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(public domain)



アジア記者クラブのXに次のような投稿がありました。



このように一部の左派の間で、周庭氏の事実上の亡命表明に対して、同氏がCIAのスパイであったかのような陰謀論が飛び交っているのでした。

私には「語るに落ちた」「贔屓の引き倒し」という言葉しか浮かびません。周庭氏がCIAのスパイなら、夫子は中国共産党の走狗じゃないかと言いたくなります。

私はへそ曲がりなので、米中対立に関しても、どっちかと言えば中国を擁護するようなことを書いていますが、しかし、この陰謀論は見逃すことはできません。

もちろん、香港の民主化運動にアメリカの思惑が絡んでいるのは事実かもしれません。香港の民主化運動を米中対立の文脈で語るような視点をまったく否定するものではありません。それに、彼女はまだ27歳の若い女性なので、「おそらく一生、香港に戻ることはない」という人生の大きな決断の裏に、彼女を庇護する人たちや組織があるのは当然でしょう。

しかし、自由を知っている香港の学生たちが”香港の中国化”に対して異議を申し立て、立ち上がったのはまぎれもない事実です。21世紀は大衆蜂起の時代だと言ったのは笠井潔ですが、大衆蜂起の政治的な意味合いを根底から否定するような陰謀論はまったく反動的だし、何より「一生逃亡者として追われる」と香港政府(=中国共産党)から脅しをかけられている周庭氏のことを考えると、鬼畜であるとさえ言えるでしょう。

ハマスとイスラエルの戦いではないですが、中国共産党に異議申し立てを行った香港の学生たちは、それこそ巨象に挑む蟻のようなものです。しかし、蟻の一穴ということわざもあるように、香港の学生たちの自由を求める声が、たとえば、習近平のゼロコロナ政策に抗議する市民の「白紙運動」や、デモで掲げられた「独裁反対」のスローガンなど、中国国内の異議申し立てに影響を与えていたのは否定しようのない事実でしょう。

アジア記者クラブは”市民派”ジャーナリストの集まりと言われていますが、しかし、Xの投稿を見ると、みずからが取材した事実に基づいたものではなく、大半が他のメディアの記事を恣意的に引用したものにすぎません。そもそも彼らは、ジャーナリストの仕事をしているのかと思ってしまいます。

何だかジャーナリストを僭称する(親中派の)活動家のような感じさえするのでした。アジア記者クラブではなく「中国記者クラブ」、あるいは「人民日報友の会」と看板をすげ変えた方がいいんじゃないかと言いたくなります。

戦史/紛争史研究家の山崎雅弘氏は、過去に「中国共産党の言い分を鵜吞みにした」アジア記者クラブの主張を次のように批判していました。


アジア記者クラブは、香港の雨傘運動だけでなく、天安門事件の学生たちも単なる「暴徒」にすぎないと言っています。彼らに言わせれば、民主化を要求するのはみんな「暴徒」でアメリカのスパイなのです。

やたら国旗の絵文字を多用した”おじさん構文”もそうですが、何だか左派のなれの果て、トンチンカンの極みのような気がしないでもないのです。中国共産党がなんぼのもんじゃいと啖呵を切りたくなりますが、ここにも左の全体主義が垣間見えているような気がしてなりません。


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2023.12.06 Wed l 社会・メディア l top ▲