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深圳(写真AC)



■中国の「日本病」


昨日(16日)の「モーニングショー」で、中国が不動産不況に陥っているという問題を取り上げていました。

天津市では、117階建ての高層ビルの工事がストップした状態になっており、周辺でも骨組みが剥き出しになったまま放置されているビルがあるということです。また、個人向けのマンションも建設が中断し、代金を払ったにもかかわらず何年経っても引き渡されない事例も珍しくないそうです。

「私は金を払って『モノ』を買ったんだ。ジュースや野菜ではなく、『4000万円の部屋』だ。たくさんの金を払ったんだから、その『モノ』を私に引き渡してほしい」「俺は3000万円払って家を買った。それなのに建ててくれない。ほったらかしだ。理不尽だ」というような購入者の声を紹介していました。

番組は、今の中国は30年前に不動産バブルが崩壊した日本と同じ轍を踏んでいるとして、専門家の間でも「日本病」と呼ばれている、と言っていました。

これに対して、中国の対外経済貿易大学・国際経済研究院の教授である西村友作氏は、不動産会社の資金繰りが悪化して工事が中断しているのは、中国政府の“総量規制”のためで、多分に政策的な要因によるものだ、と言っていました。新型コロナウイルスのゼロ・コロナ政策に伴う経済対策のために金融緩和を行なった結果、お金が不動産市場に流れて不動産バブルを引き起こしてしまったので、規制を始めたのだとか。習近平主席の「家は投機のためにあるのではなく、住むためにあるのだ」という言葉に従って、不動産業界に対する締め付けが行われているのだと言うのです。

代金を払ったのにマンションが建たないというのも、日本と違って中国では購入代金を前払いする商習慣があるので、日本とは事情が異なる、と言っていました。つまり、日本の感覚で考えれば、詐欺みたいな話に聞こえるのですが、中国では代金を払ってから引き渡されるまで何年もかかるのはよくある話だそうてす。

不動産バブルと言っても、一部の先進的な大都市の話にすぎず、中国経済自体が行き詰まり、かつての日本と同じ轍を踏んでいると見るのは早計だと言っていました。中国は都市部と農村部の格差が大きく、統計的に見ても、日本の80年代や90年代のような「遅れた」部分も多く、まだ成長の余地はあると言うのです。

マンション業者の「1階を買うともう1階をサービス」という広告についても、日本の感覚で考えるととんでもない話のように思うかもしれないけど、中国のマンションは、上の階と下の階の部屋の間に階段を設置して二世帯住宅のようにするオプションがあり、もう1階をサービスというのはそういう意味だ、と言っていました。

そもそも中国は社会主義国家なので、土地の私有は認められていません。土地は国家のものなのです。不動産と言っても、あくまで「使用(借地)権」があるだけです。居住用の土地の「使用権」は70年と定められているそうですが、しかし、公共のためという理由で、政府が一方的に「使用権」を破棄して立ち退きを迫られることもあるのです。そう考えれば、資本主義国の不動産バブルと同じように考えるのは無理があるように思えてなりません。

日本の専門家と称する人間たちは、何かにつけ中国経済は崩壊すると寝言のように言うのが常で、メディアが伝える中国像も、そういったバイアスがかかったものばかりです。まして今のように米中対立が先鋭化して、明日でも戦争が起こるかのようなキャンペーンが繰り広げられている中ではよけいそうでしょう。だからこそ、希望的観測や予断や偏見ではなく、ホントの、、、、中国はどうなのかを知りたいという気持があります。ホントの、、、、中国は案外知らされてないのではないかという疑問さえあるのです。

たしかに、ゼロ・コロナ政策では、中国は最新のデジタル技術を駆使してウイルスの封じ込めに成功したと言われていますが、一方で、新型コロナウイルスが蔓延したのは、食用の野生動物を売買していた武漢の海鮮卸売市場からではないかとも言われているのです。そういった両極端とも言えるような新しいものと古いものが混在しているのが、中国社会の特徴と言えるでしょう。

■恒大集団破産のニュース


折しも中国の大手不動産会社の恒大集団が、アメリカのニューヨークの裁判所に「破産法」の適用を申請したというニュースがありました。ただ、これは、48兆円という途方もない負債を抱える恒大集団が、アメリカ国内で抱えている負債を整理して経営の立て直しをはかるというもので、同じ破産でもアメリカのそれと日本のそれとではかなり意味合いが違うことを忘れてはならないでしょう。

一方、日本のメディアは、中国の不動産バブルの崩壊が日本経済に影響を及ぼすのは避けられないとして、”破産”をセンセーショナルに(ネガティブに)伝えているのでした。もっとも、その内容はと言えば、調子抜けするほど通り一遍なものです。都心部のタワマンなど高級物件が中国人に買占められ、それがマンション価格高騰の一因になっていると言われていますが、中国のバブル崩壊が連鎖的に中国人に支えられた日本の不動産バブルの崩壊につながることを懸念しているのかと思ったらそういう話でもないのです。

テレビ朝日のニュースの中で、第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏は、次のようにコメントしていました。

「日本から中国への輸出額がこのところ減少を続けているが、仮に日本みたいにデフレに陥ってしまうと、さらに中国向けの輸出が減ったりとか、中国人の日本向けの団体旅行も当初の期待ほど盛り上がらなかったりと、日本経済に及ぼす影響も無視できない」

Yahoo!ニュース
テレ朝news
48兆円負債 恒大集団が破産申請 中国“危機”日本への影響不可避


なんだそんなことかと思いました。日本には、「ざあまみろ」という気持と中国経済に依存していることによる「困った」という本音の両方があるのですが、恒大集団の問題でもことさら騒ぎ立てるだけで、不動産不況が中国政府の政策的な要因によるものだという冷静な視点がまったくないのでした。

