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(写真AC)



■「訪日外客数」


日本政府観光局(JNTO)が「訪日外客数」の2023年11月の推計値を発表していますが、コロナ禍前の2019年と比較すると以下のとおりです。

2019年11月の「訪日外客数」は2,441,274人で、2023年11月が2,440,800人です。2019年との比較では± 0。統計上はコロナ禍前に戻ったと言えるでしょう。

一方、「出国日本人数」は、2019年11月が1,642,333人、2023年11月が 1,027,100人で、-37.5%です。

日本人の出国数は、依然コロナ禍前より大幅に減少したままです。これはあきらかに、コロナというより円安の影響でしょう。

つまり、日本は観光客を迎えるだけで自国民は外国に旅行にも行けない、かつての発展途上国と同じようになりつつあるのです。そのうち外貨獲得の唯一の手段が観光ということにもなりかねないでしょう。

また、国・地域別の「訪日外客数」は、以下のとおりです。

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出展・日本政府観光局(JNTO)

これを見るとわかるように、韓国からの観光客が大きく伸びています。ほかには、シンガポール・インドネシア・ベトナム・インド、オーストラリア・アメリカ・カナダからの観光客が増えていることがわかります。

アジアからの観光客は、中国本土からの観光客が激減したこともあって、全体の57.7%とやや比率が下がっています。

■「激安のおいしい国」


私は、5年前の2018年に下記のような記事を書きました。

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「安くておいしい国」日本

日本に来るのは日本が「安くておいしい国」だからですが、ここ1年のさらなる円安で、日本は「激安のおいしい国」になったのです。これでは、観光客を迎える日本人は益々貧しくなるばかりで、外国に旅行に行くなど夢物語であるのは当然でしょう。

実際に観光に関連する職業はどれも低賃金でハードなものが多く、深刻な人材不足の背景にあるものは運送業や介護職などと共通しています。

ヤフーだかに、日本を旅行するのを趣味にしている韓国人の若い女性が、交通や食事の便がいい東銀座のビジネスホテルを利用しているという記事が出ていました。東銀座が穴場だという記事だったのですが、そのホテルは朝食付きで一泊13000円だそうです。日本のビジネスホテルの相場から言えばやや高い部類に入りますが、しかし、それでも韓国の同程度のホテルより安いと言っていました。

私たちは自分たちの国が未だに世界トップクラスの豊かな国だと思っているのですが、でも、その根拠はなにもないのです。空疎に「ニッポン凄い!」を自演乙しているだけです。

前も書きましたが、一皿15000円の和牛を食べたタイ人観光客が「これは安いですよ」と言っているのを見て、ネットに巣食う単細胞な日本人は「ニッポン凄い!」と喜んでいるのですが、でも、自分たちはそんな和牛を口にすることはできないのです。せいぜいが破れたチリ紙のような切り落としの肉を食べるのが関の山です。

■年収156万円以下の世帯が705万世帯


生活保護は、世帯収入が月に13万円以下、つまり年収156万円以下であれば受給資格があるのですが、実際には窓口で小役人から難癖を付けられて門前払いされるのがオチです。それが「水際対策」と言われるものですが、そのために、共産党系の団体や創価学会や貧困問題を扱うNPO団体など、小役人の難癖を「論破」する専門家の同行が必須になっています。

昔より受給率は上がっていますが、それでも生活保護の受給率(いわゆる捕捉率)は23%にすぎません。受給資格があるのに生活保護を受けていない年収156万円以下の世帯は、705万世帯もあると言われているのです(日本共産党調べ)。

■先進国から転落した日本


テレビではインバウンド客たちの飽満ぶりが連日報じられていますが、そういった千客万来の光景の裏では益々貧しくなる一方の(実質的に先進国から転落した)日本の姿があるのです。

ついこの前まで、(中国人の爆買いを除いて)外国人観光客はお金を使わない、ケチだと言われていました。私が別府に帰省した際も、当時から別府は韓国からの観光客が多かったのですが、タクシーの運転手は「韓国からの観光客はタクシーに乗らないで歩いて移動するのでお金になりませんよ」と嘆いていました。それが、今から5~6年前の話です。

ところが、今ではドライバー不足も手伝い、別府でもタクシー不足が深刻になっているのだそうです。そのために、苦肉の策として、市が観光客向けに夜間の無料バスを走らせているのだとか。このように僅か5~6年で様変わりしているのです。その背景にあるのは、単にドライバー不足だけではなく、今までタクシーを利用しなかった観光客が積極的にタクシーを利用するようになったからです。需要が増加したからです。

韓国は今では平均年収も日本の上を行くほど豊かな国になりましたが、ほかのアジアの国も底上げされ、いわゆる中間層が形成されるようになりました。そんな彼らが一皿15000円の和牛を「安いですね」などと言っているのです。

一方で、日本はどんどん没落しています。生活保護の基準以下の収入しかない世帯が増えるばかりで、そのため福祉事務所の職員たちは、仁王像のようになって窓口につめかける貧困者たちを追い払うのに必死です。憲法25条なんてどこ吹く風のようなあり様です。

また、妬みと僻みは日本のムラ社会の宿痾みたいなものですが、まるで「水際作戦」と軌を一にするように、多くの国民は、生活保護を受給するのは甘えだ、怠け者だと決めつけ、彼らをバッシングするのに余念がありません。もちろん、それは天に唾する行為とも言えますが、そうやって没落する国の現実から目を反らすことが「愛国」のように思っているのです。
2023.12.25 Mon l 社会・メディア l top ▲