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(写真AC)



■事務所の名称変更


昨日(10月2日)、ジャニーズ事務所が二度目の記者会見を行なって、事務所の名称をジャニーズ事務所からSMILE―UP.(スマイル・アップ)に変更することを発表しました。

スマイル・アップは、被害の受付と補償に専念し、最終的には廃業するということです。と言っても、ジャニーズ事務所そのものが芸能界から撤退するという話ではなく、別に新会社を作り、新人タレントの育成や移籍したタレントの活動のサポートを続けるそうです。

新会社では、従来の雇用関係ではなくエージェント契約に変更するということですが、ただ、エージェント契約と言っても、新人タレントの育成を行なったりするわけですから、欧米のような「代理人」ではなく、従来どおりファンクラブの運営や権利の管理やスケジュール管理や営業(タレントの売込み)などのマネジメントは継続されるのではないかと思います。と言うことは、単なる看板のすげ替えにすぎず、芸能界でのジャニーズ事務所の”威光”は残ることになるのです。

■与党株主


その影響は、既に昨日の記者会見でも見られました。

昨日の記者会見はシナリオに基づいた出来レースだったのではないかという指摘がありましたが、危機管理のコンサルティング会社が仕切っているのですから、それは常識でしょう。

前回の記者会見の反省からか、今回はまるで株主総会における”与党株主”のように、息のかかった芸能リポーターや記者が会見場の前の方に陣取り、記者会見をリードしようという空気が見られたそうです。

案の定、質問の機会を与えられない望月衣塑子記者などが抗議の声をあげて質問を強行すると、彼らからヤジが飛んだのでした。望月記者の話によれば、芸能ルポーターや記者だけでなく、会見場の後方にいるテレビ局のカメラマンたちからもヤジが飛んでいたそうです。

■井ノ原快彦の茶番


さらには、会見は茶番だという抗議の声で騒然となる中で、あらたに新旧の会社の副社長に就任した井ノ原快彦が、「ちょっと落ち着いていきましょう。じっくりと行きましょう」と言うと、次のような発言をしたのでした。

「こういう会見の場は全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子供たち、自分にも子供がいます。ジャニーズJr.の子たちもいますし、それこそ被害者のみなさんが『自分たちのことでこんなに揉めてるのか』というのはぼくは見せたくないので、できる限りルールを守りながら、ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せて行きたいって思ってますので、どうか、どうか落ち着いてお願いします」(新聞記事より)

どの口で言っているんだというような話ですが、しかし、会場のレポーターや記者たちから拍手が沸き起こったのでした。

メディアの人間たちが、追及すべき壇上の人間の発言に拍手をするというのはまさに前代未聞で、これこそ茶番と言うべきでしょう。

もっとも、井ノ原快彦が、今回も記者たちを諫めるような発言をしたのは、前回学習した好感度とテクニックを使って乗り切ろうという小賢しい意図がミエミエで、それもコンサルティング会社のアドバイスがあったからでしょう。

そもそも加害者の側が記者会見を仕切り、自分たちのルールを押し付け、記者たちがそれに同調すること自体、根本的におかしいのです。記者みずからが魂を売り、みずから進んで篭の中に入っているのですからお話になりません。

藤島ジュリー景子前社長氏も東山紀之新社長も井ノ原快彦新副社長も、テレビも新聞も週刊誌も、口で言うほどジャニー喜多川氏の性加害を深刻に受け止めてないのではないか。BBCに糾弾されたので仕方なく対応しているだけではないのか。彼らの頭の中には保身しかないのではないか。昨日の記者会見を見るにつけ、そう思わざるを得ませんでした。

ジャニーズ事務所と懇ろになり、性加害に対して見て見ぬふりをしてきたメディアの連中は、言うなれば”共犯者”と言ってもいいような存在です。しかも、ジャニーズ事務所は新会社に移行して、実質的に存続するのです。エージェント契約とは言え、総会員数1300万人、会費収入年間500億円のファンクラブ(ジャニーズファミリークラブ)を手放すとはとても思えません。早く幕引きをはかって再び甘い汁を吸いたい彼らには、名称変更&新会社への移行は絶好の機会と映っているのかもしれません。

青木理氏は、新聞やテレビ局のジャニ担や芸能リポーターは「クソみたいな連中だ」と言っていましたが、昨日の光景はクソの本性を遺憾なく発揮していたように思いました。

さっそくクソの代表のような神戸新聞系列のディリースポーツと朝日新聞系列の日刊スポーツが、井ノ原快彦をヨイショする記事をアップし、それをYahoo!ニュースが転載しているのでした。

Yahoo!ニュース
ディリーニュース
「ルールに従わない記者」の「不規則発言」をユーモア交え諫めた井ノ原「さすが」と元アナのMBS記者

Yahoo!ニュース
日刊スポーツ
井ノ原快彦、紛糾する報道陣を柔らかに制し存在感「ルールを守る大人たちの姿を見せたい」 

そして、ヤフコメは望月記者らに対するバッシング一色に覆われているのでした。Yahoo!ニュースにしてみれば、してやったりかもしれません。

■自滅への道


この記者会見の光景をおぞましいと言った人がいましたが、そもそも1社1問のルールを押し付けて司会者のペースでことを運ぼうとする会見など記者会見とは言えないでしょう。株主総会のシャンシャン総会と同じです。

もし、ビックモーターが同じような会見をやったらどうなっていたか。それを考えると、ジャニーズ事務所の会見の異常さがわかる、と書いていた人がいましたが、たしかにジャニーズ事務所だからこそこんな異常な会見ができるのです。ジャニーズ事務所とメディアの一蓮托生の関係は、何も変わってないのです。今、行われていることは、小手先の誤魔化しにすぎないのです。

経営環境が厳しくなる一方の既存メディアのまさに貧すれば鈍する光景と言えますが、こうやってみずからで首を絞めているのだという自覚さえないのです。

別にジャニーズ喜多川氏の性加害問題に限った話ではありませんが、みずから異論を排除して自由な言論を放棄している日本のメディアは、もはや自滅への道を歩んでいるとしか思えません。

東山紀之がテレビ朝日の「サンデーLIVE!!」のキャスターに抜擢されたのも、メリー喜多川と東山とテレビ朝日の早河洋会長が会食した際、東山がキャスターをやりたいと言い出したので、早河会長の鶴の一声で決まったそうです。そんなテレビ局に見て見ぬふりの反省を求めること自体、山に蛤を求めるようなものです。

ジャニー喜多川氏の性加害に関しては、届け出を始めて2週間で478人から相談窓口に連絡があり、その中で325人が補償を求めていると発表されましたが、これからもっと増えて最終的には1000人を超すのではないかという話もあります。

これほどの性被害を生み出し、しかも、長年それを隠蔽してきた会社は、新会社に移行するのではなく、解体して芸能界から身を引く(撤退する)のが本筋でしょう。それができなければ、世論の手で追放すべきでしょう。ところが、情けないことに、肝心な世論が心許ないのでした。

まさにやりたい放題のことが行われ、メディアも含めてまわりは見て見ぬふりしてきたのです。そんな見て見ぬふりをしてきた連中が、ここに至ってもなお、旧ジャニーズ事務所の”与党株主”のような役割を演じて、元の木阿弥を画策しているのでした。


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2023.10.03 Tue l 芸能・スポーツ l top ▲