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■暴力のインパクト


私は、安倍晋三元総理の銃撃事件からひと月後、このブログで下記のような記事を書きました。

関連記事:
二発の銃弾が暴き出したもの

誰も認めたがりませんが、山上徹也の行為が私たちに示したのは暴力テロルのインパクトです。

山上の行為によって、旧統一教会の問題が白日の元に暴かれたのはまぎれもない事実です。安倍元総理が銃撃されなければ、彼が殺害されなければ、旧統一教会の問題がこれほど大きく取り上げられることはなかったのです。そして、安倍元首相銃撃から1年3か月後の10月13日、とうとう旧統一教会の解散請求にまで至ったのです。その流れを見ていると、文字通り圧力蓋が取れて中に封じ込められていた旧統一教会の問題が一気に噴き出した感じでした。

じゃあ、今までメディアは何をしていたのか、やはり、安倍元総理に忖度していたのではないかと言いたくなりますが、ジャニーズ問題でも示されたように、日本のメディアなんて所詮はその程度のものです。

■安倍派の裏金問題


さらに今度は、安倍派(清和会)の裏金の問題が浮上しているのでした。

自民党では、各派閥が政治資金パーティーを開いた際、「パーティー券のノルマを上回る分」が「寄付」として所属議員にキックバックされるのが”慣例”になっているそうです。

ところが、安倍派の議員たちの政治資金収支報告書にはその記載が見当たらないというのです。朝日新聞はそれを「安倍派の不自然な実態」と表現していました。

 (略)最大派閥である清和政策研究会(安倍派)側の報告書には、該当の支出が見当たらなかった。政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、金額がばらばらの議員側への寄付について「実質的にはノルマを超えるパー券を売った議員へのキックバックとみられるが、安倍派では記載がないのは不自然だ。帳簿外で処理し裏金にしている疑いがある」と話す。安倍派の事務局は1日、取材に「慎重に事実関係を確認し適切に対応する」と文書で回答した。

朝日新聞デジタル
派閥からのキックバック?安倍派記載なし 専門家「帳簿外で処理か」


安倍派は、歴代最長政権を築いた安倍晋三氏をはじめ、福田赳夫氏、森喜朗氏、小泉純一郎氏の4人の総理大臣を輩出した自民党の最大派閥です。

「その安倍派が組織的に裏金を作っていたとなれば、自民党政治の信頼が根本から揺らぎかねない。支持率の低迷にあえぐ岸田政権にとって、深刻な打撃となる事態だ」と朝日は書いていましたが、まさに国家を食い物にする構造の一端が垣間見えたと言っていいでしょう。

「愛国」を装いながら"反日カルト"に魂を売り渡していた安倍派の面目躍如といった感じです。そこに見えるのは、(何度もくり返しますが)「愛国」と「売国」が逆立した”戦後の背理”です。「愛国」者が実は「売国」者であるということです。そういった似非「愛国」者に随伴してきたネトウヨや右派コメンテーターやフジサンケイグループなどの右派メディアも同じです。

言うまでもなく、各政党には、みずからが作った政党助成法に基づいて、税金が原資の政党交付金が支給されています。

政党交付金の総額は、国勢調査で確定した人口に250円を乗じた額を基準として国の予算で決まるそうです。たとえば、令和2年の国勢調査で算出すると約315億円になるそうです。それを所属する国会議員の数と、前回の衆議院議員総選挙、前回と前々回の参議院議員通常選挙の際の得票総数によって、各政党に分配されるのです。

にもかかわらず、各政党は政治資金パーティーを開催し、パーティー券を売って余った分を議員にキックバックしていたのです。

税金を取るときは高利貸しの取り立てのように厳しく、逆に生活保護などセーフティーネットを利用しようとすると、小役人たちは鬼畜のように非情になるのですが、その一方で、政治家たちにはザルのように税金の大盤振る舞いが行われているのです。特に安倍政権下では、社会保障費の抑制を御旗に、生活保護費の大幅な減額が行われたのでした。

小役人たちの天下りも含めて、この国家を食い物にする構造はまさに「私物国家」と呼ぶにふさわしいお手盛りぶりですが、しかし、誰が何と言おうといささかも揺らぐことはないのです。何故なら法律を作るのが政治家であり、それを運用するのが役人たちだからです。

■正鵠を射た三浦瑠璃の投稿


もっとも、今回の裏金問題をそういった(メディアが報じるような)視点で見るだけでは、単なるガス抜きで終わるだけでしょう。残念なことですが、それでは皮相な見方と言わざるを得ません。

今回の裏金問題を最初に報道したのは赤旗の日曜版で、さらに神戸学院大の上脇博之教授が東京地検に告発して問題が浮上したのですが、東京地検特捜部が動いたのは別に背景があったと見るのが常識でしょう。東京地検特捜部はそんなヤワでバカ正直で公正な組織でないことは、これまた常識中の常識です。

かの三浦瑠璃氏は、この裏金問題について、X(旧ツイッター)で「政界スキャンダルが出てきても自民党内の権力闘争にしか見えない」と投稿していましたが、正鵠を射ていると思いました。

つまり、安倍一強の蓋が取れたことにより、清和会も党内の権力闘争の標的になったということです。

東京地検特捜部がどこまで踏み込んで捜査するのかわかりませんが、検察もまた安倍氏が亡くなったことで忖度する必要がなくなったのです。もちろん、安倍晋三氏が生きていたら、メディアもここまで大々的に報道することはなかったし、東京地検特捜部も動くことはなかったでしょう。

今回のスキャンダルは、権力内部の暗闘、足の引っ張り合いです。山上徹也が放った二発の銃弾は、旧統一教会の解散請求だけでなく、その旧統一教会と親密な関係を築いていた清和会のスキャンダルまで呼び起こすことになったのです。安倍一強時代には考えられないことが起きているのです。

そう考えると、誰も認めたがらないけれど、暴力テロルの持つインパクトを今更ながらに考えないわけにはいかないのでした。
2023.12.02 Sat l 旧統一教会 l top ▲