
(写真AC)
■「パレスチナ問題」の欺瞞性
昨日(7日)から2日間の日程で始まった主要7カ国(G7)外相会合で、ガザの情勢をめぐって、今日(8日)発表される「成果文書」には、「人道的な目的のための戦闘休止の必要性が盛り込まれる見通しだ」(朝日)という報道がありましたが、それが糞の役にも立たないお題目であるのは誰の目にもあきらかです。
国連人権高等弁務官事務所のニューヨーク所長を辞任したクレイグ・モカイバー氏が言うように、彼らは、調停国ではなく当事国なのです。イスラエルをバケモノにしたのは、ほかならぬ彼らなのです。
高橋和夫氏は、『パレスチナとイスラエル』(幻冬舎)で、「ヨーロッパ人は、パレスチナ人のつけでユダヤ人への借りを返した形である」と書いていましたが、まさに「パレスチナ問題」の欺瞞性を言い当てているように思いました。ホントにホロコーストの責任を感じているのなら、ドイツは自分たちの領土にイスラエルをつくらせればいいんだ、と言った人がいましたが、言い得て妙だと思いました。
そのドイツでは、パレスチナ支援のデモをすることさえ禁止しているのだそうで(実際には強行されていますが)、本末転倒した話になっているのでした。ユダヤ人差別の贖罪のためにパレスチナ人差別を利用する。ここにもまた、ウクライナ支援とは別の意味で、西欧民主主義の欺瞞性=二重基準が露呈されているように思います。
G7の外相が高い経費をかけて東京に集まるのは、それこそ税金の無駄使いでしょう。「人道」という空疎で便利な言葉を使って、ジェノサイドを傍観する自分たちを合理化しているだけです。ホントは悪党の一味なのに、そうやって善人ぶっているだけです。彼らの罪もまた大きいのです。
■右往左往するアメリカの醜態
イスラエルのジェノサイドに対してなす術もないアメリカの右往左往ぶりは、唯一の超大国の座から転落して中東での覇権も失ったアメリカの凋落ぶりを、これでもかと言わんばかりに示しているように思います。
ウクライナに続いてパレスチナでも難題を抱えたアメリカは、まるで底なし沼に落ちて恥も外聞もなくもがいているように見えます。イスラエルを支援するバイデン政権に国内外から批判が浴びせられていることからもわかるように、アメリカは既に方向感覚を失い、にっちもさっちもいかない状態に陥っているのです。
これで、バイデンが来年の大統領選挙でトランプに負けるのは確定したようなものでしょう。そして、トランプが政権に復帰すれば、アメリカの”狂気”が再び(そして、さらにバージョンアップして)くり返されるでしょう。そうやって「アメリカの時代」は終わりを告げるのです。言うなれば、トドメを刺されるのです。
アフガン撤退で、アメリカが唯一の超大国の座から転落したことが印象付けられたのですが、それからの転落するスピードの速さには驚くばかりです。ウクライナやガザが、まるで仕掛けられた罠のように見えるほどです。
■多極化した世界の風景
私は、2008年のリーマンショックのときから「世界は間違いなく多極化する」と言い続けてきましたが、今、まさに私たちが見ているのは多極化した(しつつある)世界の風景なのです。
アメリカは、イスラエル建国以来、1580億ドル(約23兆円)を供与して、イスラエルが核を保有する軍事大国になるのを支えたのですが、そのイスラエルは、バイデンのヨボヨボに象徴されるように、老体になり力を失くしたアメリカの言うことを聞かなくなり、文字通り手の付けられない怪物になってしまったのです。しかし、そのツケを払うのはアメリカだけではありません。世界がツケを払わなければならないのです。