、死に至らせた(自殺を幇助した)ということのようです。
しかし、私たち素人の知識でも、向精神薬は相当な量を飲まなければ致死に至らないはずです。現実的には、向精神薬で死ぬのは不可能と言う専門家もいるくらいです。しかも、一方で、パジャマ姿で床に横たわっていた両親の顔に、ビニール袋を被せたと供述しているのです。ということは、向精神薬で眠った状態の両親に、ビニール袋でトドメを刺したという風に考えることもできるのです。少なくとも、市川猿之助はそのつもりでビニール袋を被せたのでしょう。
しかも、一家心中を提案し自分もあとを追って死ぬつもりの人間が、そのあとビニール袋を外のゴミ置き場に捨てに行っているのです。その不自然さをどう考えればいいのかと思います。まるで証拠隠滅をはかったような(そう受け取られても仕方ないような)行動を取っているのでした。警察発表では、顔に被せたビニール袋は、死因にはまったく関係ないということになっているのですが、何だか腑に落ちないものがあります。
■ホントに家族みんなで死ぬことに合意したのか?
市川猿之助は一人っ子だったので、家族3人でひっそりと暮らしていたと書いているメディアがありましたが、だったら、死のきっかけになったと本人も言っている『女性セブン』の記事とはまったく矛盾します。
『女性セブン』の記事では、ホテルでパーティを開いて、そこで男性のスタッフに対するセクハラが行われていた、と書かれているのです。目黒の家では、お母さんが老老介護で寝たきりのお父さんの面倒を見ていたのはたしかでしょう。しかし、一人息子の市川猿之助は、そんなことはお構いなしにセクハラパーティを頻繁に開いていたのです。私には“バカ息子”みたいなイメージしかありません。
そもそも家族みんなで死ぬことに合意したという話も、額面通りには受け取れない気がします。父親の四代目市川段四郎氏は、既に寝たきりで、自分の意志を表明することもできない状態だったと言われています。
一人息子でめいっぱい甘やかされて育てられた梨園のボンボンが、自分の恥部を晒されたので、「もう生きていけない」と母親に泣きついたと考えた方が真実に近いような気がするのです。
泣きつかれた母親が、「じゃあ、みんなでさよならしようね」と提案したとは思えず、意地の悪い言い方をすれば、猿之助が「ママ、一人で死ぬのは嫌だ。みんなでさよならしよう」と説得したと考えた方が自然でしょう。溺愛した一人息子からそう説得された母親が、息子を不憫に思って同意したのかもしれません。
まして、自分の意志を表明することもできない状態の父親は、同意するもなにもないのです。だから、父親に対する容疑がポイントになると言われているのでしょう。
■市川猿之助より広末涼子の方が”重罪人”
それにしても、市川猿之助の報道に関して、歌舞伎界に対するメディアの腫れ物を触るような気の使いようには呆れるほかありません。松竹への忖度なのか、逮捕前までは、市川猿之助はまるで”悲劇の主人公”でもあるかのように言われていたのです。だから、梨園にはやりたい放題の”バカ息子”が多いのでしょう。
前に、ジャニー喜多川氏の性加害より広末涼子の「W不倫」の方が罪が重いと書きましたが、市川猿之助の「自殺幇助」も同じです。芸能マスコミの手にかかれば、市川猿之助より広末涼子の方が”重罪人”であるかのように流布されるのでした。それは、市川猿之助の一家心中(とされるもの)は古い家族制度を連想させる一方で、広末涼子の「W不倫」は家族制度に反旗を翻すように映るからでしょう。
山口真由氏は、広末涼子のバッシングに対して、次のようにツイートしていましたが、まったくそのとおりでしょう。
不倫を叩く風潮に疑問が呈されるが、歴史的に様々な文化で不倫は重罪とされてきた。恋に落ちる本能を制御して結婚という契約に縛り付けるために、石打のような強力な見せしめが行われたとすると、不倫バッシングは他の人が同じ行動に走るのを戒め、結婚という制度を維持するための現代の石打刑なのかも
— 山口真由オフィシャル (@mayuyamaguchi76) June 26, 2023
メディアは、アンシャンレジュームを代弁する鼻くそでしかないのです。それは、やがて姿を消す運命にあるメディアの最後のあがきのようなものかもしれません。
〈結婚〉や〈家族〉や〈夫婦〉といったものは、広末涼子をバッシングするような(「不倫」を断罪するような)そんな価値観のもとにはもうないのです。何度も言いますが、資本主義社会はもはやそんな段階にはないのです。卑俗な言い方をすれば、みんな陰では「不倫」しているし、チャンスがあればしたいと思っているのです。「異次元の少子化対策」なるものがトンチンカンで滑稽なのは、にもかかわらず古い家族(結婚)制度を前提にしているからです。社会の構造が変わり、それに伴って働き方が変われば、私たちの意識も生き方も変わるのは当たり前です。
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