■『数字中国デジタル・チャイナ コロナ後の「新経済」』


それで、昨年の2月に出版された西村友作氏の『数字中国デジタル・チャイナ コロナ後の「新経済」』(中公新書ラクレ)を読みたいと思い、アマゾンを検索したら売切れでした。駅に行く途中に、念の為、商店街の中にある書店に寄ったら、やっぱり置いていませんでした。

そのあと、病院に診察に行ったのですが、尿の検査をするためにおしっこを紙コップに取ろうとしたら、赤いおしっこが出たのでした。朝の排尿時は普通の色だったのに、よりによって病院の検査のときにどうして血尿なんだ?と思いました。

案の定、(待ってましたと言わんばかりに)レントゲン撮影とエコーの検査が行われました。腫瘍などは見当たらず、腎臓に2ミリくらいの小さな石が2~3個あるので、それが原因だろうと言われました。それで、いつもの薬以外に芍薬甘草湯が処方されました。

芍薬甘草湯に関しては、私は「ラッキー!」と思いました。残り少なくなっていたので、何か理由を付けて処方して貰おうと思っていたところだったのです。

山に登る人ならわかると思いますが、芍薬甘草湯は足が攣ったときに飲むと効果てきめんなので、登山のファーストエイドでは必携の薬です。調剤薬局でも、薬剤師から「いつもの薬以外に芍薬甘草湯が処方されていますが、足が攣るのですか?」と言われました。しかも、ひと月分なので90包もあり、これでまた数年分のストックができました。

泌尿器科で芍薬甘草湯を処方されたのは、人が感じる最も強い痛みのひとつとも言われる尿管結石の痛み止めのためです。しかし、(変な言い方ですが)尿管結石のホント、、、の痛みには、とてもじゃないけど芍薬甘草湯では対処できません。ドクターからも「(痛み止めの)座薬はまだありますか?」と訊かれたので、「はい、冷蔵庫で保管しています」と答えました。

病院のあと、市営地下鉄で横浜駅まで行きました。しかし、改札口を出て相鉄線のジョイナスの方に出たら道に迷ってしまい、構内をウロウロするはめになってしまいました。どうしてジョイナスに行こうと思ったのかと言えば、ジョイナスにある有隣堂書店で『数字中国』を探そうと思ったからです。

横浜に住んで既に15年以上が経っていますし、輸入雑貨の会社に勤めていた頃も横浜を担当していましたので、横浜の駅ビルや地下街はよく知っているつもりなのですが、どうしたことか迷子になったのです。ただ、ジョイナスの中にあんなに充実した食堂街があったことを初めて知ったので、それはそれで怪我の功名と言えるのかもしれません。そして、やっと地上に出て、あらためて西口の地下街に入ることができたのでした。

私自身は、未だに横浜駅より池袋駅や新宿駅や渋谷駅の方がよくわかります。横浜駅はちょっと来ないと、頭が混乱して方向感覚を失ってしまうところがあります。西口と東口を結ぶコンコースにしても、池袋や新宿や渋谷も及ばないくらいの人混みで、それだけでも圧倒されるのでした。

もっとも、有隣堂があった地下街は、以前はダイヤモンド地下街と呼ばれていたのです。それがジョイナスに統一されたので、よけいわかりにくくなったのでした。前は西口の地下街はダイヤモンド地下街で、その横にジョイナスという相鉄の駅ビルがあり、そのビルの地下街が別にあったのですが、それがいつの間にか一緒になってジョイナスと呼ばれるようになったのでした。そのため、私は、隣の昔からあるジョイナスの方に迷い込んでしまったというわけです。

結局、ジョイナス(旧ダイモンド)の地下街にある有隣堂にも本はありませんでした。それで、東口のそごうの中にある紀伊国屋書店に行くことにしました。夕方のラッシュ時のコンコースの人混みをかき分けて、さらに東口の地下街のポルタを突き抜けて、その先ににあるそごうの7階の紀伊国屋書店にやっと辿り着いたものの、紀伊国屋も売切れでした。

そごうも、仕事でよく行ったなつかしい場所です。昔、そごうで行われたブライダルショーに出演していた彼女と知り合い、しばらく付き合ったせつない思い出もあります。当時、横浜そごうは日本一の売場面積を誇るデパートでしたが、もう昔日の面影はありません。今のそごう・西武をとりまく状況から考えても、先行きは暗いと言わねばならないでしょう。いろんな意味で、いい時代、、、、は終わったのです。

で、そこで初めて、私は、スマホで在庫検索する”知恵”を思い出したのでした。思い出すのが遅すぎますが、頭から汗をタラタラ滴り落しながらスマホで検索すると、伊勢佐木町の有隣堂書店の本店に在庫があることがわかりました。もうこうなったら、伊勢佐木町まで行くしかありません。

横浜駅からみなとみらい線で馬車道まで行って、馬車道から伊勢佐木町まで歩いて、やっと『数字中国』を手に入れることができたのでした。本の価格は税込み990円ですが、買うためにかかった交通費は838円でした。

ちなみに、前に書いたと思いますが、伊勢佐木町から撤退した富士そばのあとには、最近、横浜橋の商店街などで目立つようになっている中国人経営の安売り八百屋が入っていました。有隣堂本店の斜め前の一等地に八百屋を開く感覚とその資金力には驚くばかりですが、不動産バブルが崩壊して中国経済が行き詰ったら、あの八百屋も撤退するのだろうかと思いました(もちろん皮肉ですが)。

※「恒大集団破産のニュース」の部分は、あとで追加しました。


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